日録 2003年6〜12月

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12月30日(火)
演出者協会の理事会が4時から、6時から忘年会。花園神社の側、レトロな雰囲気の店、まるで60年代のゴーゴー喫茶。演出者協会の忘年会に出席するのは初めてなので、名前を聞けば分かるが顔を見ても殆ど分からない人が多い。主に流山児祥氏と坂手洋二氏と話す。二次会は木山事務所の福原氏の店。カラオケで調子にのっているうちに終電には間に合わなくなり朝までを覚悟する。最後は2丁目の狭い店で5時すぎまで。

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12月29日(日)
DreamNetがOCNと合併した結果、FCJサイトは移転することになった。コンテンツを新しいURLにアップロードするだけのことだが、面倒なので延ばし延ばしにしていた。来年2月末には今までのURLは使えなくなるので、思い切って今日引っ越しする。新しいURLは次の通り。
http://www31.ocn.ne.jp/~feldenclubjapan/

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12月26日(金)
今年最後の稽古。第2幕を2度。第1幕が意外にスムースだったのに比べ、こちらはまだかなりギクシャクしている。5時前に終わり、夜は西麻布の焼肉店で研究生2/3年の忘年会。話には聞いていたが訪れるのは初めての林宏和君の弟さんのお店。みんな盛大に飲んで食った。ぼくは途中でダウンしてモッコリをちびちびとやっていた。10時半頃一足先に引き上げる。

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12月25日(木)
稽古は第1幕の通しを2回。現段階では思ったよりも出来はいい。しかし、1年生ではないから、ハードルは当然高くなる。自分を素直に表現することだけでなく、役の人物を体現するために様々なテクニックに挑戦しなければならない。新年の稽古では、もう一段上の課題が待っている。
帰路途中下車して初めて銀座のアップルストアへ寄る。ぶらぶら観て歩いているうちに1時間以上費やす。スマートで贅沢な店作り。パソコンショップとしては異例な雰囲気。

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12月24日(水)
いよいよ今年の稽古も大詰めを迎える。今日は第2幕の後半ラストまで。かなり急ピッチで進めてきたが、さてどうか、明日明後日でとりあえず今年の仕上げになる。今夜はクリスマスイブ。

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12月23日(火)
今年の稽古は今日を入れてあと4日、少しテンションが上がってきた。これから求めるのは内発性、オリジナリティだ。自分を信じて自由に想像力を羽ばたかせてほしい。今日の稽古では、何カ所か「おおっ!」という瞬間があって嬉しかった。もっともっと驚かせてくれることを期待する。

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12月22日(月)
研究生の稽古は26日(金)まで。いつもはクリスマス頃には休みに入るが、今回は稽古期間が短いので正月休みを短くした。今年はあと4日の稽古。年が明けるとあっという間に初日が来るのが毎年の実感だ。その割にみんなの緊張感がいまいちの感じ。全員揃わないのも集中力を阻害する要因だ。
夜は年末恒例の劇団総会。6時に始まり、終わったのが11時近く。確かに長い会議であった。形だけの総会をたまにしか開かないできたから、問題が山積している。みんなで議論したからといって、問題がすぐ解決するわけではないが、充実した総会を持つようにしないと、劇団員としての一体感がどんどん希薄になっていくことになる。それが恐ろしい。ただ、最近若者たちを含めて積極的な発言が目立つようになってきたが、これを実りあるものにしていくことが大切であろう。

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12月21日(日)
久しぶりの休み、といっても家でやる雑事が溜まっている。風邪も完治とはいかないが、一頃の苦しさは和らいだ。HPのメンテ、研究会の事務処理などで午後はつぶれてしまう。夕食後は年賀状のデザイン。ああだこうだとひねくり回してるうちに、何とか様になるものができた。今年は申年というので、ちょっとふざけてみた。

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12月20日(土)
昨日休んだお陰でようやく症状はほぼ快復した。1時からの稽古のあと、新宿へ。6時半から朝日カルチャーセンターで今年最後の講座。頸部の動きをテーマに2つのレッスン。帰路冷え込みの厳しさに年の瀬を実感する。

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12月19日(金)
依然体調が思わしくなく、結局夕方4時半からと6時半からの会議を欠席して、丸々一日を休む。
お陰でだいぶよくなった。

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12月18日(木)
風邪の症状は一向に改善の兆しをみせない。無理をして稽古に出ているのが原因だと思うのだが、常々「風邪をひくなんて自己管理ができてない証拠だ」と若ものたちに宣言している手前休むわけにはいかない。明日稽古は休みなので、朝の様子をみて改めて行き付けの医院へ行くことになるかもしれない。丸一日休めればいいのだが、夜は劇団で会議がある。
稽古は各場2回ずつで7場面をやる。年が明けると稽古だけに集中できなくなるので、今年中に可能なかぎりやっておかないと。といっても、一度に余り多くを要求すると消化不良を起こすだけだ。焦るのはやめよう。

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12月16日(火)
今週の稽古はできるだけ自由にやらせようと思ってはいるのだが、つい口を出してしまう。それでも今日は2巡目に入って4場面やる。
風邪はますます悪化。帰宅して夜にやっている近くの医者をインターネットで探して薬の処方をしてもらってきた。

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12月15日(月)
風邪は一進一退の感。咳が出るようになったのは危険信号。

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12月14日(日)
9時頃に目が覚めるが、全身がだるい。もう一眠りする。喉が痛み、熱もある。ここでダウンするわけにはいかない。TMA年末恒例の義士祭の日だが無理しないことにする。結局今日は一度も外へ出なかった。仕事が一区切りついてテレビをつけたら、トヨタカップを中継していた。後半20分過ぎだったが、1対1でボカ・ジュニアーズがACミラン相手に頑張っている、いや、むしろACミランを圧倒している。延長戦でも決着つかず、PK戦でボカが勝った。面白いゲームだった。強いものが勝つとは限らない。イラクではやっとサダム・フセインが捕まったそうだ。ずいぶん時間がかかったものだ。だからといって、これで混乱が収束するとは思えない。

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12月13日(土)
とりあえず今週の稽古は終わる。夜になって喉がおかしい。風邪が悪化しつつあるようだ。こういう時は早めに布団に潜り込むにかぎる。

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12月12日(金)フラジャイルの BRIDGE (駒場アゴラ)
稽古は予定通り、明日残りの3場面で最後まで行く。来週から少し速度を上げる。正月休みまでに圧程度の勢いをつけねば。稽古後フラジャイルの BRIDGE を観に駒場アゴラへ。演出も演技者たちも、なかなか熱がこもっていが、全力投球の連続なので、受け取るのにいささか疲れを覚えた。主人公の男性の役所がイマイチつかみづらかった。

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12月11日(木)
今日の稽古はノルマの3場面をやる。稽古後は何もないのでまっすぐ6時過ぎには帰宅。久しぶりにスーパーへ食料などの買い出しに行く。
いつの間にか冬が来ている、と気づく。朝晩の冷え込みがきつくなってきた。この数日、何となく風邪気味の感。ここで気を緩めるとダウンしそうだ。ビタミンCと水分を欠かさないよう細心の注意をはらう。足下が冷えるとよくないので、ハロゲンヒーターなるものを初めて試してみる。小型のものだが、即座に暖まれるのがいい。

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12月10日(水)
今日の稽古は3場面のみ。計算すると今週一杯でなんとか最後までたどり着けるだろう。それにしても、課題はいろいろと多い。時間は決して十分あるとは言えない。精一杯やるつもりではあるが、結果は各自の自覚と自助努力次第だとも言える。
夜は6時半から劇団で役員会。延々10時近くまで。
自衛隊のイラク派遣が決まった。この国の政治はますますひどいことになっている。その場の成り行きまかせの言動、そして理念なき決定・・・。そうか、これは政治だけじゃないか。

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12月9日(火)
立ち稽古初日。第1幕の半分までも行かなかった。4場面のみ。第1幕が9場面、第2幕が7場面。全16場面。今週中に何とか最後まで行くかな、という感じである。一年前に付き合った研究生2/3年だが、どこまでやってくれるか、期待しているが・・・。
夜は臨時劇団総会で来年度の演目のうち未定のところを決定した。年末で会議の連続で、明日も有限会社劇団俳優座の役員会がある。話す中味は殆ど同じことの蒸し返し。かなりうんざりするが、役目だからこれも仕方がないか。

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12月8日(月)
「ダイニングルーム」の稽古。1時から5時まで第2幕の読み合わせ。この作品を取り上げるのは何回目になるか、多分6〜7回目ぐらいになるはず。外部でも2回やっているから相当な回数になる。毎回色合いが違うのがなかなか面白い。一人が三つ以上の役をやることになるので、一人一人の個性を見極めるのに最適な台本だと思う。まだ始めたばかりで、今回どんな舞台になるかはまだ五里霧中というところ。ともあれ、今までにない色を出したいものだ。できれば音楽も別のものにしたいと帰宅してから何枚かディスクを聴いてみた。前々回に試みたが、ラストシーンの音楽だけが、どうしても見つからなくて諦めた経緯がある。まだ余裕があるので努力してみる。音楽だけでなく、芝居のトーンも変えてみたい。さて、どうなるか。
テアトロ2月号の <わたしの演劇マニフェスト> 特集に「劇団俳優座60周年の過去現在未来」と題する原稿を書き上げて今夜ファクスする。おやおや、締め切り二日前だ。めずらしい。 .

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12月7日(日)
11時前に出て泉岳寺へ向かう。1時から5時半まで、TMAで今年最後の日曜コース。年末で忙しいのか、予約者のうち何人か欠席だったが、久しぶりの参加者も得て、骨盤の動きを中心とした、かなり込み入ったレッスンを4種行う。
帰宅して、多忙ゆえ放置しておいたソフトのアップデータをいくつかインストールする。ありがたいのは、OCRソフトの e.Typist がバージョンアップでOS-Xに対応したことだ。

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12月6日(土)
6時半から朝日カルチャーセンターのレッスン。少し早めに出てのんびりと大門回りで都庁前へ向かう。千葉と都心ではかなり気温に差がある。出かけるときにやや寒いなと感じて厚めのセーターなど着込んでしまうと、目的地へ着く頃には汗だくになったりする。帰りは船橋を過ぎるあたりから気温ががくんと下がるのが実感できる。

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12月5日(金)
今日は原稿書きのため一日空けていたが、昼間はいろいろと雑事に邪魔されて結局手をつけることができないまま夕方を迎える。夕食時に飲んだビールが効いて、途端に眠気を催す。このところアルコールに弱くなってきたような気がする。元々さほど強いほうではなかったが、缶ビール1本で弱音を吐くなんてことは余りなかったのだが。小一時間布団に入ってうとうとしてから8時頃に起き出して、ようやく原稿にかかる。0時過ぎまでかかってとりあえず予定枚数をこなす。読み返して気に入らないが、これで明日・明後日はねかせて、月曜か火曜に手直しの予定。

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12月4日(木)
昼間は研究会等の事務処理等に追われる。夜は6時半から幹事会。久しぶりの幹事会なので10時までかかる。帰りに電車の故障で30分以上遅れる。「モリエールはわれらの同時代人」というタイトルにひかれて読み出したが、結構面白い本だ。これは副題で、本題は「幕間のパリ」という。

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12月3日(水)
研2/3の稽古二日目。前半、第1幕の読み合わせ。その後、6時半から劇団で企画会議。割合早く終わったので、中野誠也と戸風炉で「タルチュフ」について小一時間歓談。

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12月2日(火)
稽古初日というものは、どんな場合にも緊張感がただようもの。配役発表してすぐに読み合わせにかかることにしていたから尚更だ。稽古スケジュールを発表して、一通り全体を読んでみる。とにかくスタートはした。これからどうなるか、大いに楽しみ。泉岳寺での稽古後、劇団へ戻って久しぶりの演出部会。

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12月1日(月)
昼前に起きてすぐ『三文オペラ』関する原稿にかかる。800字ほど書いてすぐに劇団へファクス。昼食後、テアトロ原稿にかかる。特集<わたしの演劇マニフェスト>なる仰々しいタイトルで各劇団から集めるらしい。依頼されて10日以上経つが、なかなか手を付ける気になれなかった。筆が進まないことおびただしい。まだ予定の半分も行かない。少し間を置いてから取りかかるとしよう。締め切りが迫らないとエネルギーが出ないのはいつものことだ。明日は研究生の稽古始めなので、頭をそちらに切り換えるとしよう。
今日から地上波デジタル放送なるものが始まったそうだ。そんなことはどうでもいいから、もっと放送内容の水準を高めて欲しい。殆ど観るだけ時間の無駄という番組が多すぎる。デジタル双方向なんてものが、無制限に雨後のタケノコみたいににょきにょき出てくる情景を想像すると背筋が寒くなる。

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11月30日(日)日曜コース
10月が5日だったから、ずいぶん久しぶりのような気がする。昨夜かなり遅くまで準備に手間取る。どういうレッスンをするか、いろいろシミュレーションを繰り返していると、あっという間に時間が経ってしまう。朝刊を読んでから寝たので、行きの電車では殆ど居眠り。
前半は腕と足を使った捻る動きのレッスンを2種、後半は体を反らせる動きと丸める動きを2種取り上げる。後半の動きはかなり難しいレッスンだか、割合うまくいった。一時やんでいた雨が夕方からまた降り出した。今日もまた肌寒い一日。
劇団からコメディアンに『三文オペラ』について800字の原稿を書けとの連絡。締め切りが明後日の午前中だと! なんで今頃になってと言いたい。少し書き始めたがあとは明日だ。

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11月29日(土)同窓会
今日は6年ぶりに12時半から新宿に篠山高校時代の同窓生たちが集まり「東京五條会」。20名近くで盛会だった。6年前は確か12名だった。卒業式以来という顔もあって、実に懐かしい。だが何人かは名前と顔がすぐには一致しない。無理もない。改めて生きてきた時間を痛感する。

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11月28日(金)「冬物語」と「世阿弥」
今日は観劇ダブルヘッダ。昼間は俳優座劇場で「冬物語」を観る。シンプルな演出でそれなりに面白かった。ただ前半はちょっともたついた感じ。セリフはもっと格調があったほうがよい、というか、心理的になりすぎて世界が小さくなっている。後半は展開もよく、持ち直した。紙の衣裳は、面白いけれど、活かされているとは言い難かった。
夜は新国で「世阿弥」を観る。中劇場の方だから、広い舞台を一杯に使ってスペクタクル調。最前列の席だったので、舞台が身近に感じられてよかったが、後ろの席だとどうだろうか。それにしても、この論理的なセリフ劇を3時間以上の長丁場では、途中かなりだれる。ときどき必死に睡魔とたたかう。身体性をかなり前面に押し出した演出は、この作品の抽象的な劇構造をかえって不明確にしたのではなかろうか。三津五郎のセリフ術はさすがというべきか。

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11月27日(木)
今日も昼前からメール・サーバの不調で送受信に異常発生。夜になっても回復せず。特に送信が全く出来ないのは困る。プロバイダを変えようかと思うほど、この何日か振り回されている。午後はずっと劇団と研究会のサイトのメンテにかかり切る。その割には変わり映えしないか。69回目の誕生日を迎える。

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11月26日(水)
今頃になってどっと疲れが出たのか、なかなか起きあがる元気がなく、昼すぎまで布団の中でうとうとしてしまう。午後「ザ・ダイニングルーム」の配役を見直すため、台本をチェックしたが、今の時点では特に変更点はなし。あとは実際に読み合わせをしてみてからである。5時頃に劇団へ。今後の打合せやら残務整理など。6時半から8時まで企画会議。「三人姉妹」の舞台で使った私物のギターを抱えて帰宅。

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11月25日(火)
午後1時から初稽古だと勢い込んで泉岳寺まで出かけると、午後はダンスのレッスンだという。スケジュールのやり取りで混乱があったのだろうが、気勢をそがれてしまった。3時にダンスが終わるからそれからやればいいかとも思ったが、何人かが欠けるというので、今日の稽古は取りやめにして、改めて来週に仕切り直しという羽目になった。お粗末な話ではある。原稿書きや「タルチュフ」の台本作りも待っているからのんびりはしてられない。すぐその足で帰宅。さあ仕事にかかるぞ、とマックの電源を入れたら、これがまた動作が怪しい。朝のメールチェックでは異常がなかったのに、どういう訳かアプリが異常終了をする。このところ全然掃除をしてないから、ゴミが溜まっているだろうと見当をつけて、ドクター・ノートンの厄介になった。3個のハードディスクを一通り診断してやっと正常に戻る。ファイルがだいぶ小間切れになっているだろうが、そちらはとりあえず手を付けずにやり過ごす。そんなこんなで実に冴えない一日になってしまった。

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11月24日(月)
ほっとする暇もなく、次なる研究生2/3年修了公演「ザ・ダイニングルーム」(A.R.ガーニー作)の準備にかかる。何度も取り上げてきた演目ではあるが、4年ぶりの上演になるので楽しみだ。一つのダイニングルームを舞台に、17の場面が繰り広げられる。オムニバス形式で、各場面は時代も家族も異なり、背後には1930年代から40年近い年月が流れている。
まだ疲れが取れず、夕方になるまで満足に頭が働かない。とりあえず配役案をまとめ、稽古プランを考える。明日13時から読み合わせをする。

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11月23日(日)千秋楽
あれよあれよという間に初日があいて、あっという間に千秋楽を迎えた。いろいろとまだ問題はあるにしろ、とにもかくにも予想以上の好評で、ほっと一息というところ。今日の舞台は、今までにない感じになって、良くも悪しくも、舞台は生き物であると感じ入った。ともあれ、気持ちよく楽を迎えることができた。
終演後、バラシも終わって、6時半から稽古場で打ち上げ。手伝いの研究生たちも参加して、飲み物・食べ物満載で盛り上がった。と、いきなり部屋が真っ暗になり「ハッピバースデー」の歌声そしてローソクとケーキ。なんと!ぼくの誕生日は27日なのに、4日早く祝ってもらったわけだ。何歳になるのかと計算してみたら、あと4日で69歳なのである。全く実感が湧かない。疲れもあり、飲み物も食べ物もほどほどに、早めに退散。明日は研究生2/3年の終了公演の配役を考えなくてはならない。

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11月22日(土)
今日はマチネ公演のみ。12時半ぎりぎりに劇場に飛び込む。全員舞台に集まってダメ出し。上手い下手の問題ではなくて、新鮮味がなくなったら舞台は死んだも同然なのだ。それには役者自身が毎回新鮮な心をもって演じなければならない。それにはエネルギーが要るが、それこそが役者の醍醐味であろう。
今日の舞台は、全体に力が入りすぎて重かった。時間も少々延びたようだ。これもまた反省材料。各地の演劇鑑賞団体の方々が見えていたので、終演後歓談。評判があちこちに伝わっているらしい。地方の例会で再演できるかもしれない。アンサンブルがいい、非常に分かりやすいチェーホフ、実に面白い、というのがまずは一般的な評価。
いよいよあと1回。千秋楽の後は稽古場で打ち上げの予定。

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11月21日(金)
「三人姉妹」はあと三日となる。今夜の舞台は、だいぶ崩れていた。どうも全体に気がゆるんできたと見る。面白いという噂が広まっているせいだろうか。それにしても、当初の予想を超えた好評で、今夜のお客からも随分称賛の言葉を聞いた。とにかく、最近のチェーホフ上演でろくなものがなかったから、目立つのであろうが、この程度で満足するようではさみしい。もっと上を目指してまたの上演にそなえる覚悟がなければ・・・。今更ではあるが、明日最後のダメ出しをする。
終演後「タルチュフ」の件で中野誠也と打合せ。彼はヨーロッパ公演に出かけていたので帰国後やっと捕まえることができた。その後、小里清くんと新作の改稿打合せ。今日も終電に辛うじて間に合った。

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11月20日(木)
次の研究生の修了公演と「タルチュフ」のことで頭がいっぱいになりかけている。朝からそのことでデスクに向かった。台本の直しがさし当たっての大仕事だ。今日はマチネから観るつもりではあったが、気がついたらもうマチネには間に合わない。仕方ない、ぎりぎりまで家で仕事をして出かけた。マチネの幕切れを観たが、どうも生煮えの感。ソワレの舞台は、全体によかった。今日の客席には、劇作家の八木柊一郎氏、ロシア文学の中本信幸さん、小学・中学の同窓生の西村さん夫妻、幼なじみの井上さんなど。終演後は中本さんと亜州菜館へ。八木さんも見えて11過ぎまで。今日もまた終電になる。

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11月19日(水)
今日はマチネ。寝不足ながら開場ぎりぎりに駆けつける。中日も過ぎて割合客観的に観ることができるようになった。チェーホフはやはりロシア人だと思う。ロシアの文豪の中でも一番西欧的な精神を持っているが、やはり世紀末ロシアの雑階級の出なのである。舞台を観ながらしみじみと感じた。我々日本人にはない血の濃さを痛感する。この「三人姉妹」は、どうみてもお茶漬けの味であるなと思う。しかしながら、こういうチェーホフがあってもいいだろうと開き直ってやったのである。足りないと言われれば、それは覚悟の上だよ、と言い返すことにしている。ただ、余りにも評判がいいので戸惑っている。今日は初日以来、初めて8時台に帰宅する。コメディ・フランセーズの「タルチュフ」をビデオで観る。上手いけど、どうもピンと来ない。演出のポイントをどこに置くか、それが成否を決める。ロジェ・プランションのビデオも観る。結局朝刊を読んでから寝る羽目になる。

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11月18日(火)
二日ぶりに劇場へ。相変わらず立ち見が出て超満員。今日も座れないかと思ったが、辛うじて椅子席に。最後列の中央。久しぶりに観る舞台は、いまいちエネルギーが不足していると感じた。終演後、毛利三弥さんらと地下の居酒屋で終電近くまで。毛利さんは盛んによかったと言ってくれた。今までの「三人姉妹」に比べ新鮮だったとか。

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11月17日(月)ピナ・バウシュの新作
昨夜から軽い偏頭痛に悩まされる。やはり無理がたたったのかもしれない。今日もマチネだったが、大事をとって劇場行きは諦める。
夜は午後7時からピナ・バウシュの「過去と現在と未来の子供たちのために」を新宿文化センターで観る。昨年観た新作2本に幻滅を覚えたが、今回は本拠のウッパーダールで練り上げ、ヨーロッパ公演でも大好評の舞台というので期待して出かけた。しかし、外れた。随所に美しい心和む場面がありはしたが、どこか表現に平板さが目立つ。動きにも新味がない。中盤に日本語を交えたセリフが多用されるが、身体による表現を言語が方向付けしてしまうため、身体本来のイメージの豊かさを矮小化してしまう。ギャグと寸劇の場面は大いに白けた。ときどき席を立って帰りたくなったが、ど真ん中の座席で周りの人たちに迷惑がかかるので思い止まった。とはいえ、二人のダンサーには魅せられた。名前は分からないが、第1幕の初めのほうでソロ、第1幕の終わり近くで群舞のリーダー、第2幕終盤でソロを踊った中年の男性ダンサーがその一人。特に終盤のソロは繊細にしてダイナミック、魂の奥底から聞こえてくる慟哭のようで、激しく揺り動かされるものがあった。もう一人は、小柄の女性ダンサーで、浅黒い肌で南米系かと思われるが定かではない。どんな激しい動きにも両足が大地にぴたりと吸い付くような安定した身のこなし、繊細な動きからダイナミックな表現まで、何か大きな力に身をまかせて羽ばたいているようなダンスに見とれていた。この二人のダンサーを観られただけで今日は満足する。

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11月16日(日)
家には殆ど寝るためだけに帰る生活が続き、研究会の事務処理や諸々の雑事が滞っているので、今日は劇場行きを取りやめ一日中自宅に籠もってデスクに向かう。

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11月15日(土)
今日はマチネのみ。客席は超満員で溢れかえり、補助椅子も出て立ち見席も満員。坐るところもなく、立ったまま観る。概ね好評なのは嬉しいが、稽古がもう1週間あればと思う。あえて弁解じみたことを言えば、当初の予定よりも初日が1週間早くなったので、少々計算が狂った面はある。
夜は朝日カルチャーセンターへ。「腰痛肩こりからの解放」をテーマにレッスンを二種。首筋の緊張を取るためのレッスンと、肩帯・胸郭を解放するレッスン。

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11月14日(金)三日目の舞台
今日も駅からのバスがなくなって深夜タクシーで帰宅。
今日は昼と夜の二回公演。昼の部はイマイチだれたところがあったが、夜の部は持ち直した。毎回細かいダメ出しをしているが、もう限度かもしれない。むしろ役者の自由なエネルギーに任せたほうがいい舞台ができるだろうという段階にきたと思う。
昼の部が終わったとき、何人かに声をかけられた。渡辺淳氏には近年観たチェーホフ劇の白眉とまで言われていささか面はゆかった。夜の部の終演後は稽古場で、青学の学生さんたち20名近くと指導の先生と、劇団側は田中壮太郎、田中美央、鶉野樹理、安藤みどりなどともに、1時間余り観劇後の歓談をする。若い人たちの感想を聞けて、考えるところ多かった。最近の若者たちはチェーホフとは無縁の世界を生きているかと思ったけど、意外に素直に受容しているのを発見して嬉しかった。

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11月13日(木)研究生の「おさらい会」そして二日目の舞台
今日は1時半から研究生の「おさらい会」があった。1年生は日舞、歌、ダンスの3課目、2-3年生はマイムの発表。おさらい会を始めてもう何年になるか、年々充実した内容になってきた。これもひとえに指導する先生方の熱意と愛情のたまものと感謝する。歌や踊りやマイムで体を動かすことは、決して技術の習得のためではない。人間は本来、心の動きが高揚して歌や踊りになるから、いわゆるダンスや音楽が生まれてきたのだ。そのような心の動き、魂の鼓動を自らの内に実感し蓄積することが、俳優の仕事にとっていかに根元的な意味をもっているかに気づいてほしい。研究生期間だけでなく、体を動かすこと・歌うこと・踊ることがいかに生命力の源であるかに思いを致してほしいものだ。

二日目の「三人姉妹」の舞台は、全体にエネルギーの低下を感じた。二日目のジンクスといえばそれまでだが、かなり多くのチェックポイントがある。客席はほぼ満席で、反応もあってカーテンコールの拍手も熱かったが、まだまだ努力を要する。終演後HUBで11時まで。帰宅すると、山田太一さんから初日観劇の感想を綴った原稿用紙2枚のファクスが届いていた。「とてもいい舞台でした」という言葉は昨日の終演後聞いていたが、どうよかったのかの内容が詳しく記されている。殊の外うれしい。


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11月12日(水)「三人姉妹」初日
ぎりぎりまでじたばたしたが、無事幕が上がった。補助席も出て満員御礼の盛況であった。初日特有の硬さもあったが、出来は悪くなかったと思う。カーテンコールの拍手はかなり熱かった。何人かから「三人姉妹」がこんなに面白い芝居だとは思わなかったとか、初めてこういう芝居だったのかと気がついた、というような感想を聞いた。辛口の批評も勿論あった。ともあれ、初日の硬さは拭いきれない。もっと大胆に心が動かないと、ドラマのダイナミズムは生まれない。今日の舞台はそれの予感程度で、生煮えの感があった。もう少しテンポが上がり、緩急・強弱のリズムが生まれてほしい。みんな安全運転にすぎる。脱線はよくないが、レールから外れそうなハラハラドキドキがほしいものだ。多分日を追ってよくなると思うが、レールはあるのだから、あとは思い切って走ってもらいたい。

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11月11日(火)GP
11時からの転換稽古から立ち会う。午後1時半から1回目のGP。チェックポイントを何カ所か返しながら5時前に最後まで辿り着く。ダメ出し30分ほど。6時半からの2回目はノンストップで通す。2幕と3幕が少し間延びしている。テンションが上がると、いつものことだが若手たちのセリフが聞き取りにくくなる。場数を踏まなければクリアできないとも言えるが、だからと言って許しておいてはならない。終わってから楽屋でダメだしを始めるが、時間切れでロビーに移動してダメ出しの続きをやる。その後、女優陣中心にHUBでビールなど傾けながら歓談。11時半近くに引き上げる。明日は午後に最後のGPをやって初日を迎える。

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11月10日(月)仕込み
いよいよ劇場へ入る。寝不足のだるい体を引きずって11時前に六本木へ。いろいろ無理な注文をした舞台装置は、実際に見るまでは心配だったが、杞憂にすぎなかった。シンプルでスピリチュアルな味わいがあって、予想を超える出来映えに思える。今日は稽古はなしで、技術的な作業のみに集中した一日。
朝から小雨まじりでぐっと冷え込んだ一日だった。帰宅して玄関前の郵便受けの前に黒い子猫が一匹、寒さに身を縮めてうずくまっていた。エレベータに乗ろうとすると、一緒に乗り込んできて足下に鼻をすりつけてくる。部屋の前までとぼとぼとついてくる姿を見てると、つい哀れをもよおし、部屋へ入れて食べ物をやる。今は膝の上ですやすやと眠り込んでいる。

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11月9日(日)
当日の観客に無料で配るリーフレットを作成しようという話になり、それの作成を引き受ける。今日は本番前の唯一の休みで、朝からそれに取りかかる予定だった。レイアウトソフトがOS-9でしか動かないので、そちらに切り換えて作業を始めようとしたが、どうも調子がよくない。トラブル・シューティングだけで夕方までかかってしまった。リーフレットの完成は翌日の明け方になった。

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11月8日(土)
昨日の通しで全体のテンポ・リズムが停滞しているので、今日は思い切って早回しとノーマルの繰り返しで全幕をやる。休憩15分を入れて全体で170分を目指しているが、何とかクリアできそう。早くやればいいのではなく、緩急・強弱のテンポ・リズムのダイナミズムがまだ足りない。来週劇場へ入ってからもう一がんばり。

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11月7日(金)
初めて衣裳を着けて通し稽古。三十数年前の上演時の衣裳だから、かなり重い作りで時代がかっているが、新しく作るとなるととてつもない予算がかかるので無理。軍服以外はもう少しひなびた感じがいいのだが仕方がない。当初からそれを前提にプランを練ってきた。なるべく古めかしくならないように、他の部分で新鮮味を出したいと思う。何よりもまず演技であり、それから装置、照明など・・・。

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11月6日(木)
各幕の最終チェック。問題点を修正しながら7時までかかって一通り。昨日の早回しの効果は余りなく、前半はテンポ・リズムが元に戻ってしまった感じ。後半は少し持ち直したが、よいリズムを定着させるには、もう一度早回しをやる必要がある。しかし、後退しているわけではなく、確実に一段階上がったのは言うまでもない。

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11月5日(水)早回し稽古
先週のうちに早回しをやっておきたかったが、セリフが完全に入っている状態でやらなくては意味がないので今日になってしまった。各幕早回しとノーマルを繰り返しながら全幕をやる。早回しの効果はてきめんであった。ノーマルスピードでの時間が短縮されただけでなく、芝居に生き生きしたリズムが生まれてきた。ようやく長い助走が終わりに近づき、飛翔への準備が整いつつある。浮力がつきつつある。離陸へ向かっての緊張の一週間が始まった。微調整を繰り返しながら、その時を迎えることになる。

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11月4日(火)
いくつかの問題を抱えながらも、初めて全幕の通し稽古。まだかなりのばらつきがある。すでに第4コーナーをまわって、直線コースにさしかかっている。あとはじたばたせずに最善を尽くすのみ。

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11月2日(日)
ケーブルテレビの回線でインターネット接続できるようになった。まだ8Mだが、今月中に30Mになる。ようやく64Kのストレスから解放され、サイトのメンテが楽になる。

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11月1日(土)
今日は予定を変更して第1幕と第2幕だけの稽古。1時から5時まで、細部にこだわって手直しと調整を行う。第3幕と第4幕は来週月曜にやる。
夜は朝日カルチャーセンターのフェルデンクライス講座のため、5時半前に劇団を出る。朝日のレッスンは、背筋の調整レッスンと胸郭を捻る動き「両腕の三角形」を取り上げる。

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10月31日(金)「三人姉妹」
10月も今日で終わり、稽古も最後の山場に差しかかった。日録を書く余裕もない日が続く。今週は火曜から毎日全幕をやっている。全体に少しウェットになりすぎていること、日常的リアリズムに傾斜しすぎてきたことが気になる。湿気を取らねばならない。心理主義という悪しきリアリズムに足を取られないようにせねば。

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10月28日(火)
今日は1幕から4幕まで小返ししながら一通りやる。
帰宅して久しぶりに俳優座サイトのメンテを行う。だいぶ遅くなってしまったが「三人姉妹」の稽古風景などをアップする。

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10月27日(月)
テキストレジの確認だけで2時間かかる。そのあと、3幕と4幕の稽古。通してやれなかったので、時間の計測はまだ。

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10月26日(日)テキストレジ
上演時間は休憩を入れて3時間以内を目指しているが、今の段階で計測するに、20分余り超過している。今日は朝から台本とにらめっこ、とりあえず第3幕まで終えたが、まだ目標値まではほど遠い。今夜中にどこまで行くか。改めてチェーホフのセリフに無駄がないことに驚く。

すでに月曜の午前4時近く、ようやく最終幕まで辿り着く。多分10分以上は縮まったはず。あとは演技で各幕3分ずつ縮まればいいわけだ。勝算あり。

この度、我が住まいの団地にケーブルテレビが入ることになり、それの工事は2週間前に終わったが、今日インターネット回線の工事が完了し、ようやくブロードバンド時代の陸の孤島から解放されることになった。今まではIフレッツ ISDN で我慢していたが、FCJや俳優座サイトのメンテをするには、ストレスが溜まってたまらない。これで少しは楽になるか。

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10月25日(土)
1-2幕を稽古、そして振付の沢さんに踊りの部分をチェックしてもらう。ダメだしを終えて5時半。その後、ボルシチとウォッカなどで「ロシアン・パーティ」で盛り上がるが、家でやらねばならないことがあるので早めに引き上げる。

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10月24日(金)初めての全幕通し稽古
まだまだ問題は多いが、とりあえず見切り発車で通してみた。案じていたほどではなかった。ギャラリーが多かったので今までよりもテンションが上がり、好結果につながったのかも。稽古後、音響効果の打合せと踊り部分の振付。来週はできるだけ全体を通すことにしよう。

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10月23日(木)
第3-4幕の通しとダメ出し、そして抜き稽古。まだそれぞれに迷いがあって全体にぼやけている。幕切れの三人姉妹の場は、イメージはあるがまだ形にはならないもどかしさ。もう思い切るべきときだ。

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10月22日(水)
午後1時から、第1幕と第2幕、つまり第1部の初めての通し稽古。まだこの時期だから仕方ないが、全体の流れはガタガタである。しかし、通しのお陰で問題点がかなり明確になる。1時間近くダメだし。そのあと、ヴェルシーニンとトゥーゼンバッハの議論の場を抜き稽古。その後、男性の衣裳合わせ。

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10月21日(火)
第4幕の稽古。幕切れについて少し議論をする。方向は見えているけど、それに向かってボルテージが上がらないと最終的なイメージは明らかにならないとも言える。それに至るプロセスを各人物の内部で十分に燃焼させなければならない。
稽古後は後藤さんによる歌の稽古。それから衣裳部で女性陣の衣裳合わせに立ち会う。9時近くまでかかる。

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10月20日(月)
第3幕の稽古。小返ししながら一通り、かなり変更する。5時過ぎから通してみた。まだ10分ほどオーバーしている。芝居でだいぶ縮まるとはいえ、若干テキストレジの必要があるだろう。稽古後、舞台美術の打合せ。模型を前に一通りシミュレート。これで行けるとなってあとは発注にかかるだけ。朝から満足に食べてなかったので帰りに亜州菜館に寄る。報知の安達さん、制作の山崎、可知靖之と一緒になる。遅れて研究生の荒木、落合が合流。小一時間で引き上げる。
帰宅して寝る前にローレンス・オリヴィエの「三人姉妹」のビデオを観る。オリヴィエが監督をしてチェブトゥイキンを演じている。出来はよくない。チェーホフ作品の本質である水面下のドラマが感じられない。全部を表にさらけ出すような演出。ずいぶん薄っぺらなチェーホフになっている。役者たちはみな上手いことは上手いか、チェーホフの登場人物にはなっていない。

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10月19日(日)
久しぶりの休み。昨夜は帰宅してワインを一杯飲んだだけでどっと疲労感に襲われ、そのまま寝てしまった。今日は気分転換に、午前中はワールドシリーズ、夜は日本シリーズを観る。どちらも予想外の展開となった。

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10月18日(土)
稽古は第2幕。歌の部分を決めて一通り。振付の沢さんが稽古場へ。稽古は5時に終わって、新宿へ。朝日カルチャーセンターでのフェルデンクライス講座。
日本シリーズはダイエーが先勝か。タイガースはペナント終盤にめっきり調子が落ちていたが、まだ回復していないようだ。このままではダイエーに力で一気に押し切られるかもしれない。

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10月17日(金)「夢の泪」
第1幕のみの稽古。幕開きの部分のミザンセーヌがどうもうまくないので、いろいろ試みてみる。まだ決まらないが、多少はよくなったような気がする。それにしても、哲学論議じみたおしゃべりの場は難しい。つくづく我々日本人は議論が下手だと思う。この場面が面白くないと「三人姉妹」は成立しない。いまだ前途多難。稽古後、歌だけの抜き稽古。

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10月16日(木)
稽古は第3-4幕。まだ問題が多いが、とにかく焦らないことだ。稽古後、新国へ「夢の泪」を観に行く。残念ながら期待はずれ。東京裁判を素材にした3部作の第2部ということだが、井上ひさしさんらしいひねりが足りず、生にメッセージが顔を出す。

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10月15日(水)
第1-2幕の稽古。月曜の復習のようなことになってしまったが、若干発見もあった。それにしても「三人姉妹」という作品は、相当な難物だ。今までになく周到に準備したつもりだが、いざ稽古を進めてみると、次から次へと難題が降りかかってくる。往復の車中や帰宅してからは、今までだと、たまにしか台本を開くことがなかったのに、今回は毎晩寝る前まで台本を閉じることはない。開いたままテレビを観たり、関係のない活字を読んだりしていることが結構多いが、いつの間にか「三人姉妹」に戻っている。それほどにも厄介な作品だとも言えるが、それほどにもエネルギーをかき立てる作品だとも言える。
今日は、音楽の後藤浩明氏に来てもらって、最後に歌の稽古も行った。

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10月14日(火)
六本木の稽古場へ戻ってきて2日目。昨日は第1-2幕、今日は第3-4幕とやってとりあえず全体を見渡せる位置に来た。芝居の稽古後、劇中ロシア民謡をいくつか歌うので、それの稽古をする。芝居の方は細部のブラッシュアップに並行して、全体の流れ=リズム・テンポの調整に取りかからねばならない。曖昧な細部があちこちにある。それに芝居にまだ弾みがない。各自が自分を表現することに集中しすぎる。相手とのキャッチボールが足りない。サッカーに例えるならば、ボールを持ちすぎて、パスまわしが遅いので、全体のきびきびした動きが生まれない。動きの少ないだらだらした試合を観ているようだ。一人でサッカーをやってはいけないということ。まぁ、この段階では仕方ないけれど、努力目標がはっきりしてきたということだ。

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10月10日(金)
昨日第3幕、今日は第2幕、明日第4幕で二巡目を終わることになる。今日の稽古前に島次郎さんと舞台美術の打合せ。だいぶ煮詰まってきた。来週に最終的な打合せをして決定することになる。これで第一関門を通過。次は、音楽、衣装、振付ということになる。演技のほうは、とりあえず基本デッサンが何とか形になりつつある、というところか。まだまだ消したり書いたりしなければならないが、目指す方向だけはだいぶ見えてきた。それに向かってみんなの気持ちがどうまとまるか、目指すものがばらばらじゃ困る。一枚岩になる必要はないが、自分のために芝居をするのではなく、相手を助けることが結果として自分を活かすことになる、そういう方向を目指して欲しい。勿論、これからの作業は並大抵ではないが、結果を気にせず毎日の一歩一歩を大事にすることが肝要。

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10月8日(水)稽古は再び第1幕
稽古は二巡目に入り、今日は第1幕。明確なストーリーがあるわけでなく、誰が主人公というわけでもなく、大きな出来事は直接舞台では行われずに裏側で起こる。人物も行動も複雑に重層的に絡み合っている。まるで複雑極まるジグソーパズルを前にした気分である。膨大な数のピースを配置しながら、試行錯誤を重ねるしかない。これからまだまだ苦労が続く。しかし、わくわくするような作業であることは間違いない。
稽古後は劇団へ戻り役員会の会議で9時まで。「三人姉妹」の売れ行きはかなり良好のようだ。

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10月6日(月)第4幕の立ち稽古
ようやく第4幕まで辿り着く。ホッとすると同時に、これからの課題を目の前に並べて、さてどうするべえかとしばし佇む。一つずつ解決するしかないのだが、時間との勝負になる。随分長い稽古期間を取ったつもりだが、早くも1ヶ月が過ぎようとしている。焦ることはないが、気の抜けない毎日が続く。
明日は稽古休みなので、ささやかな宴会を開いてこれからの弾みをつける。オリガのセリフ「明日はお休み」が身にしみる。

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10月5日(日)10月の日曜コース
講習会で泉岳寺へ。芝居の稽古場と階は別だが、同じ建物内でフェルデンクライスのレッスンを行う。第1部は初めての人が多かったので、基本的な動きを取り上げる。行きの車内でモーシェがロンドンで1974年に行ったワークショップの記録を読みながらレッスンの構想を練る。基本と言っても別に初心者向けとうわけではないが、個々の段階で焦点をどこにおくかによって、初めての人でも経験者でも、深い気づきを得ることはできる。第2部では、肩から胸郭にかけての動きを中心に2種のレッスンを行う。
帰宅して「三人姉妹」の舞台装置に関していくつかのポイントを洗い出して島さんにファクスを入れる。次回の打合せ(10日)までにクリアしなければならない問題がいくつか出てきた。

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10月4日(土)
今日は予定を変更して第2幕の稽古。徐々に問題点がはっきりしてきた。月曜日に第4幕をやって、全体的に問題点を整理して先へ進むことになる。
稽古後は朝日カルチャーセンターで今年度第4期のセグメントが始まる。テーマは再び「腰痛・肩こりからの解放」。今日は肩に集中したレッスンを行った。帰宅して冷蔵庫が空っぽだったので23時まで営業しているイトーヨーカドーまで買い出しに出かける。

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10月3日(金)
今日は第3幕。火事騒ぎの中でみんなの胸の騒ぎもピークに達し、抑えつけられていたものが一斉に吹きこぼれる。それぞれの想いがぶつかり合い、火花を散らしながら、空しく虚空の中に拡散していく。残されるのは夢と希望の瓦礫のみ。何とも残酷な幕切れ! これを第4幕でどう受け継ぐか。
稽古後、六本木オリベホールで長谷川孝治作「季節のはざま」を観る。後半餅搗きの場が延々と続く。東北の餅搗きは関西とは違うのだろうか? 僕が田舎で体験した餅の搗き方と随分違うのが気になって気になって、芝居に集中できなかった。

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10月2日(木)
今日は第2幕を一通り立つ。ミザンセーヌの大枠を決めるだけで、あっという間に時間切れ。稽古後、「十二夜」の旅が終わったばかりの後藤さんを交えて「三文オペラ」の打合せ。上演までまだ1年以上あるが、準備には膨大な作業が必要だ。上演までの大まかなタイムテーブルをまとめる。

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10月1日(水)
「三人姉妹」は今日から立ち稽古のスタート。まだテーブル稽古の延長だが、今日は第1幕のみ、とりあえず一通りやる。まだかなり大ざっぱではあるが、動いてみると、いろんなことが見えてくる。ほんとはもっと時間があるといいのだが、贅沢は言ってられない、これでも普段の稽古の1.5倍ぐらいの期間をとっているのだから。無理やり第1幕の幕切れまで辿り着いた。全幕をやってからの話ではあるが、装置プランに若干の変更を加えることになるだろう。

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9月30日(火)「ワーニャ伯父さん」俳優座稽古場
劇団俳優座創立60周年記念公演の第1弾「ワーニャ伯父さん」の二日目の舞台を観る。非常に暖かい雰囲気に包まれた、好舞台であった。狭い空間を上手く使っていた。やはり目を引くのは、舞台中央に位置するビリヤード台だ。登場人物がときどき実際に玉を打つのだが、腕前の方はご愛敬として、妙なゆとりを持ち込んで芝居をなごませていた。一つだけ、幕切れのセリフの一部を歌にしたのはどうだろうか、ぼくはセリフのままのほうがよかったと思う。

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9月29日(月)稽古場は泉岳寺へ
先週は狭いマンションの一室で、小人数の抜き稽古中心だった。今日はからは泉岳寺TMA5Fの明るい空間、品川近くのJRの線路を見下ろす部屋。やはり稽古にはその空間の雰囲気は大事だ。第1幕と第2幕の最後のテーブル稽古。徐々に水面下で発酵しているような気はするが、テーブル稽古はもう限界に来ている。これ以上続けると、観念の遊技になってしまいそうだ。明日ようやく全員が揃うので、これを最後のテーブル稽古に明後日からは動き出すことにする。

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9月22日(月)ボブ・ウィルソンの「ヴォイツェク」
近年、外国から来る舞台で余りいいものに当たらなかった。昨年のP・シュタインの「ハムレット」、ムヌーシュキンの太陽劇団「堤防の上の鼓手」など、期待が大きかった分、失望も輪をかけて大きかった。満足したのは、ブルックの「ハムレットの悲劇」とベルリーナ・アンサンブルの「リチャード2世」ぐらいしかなかった。ボブ・ウィルソンの作品は、1975年にパリで「ヴィクトリア女王への手紙」、1988年に東京で「岸辺のアインシュタイン」を観ただけで、近年のものは全く知らなかった。
今回の「ヴォイツェク」は、余り期待しないで出かけたが、あの無邪気な前衛青年だったボブ・ウィルソンが驚くべき成熟を遂げているのを目の当たりにして目を見張った。ウィルソンの持つ近代的な知的構成と音楽のトム・ウェイツのコンビが絶妙。音楽の、センチメンタルに堕しかねない、ぎりぎりのリリシズムと演技・演出の知的抽象性が微妙なバランスを保っていた。舞台美術、照明、演技者のムーヴメントも見事であった。舞台を観てこれほど豊かな気持ちを味わったことは久しくない。残念ながら、客席はかなりの空席があった。満員盛況でも、見終わって空しい気持ちを抱いてとぼとぼと帰路につく舞台が多い昨今なだけに、こういう舞台を観る観客が増えてほしいと痛感する。終演後のロビーで舞台美術の高田一郎さんに出会い、有楽町のガード下の酒場(これがかつての雰囲気とはがらりと違うのでビックリ)でワインを飲みながら歓談。高田氏は、ウィルソンとの交遊に浅からぬものがあるという。話が弾んで気がつけば終電間近だった。明日は稽古後、島さんとの舞台美術の打合せがある。

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9月20日(土)
「三人姉妹」は、火曜から金曜までの4日間で各幕のテーブル稽古の2巡目を終える。登場人物の生きる希望と、それを演じる役者自体の生きる希望がどのように交錯するか、演技者個々が自らのモスクワをどう実体化出来るかに上演の成否はかかっている。表現がパターン化しないよう、稽古の進め方にも戦略が求められる。
今日から来週一杯、稽古は狭い部屋に移る。来週の稽古は予定を大幅に削って3回にする。
6時半からは、朝日カルチャーセンタでフェルデンクライス・メソッドの公開講座。一日だけのレッスンだが、30名の定員が満員になる。朝日カルチャーセンタで講座を始めた頃は、毎回受付開始日に締め切りとなるほどの盛況だったが、バブル崩壊後、十数名名から二十数名の間を往復していたが、久しぶりに大台を突破したということになる。

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9月15日(月)第4幕のテーブル稽古
二日間の稽古休みを置いて、今日、やっと第4幕へたどり着いた。今月末までは、主要人物の二人が欠けたままの稽古になる。マーシャとアンドレイが他の舞台に出演しているが、二人の参加を待ってスタートしてのでは時間切れで幕を開ける羽目になることは必定。それまでの約3週間に出来るだけのことをしておきたい、というわけで戯曲を細かく分割して、ブロック毎の稽古方法をとる。しかし、このやり方にも長所がある。戯曲の構造がきわめてはっきりと見えてくるのだ。何となく感覚で流していたような部分が意味づけを要求してくる。
さて、一応幕切れまで辿り着いて、改めて痛感するのは、この作品はチェーホフの「ゴドーを待ちながら」であるということだ。最近の数々の論者が言及していることで、目新しいことではないが、三人の姉妹が待ちこがれているモスクワはついにやってこない、登場人物の希望は何一つ実現されない。現代の人間の条件は「ゴドー・・・」だと言ってしまえばそれまでだが・・・。その不条理の生々しさを、これほどにも見事に詩的に形象化しえたのは、チェーホフの透徹した視線だ。チェーホフの心の中には、すでにブレヒトとベケットが住んでいた。

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9月14日(日)京都WS
京都の残暑はまだ厳しかった。26回目の京都ワークショップも無事終わる。前回に引き続き「声と動き・腰痛肩こりからの解放」をテーマに二日間にわたって行った。毎回初体験の人の参加が全体の3分の1ぐらいある。今回は、今までになく基本に立ち返って組み立ててみた。その分、レッスンの数は少なくなったが、初めての人たちも分かりやすかったようだ。先週からの稽古でかなり疲れ果てていたが、やっているうちに元気と調子が出てきた。
第27回は来年5月8-9日、第28回は10月23-24日に決まる。次回のテーマは「呼吸と声および胸郭の解放」とする。

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9月12日(金)第2幕のテーブル稽古
3時半からの稽古。ブロック毎に区切って読みながら人物関係と細部のデータについて話し合いつつ、セリフの修正もしながら進める。あと1回、来週月曜で4幕まで一通りやることになる。となりの第1稽古場では、いよいよ「ワーニャ伯父さん」のセットも組上がり、初日へ向けてピッチが上がってきた。
明日・明後日は京都ワークショップ。26回目を数える。7時半のバスに乗らねばならない。早起きは苦手だ。

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9月11日(木)第3幕のテーブル稽古
出演者の関係で、第2幕は明日にまわし、今日は第3幕の読み。火事騒ぎで気が動転し慌てふためいた後、火の手もようやく収まりかけた明け方近い時間、登場人物たちは、それぞれに疲れ果てている。絶えず鳴り響く半焼の音が不安をかき立てる。その場の雰囲気をつかむには少し時間がかかりそうだ。

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9月10日(水)テーブル稽古始まる
今回はテーブル稽古を綿密に行う予定。今日は実質的な稽古初日、1時半から6時半までかけて第1幕のみ。滑り出しとしては上々。昨夜は神経質になり、なかなか寝付かれなかったが、心配は杞憂だった。まずは出演者みなを信頼することだ。何人かと亜州菜館で歓談に興じているうちに、カラオケやろうとなって、実に実に久しぶりに歌う羽目になってしまい、深夜バスの最終便で自宅へたどり着いた。明日の準備をしているうちに、はや午前3時になる。先はまだ長いのだ。油断は禁物だが、のんびり行くとしよう。

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9月9日(火)
次から次と追いまくられてるようで落ち着かない毎日だ。明日から稽古が本格的に始まるので、今日ばかりはと完全に休みにした。それでも何かと雑事に紛れて、仕事らしいことを始めたらもう夜になる。夜型人間の癖はもう治らないだろうから、これでよしとするしかない。ジョージ・ケナン「シベリアと流刑制度」の後書きを読んでいたら、チェーホフはやぱりこの本に触発されてサハリン行きを思い立ったとある。どこかでそのような記述を読んだような記憶はあるが、それがこの書物とは結びつかなかった。チェーホフの「サハリン紀行」も、夢中で読んだ記憶はあるが、細部は殆ど忘れてしまっている。稽古中に何とか再読してみよう。

この忙しいのに、オンライン・オークションというのに初めて参加してみた。入札ではなく、出品してみたのである。オークション・サイトにアクセスしたのも初めてというずぶの素人ながら、大胆にも出品して約1週間、昨夜無事落札された。こんなものが売れるのかというようなものがゴマンと出品されている。誰がどんなものを出品していて、誰がどんなものを買うのかとあちこちクリックして調べて推測して楽しむこともできるが、実に面白い。捨てるには惜しいが使わないものは、家中にずいぶん転がっている。売れるか売れないかは運試しでトライしてみるのも一興かも。欲を出してはまり込まないようにはしたほうがいいだろうが。

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9月8日(月)
午後4時から新宿で島次郎さんと「三人姉妹」最初の美術打合せ。今や超売れっ子の装置家の一人。基本的なコンセプトについては合意、後はそれをどう実現するか。方向は、リアリズムを捨てて、ある種の象徴性、抽象性をもったシンプルな構造を目指す。ドアや部屋の壁などはなし、小道具も家具類なども抽象化することになるだろう。外国の芝居であるし、細部の日常生活的リアリティに拘ると、人間関係の力学が見えなくなってしまうきらいがある。むしろ日常的リアリティを排して、重層的な人間関係、ポリフォニーを明確に表現するには、無駄なものを省いて、シンプルな表現に徹するにしくはない。

夜は新国中劇場で維新派「nocturne」初日を観る。入りはイマイチ。維新派は初めて観る。印象は散漫、主題は拡散して焦点が欠落している。野外での上演を続けてきた集団だそうだが、初めての室内で、しかも多彩なメカニズムを駆使している分、貴重なものが失われてしまったのではないか。たまに新鮮なイメージを感じる瞬間はあったが、それも次の退屈な時間の流れの中に埋没してしまう。過去に観たリチャード・フォアマンやロバート・ウィルソンなどのイコノグラフィックないくつかの舞台が思い浮かんだが、あれらの方がはるかに衝撃的な要素があったな。それにしても、セリフの言葉が全然聞こえてこないのには、ほとほと参った。セリフはどうでもいいのかも知れないが、ではこれはなんなんだ?と言いたくなる。言葉なんかしゃべらない方がいいのではないか。声を使うなら使うで、も少し訓練してほしい。やっぱり野外でおやりになったほうがいいのではないだろうか。

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9月7日(日)
今月の日曜コース。8月は下旬だったから、余り間がなかった。今週から稽古が始まるからやむを得ずこの日にした。最後に仰臥から立ち上がる動きをやろうと思ったので、それに向かってレッスンを積み重ねた。最初に「ハヌカの燭台」と名のついたレッスン、次に体を捻って後ろを見る「フェルデンクライス訓練法」のレッスン10の変形、三つ目は仰臥から腕を天井へ伸ばし、その動きを延長して坐るまで。最後の立ち上がるレッスンは思ったよりスムーズに行った。
ジョージ・ケナンの大著「シベリアと流刑制度」(法政大学出版局)を読んだ。冒頭にペルミの街での事件が描かれている。チェーホフが「三人姉妹」の舞台は「たとえばペルミのような地方都市」だとゴリキー宛の手紙に書いている、その街のことだ。サハリンを目指してモスクワを発ったチェーホフは、ニージニー=ノヴゴロドから船でカザンを経てペルミへ着き、そこから列車でエカチェリンブルグを経由してシベリアの地へ入った。ペルミは、ウラル山脈の西側の麓に位置し、まさにシベリア流刑地への入り口だ。モスクワまで2100キロ、シベリア鉄道はまだ開発前で、鈍行と急行を乗り継いで、おそらく3日以上かかったのではないかと思われる僻地である。人口は1885年頃で3万2千人(現在は110万人)の小さな田舎町。三人の娘たちの「モスクワへ!」という願いの切実さが分かろうというものだ。

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9月6日(土)
朝日カルチャーセンターの「声のレッスン」シリーズの最終日。前半で頸部の緊張緩和をテーマに、頭頂を床に置いて頭を転がすレッスン。その後、共鳴の階段を土台から最上段までを往復。また、口蓋のどこに声を当てるかによって声の質が変化することを確認。頭蓋の共鳴。声の身体感覚を深めること。声の自己イメージの重要性。等々。次回はフェルデンクライス入門講座になる。

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9月4日(木)
「三人姉妹」の時代背景を理解するため、一日家でロシア史の復習をする。新たに取り寄せた「ロシア史」も加えて数冊を広げて読み比べる。19世紀最後の10年を知るには、少なくともピョートル大帝時代までさかのぼらねばならない。とりわけ、ゼムストヴォ(地方自治会)と当時の少数民族のことを調べる。チェーホフは、三人姉妹の舞台をペルミのような地方都市だと言っている。ペルミはウラル山脈のほとりにあって、シベリアの入り口だ。ヨーロッパ・ロシアの東端で、モスクワからは2100キロ、シベリア鉄道完成前の当時にあっては、その距離感は相当なものであろう。そう、それはまさに流刑地のようなものであったのだ。

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9月3日(水)
研究生1年(16期生)のレッスンは、来週からは本公演の稽古に集中するため、残念ながら今日が最終日となる。中間発表で二ヶ月余り付き合って、ようやく各人の特徴がつかめてきたばかりで分かれるのは誠に辛いが仕方ない。午前中はルーシー・アーロンの動きのビデオを観て、みなの感想をきく。フェルデンクライス・メソッドの可能性について、多少は認識を深めてくれたか。仰臥から立ち上がる動きのレッスンをやる。午後は声のレッスンを取り上げる。修了公演でどんな変貌ぶりを見せてくれるか。
6時からは劇団で演出部会。その頃から激しい雷雨。あちこちで停電騒ぎ、電車のダイヤも大いに乱れる。会議は1時間程度で終わり、その後、亜州菜館で歓談、9時過ぎまで。

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8月31日(日)
午後2時から、演技部主催の集まり「愛しのアントン」と題して、チェーホフをめぐる懇談会を稽古場で。ゲストにイプセン研究家であり演出家である毛利三弥氏を迎えて、袋正氏と安井がパネラーとなる。話題が盛り上がって、終わってから戸風炉で歓談。

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8月30日(土)
朝日カルチャーセンターのフェルデンクライス講座。お盆休みが入ったので、実に久しぶり。声のレッスンの4回目、顔面の共鳴をテーマにする。この部分の共鳴は、胸部、喉頭、口腔の割合単純な共鳴に比べると、迷路のように入り組んでいる。この部分の使い方は千差万別で、個人差が激しい。それにここは、最も自分の内面をさらけ出しやすい部分だから、自己防衛のメカニズムが強く働く。顔面筋肉の働きによって共鳴をコントロールし、声にベールをかけてしまう。この部分の開発こそ、自然な声の解放に不可欠な作業である。

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8月29日(金)「三人姉妹」
今日は何人か抜けたが、代役を立てて全体を読む。昨日とは打って変わって、関係が見えてきて、後半になると、心ゆさぶられる瞬間が何度か訪れる。一日でこれほど変わるのも驚きだが、改めて作品の力を痛感させられた。いい舞台になるというかなり確かな予感がする。
これでしばらく休んで、9月10日から本格的に稽古を再開する。
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8月28日(木)「三人姉妹」稽古初日
初顔合わせ。11時から午後4時まで。出演者全員がそろうのは今日を逃すと一ヶ月後になる。船出の時くらいは全員顔をそろえなければ、と言うわけで、ちょっと早いが今日になった。一通り読むだけでも3時間半はかかろうかという作品、幕ごとに簡単なコメントを入れながら進行して、何とか時間内で最後までたどり着く。初めてだから仕方ないが、呼吸がばらばらで、役のセリフを言うのが精一杯という感じで、相手との関係に意識が行く余裕がない。終わって、9月10日からの稽古スケジュールを助手の山田君と二人で作成する。1日1幕分ぐらいの内容で、4日で全幕という形で細かく検討する。9月19日までの予定を立てる。

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8月27日(水)研1のレッスン
後期は「三人姉妹」の稽古が始まるので、最初の2週間しかレッスンができない。今日は久しぶりに朝7時起きで泉岳寺へ。先日の中間発表のビデオをみんなで観て、後で各自の感想を述べ合う。4時から六本木へ戻って「三文オペラ」打合せ。

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8月25日(月)
今日も真夏の暑さ。午後2時からの会議のため劇団へ。企画委員会と役員会。後者は結構長引く。

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8月24日(日)日曜コース
夏が戻ってきたような、暑い暑い一日。11時に家を出たが、すでにうだるような真夏の暑さの中、泉岳寺へ向かう。参加者は少なかったが、気合いを入れてレッスンをやる。上半身・胸郭の解放をテーマに4種のレッスン。かなりいいレッスンが出来たと、自画自賛する。
レッスン後の歓談はなしで、まっすぐ帰宅する。野球中継をちらちら観ながら、「三人姉妹」の演出ノートの続きを書く。

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8月20日(水)
実に何年ぶりかで健康診断なるものを受ける。簡易人間ドックで約2時間のコース。10年近く受けてないような気がする。辛いのは前日の夕食以後、何も食べず飲まずにいなければならないこと。多少禁を犯しはしたが割合真面目に早めに寝る。6時半に起きてこれも久しぶりのラッシュアワーの電車に揺られて新宿まで。12時頃に解放され、軽く食事をしてから演出者協会の理事会に出席。会議は終わるところであった。
帰路、銀座の伊東屋に寄って買い物を少々。明るい家に帰宅。今年から来年秋までのスケジュールをチェックする。フェルデンクライスの日曜コース日程も大枠を決める。上半期だけでもそろそろ発表しなければ。

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8月19日(火)
この1週間、土曜日に芝居を観に出かけただけで、殆ど家にいて溜まった仕事を片づけていた。多少整理はついて先の見通しも少しは明るくなったというべきか。

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8月16日(土)こまつ座「頭痛肩こり樋口一葉」
夏はどこへ行ってしまったのか。降り続く雨の中新宿へ。サザン・シアターでマチネを観る。20年前に初演したものを2年ごとに再演しているというのもすごい。楽しませる要素が随所にあって、なんともにくい舞台に仕上がっている。新橋耐子の花蛍が舞台をさらっている。舞台の幽霊というのはいろいろ例はあるが、トリックスターとしてこれ以上の登場人物はないだろう。幽霊そのものは登場しないが、常に舞台に存在するという芝居に、安部公房の「幽霊はここにいる」があった。

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8月12日(火)
朝から机に向かい雑事を数々。デスクまわりを片づけるだけでもかなりの時間を食う。一仕事終わると、少しはのんびりしたいが、そうも行かない。「三人姉妹」と「三文オペラ」に関することを取り急ぎ先へ進めておかねばならない。夕方まで机にかじりつく。夜はマックの大掃除。ハードディスクに極重度のフラグメンテーション。1年近くのファイルがスパゲッティ状態でディスクの中でこんがらがっているのだろう。バックアップをとってから2個のディスクにSpeedDiskをかける。3時間以上かけて1個目が終わった。2個目はスタートして寝てしまう。

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8月11日(月)
昨夜は打ち上げで飲み過ぎたのか、劇団を出たのもはっきり覚えていないし、帰路の記憶が所々途切れているような状態。駅からタクシーで帰宅、そのまま倒れ込むように寝てしまった。若者たちは10人余りが朝までカラオケだったそうだ。10年ぐらい前までは付き合っていたが、もうその元気はない。

今日はゆっくりしたかったが、夕方からチェーホフ連続公演パンフ用の鼎談の予定があり劇団へ。村井健氏の司会で「ワーニャおじさん」演出の袋正氏と僕とで1時間余り。昨日までの仕事からまだ頭が切り替わらなくて、どうにも要領を得ない話しかできなかった。終わって亜州菜館で、制作担当の武田明日香、織田華子の両嬢も同席して9時すぎまで。村井氏のロシア体験談で盛り上がる。

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8月10日(日)千秋楽
研究生1年の発表会はマチネで終わり、稽古場は明日からの「戦争とは‥‥2003」の準備をして打ち上げ会場に。10時すぎまで盛り上がる。

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8月9日(土)二日目
二日目は落ちるというが、その言葉を見事に証明してくれた。昨日、受けすぎたのがいけなかった。台風の影響もあって、出足がにぶり、客席は8割程度の入り。予約して来なかった人も多い。夜の部はやや持ち直したが、初日の活きの良さはでなかった。ビデオはとりあえず成功。終演後、音楽の後藤浩明氏とHUBで「三文オペラ」について歓談。

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8月8日(金)初日
無事初日を迎える。客席は満員。冒頭から大いに受ける。演じる方は、予想外の反応に戸惑い気味。一人一人ができるだけ個性を発揮できることを目指してやってきて、かろうじてクリアした。今後苦難の道が待っている。記録ビデオを回したが、第2部の最初の場のとき、カメラに異常が起きた。明日、撮り直しだ。

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8月7日(木)明日は初日
いよいよだ。GP二日目。午後2時と6時半から、2度通す。徐々に上り調子。どんな初日を迎えられるか。

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8月6日(水)初日2日前
GP初日、ギャラリー若干名。二人ずつ組んで8つの場面をオムニバス形式で上演。右の写真は最初の場面と最後の場面。やっとそれぞれの個性が生まれてきた。本番ではもっと跳んでほしい。


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8月5日(火)
第2部の早回し稽古をやってから、通し稽古。4時には終わる。長い助走が終わり、明日・明後日は離陸に向かっての最後の調整。

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8月4日(月)
稽古は1時から第1部を2回、第2部を1回。ゴール前の直線コース、ここで力を出さないとどこで出すのだという段階。みんなに気持ちよくゴールを切ってもらいたい。6時半から劇団総会。1時間半という短時間で終わる。可知、松野、鎌田らとビールを飲みながら歓談、10時半近くまで。駅からは深夜タクシーで帰宅、0時半近くなる。

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8月3日(日)
ようやく本格的な夏の気候。じっとりと汗ばむ。一日家で雑事に忙殺される。

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8月2日(土)
梅雨が明けたらしいが、まだじめじめした一日。一通り稽古をして、後は転換の段取り稽古へ。6時半から朝日カルチャーセンターのレッスンだが、少し早めに新宿へ出る。西口のヨドバシカメラへより、小物を少し買って、HAITIで小一時間、レッスンの準備をする。住友ビルの隣の三井ビルのパティオで、恒例の「ケチャ祭」のセッティングが進んでいた。


開始までまだかなり時間があるのに、ギャラリーは満席に近い>>


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8月1日(金)
1時から、照明、音響を入れて、全体をやる。テクニカルな部分を修正し、返しながら4時過ぎに終わる。ダメ出しをして今日の稽古は上がる。照明を入れるとやはり集中力が高まる。何とか生きた流れが生まれてきたが、これから初日まで、上昇気流にのってほしいものだ。明日は11時開始。

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7月31日(木)あと1週間
多少の温度差はあれど、全体にだいぶ気合いが入ってきた。レールの上を安全運転するのでなく、少々の脱線は覚悟して思い切って走るのがいい。自分を縛っている自己イメージからどこまで自由になれるか、それに賭けてほしい。稽古は5時前に終え、6時から久しぶりの幹事会。8時半までかかる。

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7月30日(水)
昨夜は劇中音楽の編集で遅くまで。朝刊を読んでから寝る。行きの車中はさすがに眠い。午後1時から各場を一通りやり、5時過ぎから森脇氏を迎えて照明合わせ。非常に機能的なプランで、驚くほど短時間で終わる。連日の亜州菜館で森脇氏、舞台部の関、演出部の安藤と歓談。


雨の朝、バスを待つ間 iShot 1枚>>

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7月29日(火)
11時から一通り稽古した後、午後3時から可知靖之、青山眉子両先輩を迎えてメイク指導の時間。舞台メイキャップの基本を教わる。役者の楽しみは、何と言っても変身願望を満たしてくれることにあるが、メイクはかつて変身術の中でも最たるものであった。最近の新劇の舞台では、濃いメイクは敬遠されることが多く、素顔に近い状態が好まれる。しかし、メイクの可能性をもっと追求してみたいと思う気持ちはある。終わって可知、青山と亜州菜館で歓談小一時間。

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7月28日(月)
照明の森脇清治氏を迎えて、休み明けの通し稽古。緊張感からか、自分のやることばかりに気を取られて、相手との交流、つまりキャッチボールが無くなってしまう。どうもこのクラスは結果を気にしすぎる傾向が強い。たかが芝居・されど芝居とも言うが、もう少し演じることに没入して楽しむ術(すべ)を覚えたほうがいい。無論、下手に遊ばれても困るが‥‥。

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7月27日(日)
久しぶりの休み。昼前に起きる。ビデオで「三人姉妹」を2種、ニナガワ演出とペーター・シュタイン演出のもの。前者は情緒過多のメロドラマ、後者は心理的リアリズムの正統を行く演出。心理にも情緒にも深入りせずに、多少の叙事的スタイルを採ろうと思う。個々の人物の内面ばかりに集中すると、パースペクティブが失われる。

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7月26日(土)
11時から通し稽古を2回。さすがに草臥れた。まだ、いろいろ問題点はあるが、この段階で通せたことでよしとするか。音楽の選曲もとりあず終わった。時間は何とか2時間以内におさまりそうだ。プラス休憩15分。来週から最後の直線コースにかかる。

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7月25日(金)
今日は各場とも、黙りとノーマルで一通りやる。効果の著しい組とそうでない組がある。意識をどこに向けるかで違ってくる。間違えることを恐れると新しいものを受け入れることができない。
帰りは秋葉原へ寄って買い物。夕方から降り出した雨に会う。

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7月24日(木)
今日の稽古は各場早回しとノーマルを繰り返しながら一通りやる。各場とも15〜20%ほど縮まった。少し生きたリズムが生まれてきたかな、という感じ。あと初日まで2週間、いかに若ものたちの心を刺激・挑発できるかだ。
稽古後、企画委員会。懸案事項のみ論議して1時間ほどで終わり、そのあと、来年の「タルチュフ」の打合せ、およその骨格を決める。とりあえず一安心。

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7月23日(水)
稽古は第1部各場を1回、第2部はそれぞれ2回。今年の研1は、おしなべてクールというか、おとなしいというか、今のところまだ余り突出したものが感じられない。若いのだからもっとはじけてほしい。

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7月22日(火)
11時から5時半まで稽古。第1部は2回ずつ、第2部は時間切れで1回ずつ。今週は細部を修正しながら全体の流れを創り出す。一人一人の特徴がまだ十分出ているとは言い難い。みなうまくやろうとしすぎる傾向がある。結果など考えずに集中しなくては・・・。

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7月21日(月)
休日だが休んでいる余裕はない。やっと本拠地での初稽古。11時から各場の道具の配置をとりあえず決めて第1場から順に当たり稽古。泉岳寺でやってきたことはほぼ計算通りで、さほど修正の必要はなさそう。気がつけば、はや第4コーナー。まだ、音楽がいくつか決まってない。

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7月20日(日)
研2-3年の中間発表「薔薇の館」楽、そして打ち上げ。楽ともなれば満員の盛況。7時から10時までの打ち上げに付き合ってから帰宅。疲れが溜まっていたので早々に寝る。

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7月19日(土)
昼間は自宅でパソコンのメンテ、そしてホームページの更新など。4時には家を出て新宿へ。朝日カルチャーセンターの「声のレッスン」二日目。呼吸と声の土台について。

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7月18日(金)
泉岳寺で最後の稽古。午前中に第1部・第2部共に通してみる。まだつなぎの音楽もそろっていないし、道具の転換も決まってないから、ぶつ切れの通しだが、何とか全体の流れが読めるようにはなった。来週からは月曜から土曜まで、日曜のみ休みでやる。
夜は六本木で研2-3年の発表会「薔薇の館」Y組を観る。少しずつでも成長していく姿をみるのは嬉しい。しかし、この作品の世界に迫るにはよどほの感受性が要る。若者たちにはかなり荷が重かったであろう。

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7月17日(木)
第2部の稽古。稽古後、福田善之氏から連絡があり、新宿で会う。今日行われた日本演出者協会の件。新理事長の福田氏の推挙で理事会に名を連ねることになったので、その打合せ。事務局の和田嘉夫氏も同席。2時間ほどいろいろと説明を受ける。

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7月16日(水)
第1部の稽古。予定通り進行しているが、出来のほうはまだまだ。

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7月15日(火)
第2部の稽古。4時に終わってまっすぐに帰宅。昨夜からスキャナの具合がおかしい。OS-XだとOKなのだが、OS9だとスキャナを認識しなくなった。先週は使えていて、急にこうなった。FireWire接続をUSB接続に変更してやっと使えるようになった。スピードはやはり遅くなる。それにしても原因がわからん。根気よく究明するだけの余裕はないが、気持ちが悪い。eTypistのOS-Xネイティブ版が出ればいいのだが、メディアドライブにやる気があるのかどうか。

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7月14日(月)
10時からTMAで研1中間発表の稽古。泉岳寺での稽古、最後の1週間が始まる。木曜まで第1部・第2部を交互にやり、先週と同じく金曜に全体を通してみる予定。

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7月13日(日)
朝から「タルチュフ」上演台本作りの下準備と調べもの。夕食をはさんで12時近くまでかかる。

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7月12日(土)
久しぶりの休日。研究会の事務処理などのデスクワークに夕方まで没頭。近くの大型スーパーまで買い出しに行く。夜は「タルチュフ」のビデオを2種続けて観る。ロベール・イルシュ(コメディー・フランセーズ)のものとロジェ・プランション(TNP)のもの。前者はテレビ用に撮影したもののようで、きめ細やかな心理描写が特徴。後者は日本公演の記録で、実際に観た舞台の印象とはかなり違った。あるいは僕自身の見方が変化したのか、なんか大味な舞台という印象を受けた。

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7月11日(金)地人会「薮原検校」新国立劇場
午前中、第1部第2部を通して稽古し、午後4時までかかってダメだし。出来はともあれ、現段階での諸課題が鮮明に見えてきた。さて、ゴールまでにこれがどこまでクリアできるか……。
稽古後、初台へ。新国の小劇場で地人会「薮原検校」を観る。初演に近い頃に一度観て以来、実に久しぶりだが、作品がいささかも古くなっていないのに感服する。舞台の趣はだいぶ違っているような気がする。詳しくは覚えていないが、娯楽性が強くなっているのでは……。しかし、3時間半の長丁場、飽きることなく、全然時間を気にしないで観られた。

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7月10日(木)
今日の稽古は第2部のみ。まだ通す段階ではないが、明日は全体を一通りやってみようと思う。初日まであとわずか4週間か。

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7月9日(水)
10時〜午後4時、中間発表の稽古。7月に入って時の流れがやけに速く感じられる。

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7月8日(火)
発表会のタイトルは「白いスケッチブック―2003―」とする。もう少し気の利いたタイトルをと思案したが、これぞというものが思い浮かばない。またまた無難なところに落ち着いてしまった。全8場面を4場面ずつで2部構成にする。今日は第2部のほうを稽古する。金曜には一度通してみようと思う。こじんまりとまとまってしまいそうな危険を感じる。もっと若ものらしく弾けた表現が欲しい。こちらも、大らかに若い冒険心を待つことにしよう。
稽古後まっすぐ帰宅。「三人姉妹」の台本をチェックする。きわめて重層的な世界だから、事前にしっかりしたプランを立てておかなければならない。メインスタッフとの打合せを早めにやろう。

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7月7日(月)
新しい月曜を迎え、気分一新して稽古にかかる。この1週間で基本デッサンを仕上げなくてはならない。その上で色をつけていくことになる。さてどんな絵が出来上がるか。

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7月6日(日)
研究会の日曜コースで泉岳寺へ。頭と骨盤の関係をテーマに4種のレッスンを行う。終わっていつものように牛角で歓談。帰宅9時。このところ、1ヶ月余以上全然休みなしのような気がする。疲労感もピーク。明日からは連日研1の稽古か。当分楽はできない。

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7月5日(土)声のレッスン
久しぶりに少し遅く起きる。11時頃から午後3時過ぎまで昨夜の残りの仕事を片づけ、軽く腹ごしらえをしてから新宿へ。朝日のフェルデンクライス講座・7〜9月期がスタート。今回は声を取り上げる。このところ毎年恒例となっている。今までとは違ったアプローチを入れる予定だが、今日は初日なので、今まで通りに基本の確認と呼吸と声の関係、声の土台作りのレッスン。2時間はあっという間にすぎる。明日は研究会の日曜コース。

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7月4日(金)
今週最後の稽古、まだ基本デッサンの段階。稽古後劇団へ。企画会議。
週末を迎えてほっと一息、と言いたいところだが、溜まった雑務の山と今夜から格闘だ。どこまで片づくか。

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7月3日(木)
中間発表の演目、配列を決める。2部構成で各部4場面。わずか十数分の場面とはいえ、これが8場面となると結構エネルギーが要る。

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7月2日(水)
研1中間発表の稽古。10時〜16時。帰宅してFCJの事務処理に時間を費やす。サイトのメンテ、ほか。

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7月1日(火)
発表会の場面は出そろったので次は配列を考えねばならないのだが、も少し各場面の立ち上がり方を見極めた上でないと決められない。今週中には結論を出さねば。今日も何とか4場面をやったが、ほんとはもっと時間がかけられればいいが‥‥。終わって劇団へ。今後の企画打合せなど。

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6月30日(月)
2-3年生が六本木へ戻ったので、泉岳寺は1年生のみ。5階の広い部屋を使えるようになってやっと稽古らしい
気分が出てきた。しかし、クラス全体の雰囲気は、どこか緊張感が足りない。いや、かなり足りない。あと一ヶ月ちょっとで本番を迎えるという気分にはほど遠い。個々にもっと具体的にして緊急な課題を提起する必要がある。演出部の西ヶ谷が午後稽古場に顔を出した。終わって1Fのカフェでビールを飲みながらしばし歓談する。

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6月29日(日)京都ワークショップ二日目
昨日とは打って変わってからりと晴れた朝。7時半に朝食。9時から12時まで午前の部。二日目のテーマは「腰痛肩こりからの解放」として、午前は基礎編で3種のレッスン、午後は1時から4時半までかけて続きの応用編として4種のレッスン。いい雰囲気のワークショップだったと思う。秋の再会を約して会場を後にする。
タクシーと地下鉄を乗り継いで京都駅へ。6時過ぎの「のぞみ」で帰京。10時近くに帰宅。ワークショップの記録ノートを整理。次回は9月。

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6月28日(土)第25回京都ワークショップ初日
早起きして9時20分発「のぞみ51」で京都へ。雨の中、地下鉄で北大路へ出てからタクシーで仁和寺の御室会館へ。参加者45名。160畳近い大広間がいつになく狭く感じる。午後1時から5時まで「声のレッスン」。呼吸と声の土台から段階を追って4種のレッスンを行う。次第に響きが増幅して、最後には朗々とのびやかな声が唱和して響き渡った。夕食・入浴をすませて7時から大広間に集まってビールなど持ち寄っての懇親会。10時過ぎまで、真面目な話題で盛り上がる。

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6月27日(金)
研1中間発表の稽古が軌道に乗って2週目がすぎた。8場面のうち一日に4場面がせいぜい。来週からは広い部屋が使える。少しペースをあげなければ。
出口さんからの連絡で、京都ワークショップの参加者が40名を超えたとか。40の大台を超えたのは久しぶりだと思う。半数は未経験者らしい。

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6月26日(木)永井愛作「ゴロヴリョフ家の人々」新国立劇場
研究生の稽古後、初台へ。このシチェドリンの作品は若い頃に読み、何ともすさまじい話だなと感じ入ったものである。これを永井さんが舞台化するというので、大いに楽しみにしていた。ハードな大作である。これまでの永井愛作品の中で一番いい。導入部で少し心配したが杞憂であった。舞台をロシアのままにしたので、日本的な情緒の入り込む隙間がなく、ぎりぎりの人間関係が立ち上がった。演出的には、シェイクスピア劇などの場面を匂わせるようなものがあったりしたが、破綻なくまとまっていた。加藤治子、今井朋彦の二人が存在感を見せていた。他の演技陣は概ね健闘といったところ。いい舞台を観ることができた。

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6月25日(水)
夜更かしの癖がなかなか抜けないので、朝7時起きには辛いものがある。10時スタートの時は8時過ぎに家を出る。バスと電車を乗り継いで9時40分頃に泉岳寺の稽古場に入る。午後4時まで研1の稽古。帰路、JRの田町駅で週末の京都行きの新幹線の往復切符を買う。久しぶりに早い帰宅になったので、スーパーまで買い出しに行く。

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6月24日(火)稽古
午前中はダンスのレッスンで、午後から発表会の稽古。昨日「三人姉妹」の台本ができたので、電車の中で一通り読む。まだ手を入れたい箇所があちこちにある。稽古後「三文オペラ」の打合せに六本木へ。帰宅して俳優座のサイトのメンテを少々。

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6月23日(月)「法王庁の避妊法」俳優座ラボ公演
研1の稽古はまずは順調にスタート。10時から午後4時まで泉岳寺。終わって六本木へ。ラボ二日目を観る。演出部若手・藤原留香のデビュー作。なかなかよかった。奇をてらわず、みんな自然にのびのびと演じているのが快い。妙に背伸びしたところもなく、役者たちの持ち味を出させている演出。このまま地に足をつけた仕事を続けてほしい。

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6月22日(日)日曜コース
参加者11名。予約して来なかった人もあったが、このところ大体10名から20名の間を推移している。10名を切ると少し寂しいが、ほどよい人数だ。今日初めてという参加者も3名あったが、割合ダイナミックな動きを取り上げた。暑い季節に静かな動きばかりだと眠くなるだろうと思って。
終わって常連の天野さんと4階の牛角で小一時間歓談する。すでに「ゴロヴリョフ家の人々」を観たという。よく芝居を観ている人だ。勿論「しまいこんでいた歌」も観て、中味が深いと絶賛だった。

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6月21日(土)
朝日カルチャーセンターの講座、4-6月期の最終日。来月からは今年の第3期が始まる。声のレッスンを取り上げる。新しいアイデアも取り入れて気持ちも新たに取りかかる。来週末の京都ワークショップでも声にかなり時間をかける予定。帰宅して明日の日曜コースのレッスン・プログラムを考える。

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6月20日(金)
研1中間発表のラインナップがようやく決まった。10日間で決着したわけだから、昨年度に比べればかなりの速さ。さてこれをどう仕上げるか楽しみ。
俳優座のサイト、そろそろ全面的にリニューアルしたいのだが、そんな時間は全くない。メンテナンスもままならないような状態。何とか対策を考えなければならない。

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6月19日(木)大月公演
午前10時と午後1時半の2回公演。客席は全部中学生たち。学校の先生に付き添われての演劇鑑賞。大人向きのこの芝居、中学生にはややとまどいがあったかもしれない。先生たちには大いに受けていた。

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6月18日(水)
10時から研1レッスン。発表会の稽古。終わって4時30分の特急で大月へ。「しまいこんでいた歌」の大月公演前日。夜、ホテルでスタッフ・キャスト一同に会して宴会。10時まで盛り上がる。

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6月17日(火)
1時から泉岳寺TMA。研1発表会の場面集ラインナップはほぼ固まった。これでとりあえず出航する。今月中は変更の可能性もありだ。昨年の進行状況を再確認してみると、全体の構成が出来たのが6月末近くだった。それに比べればやや早い。と言っても、2ヶ月近い空白期間があるわけだから、これからやるべきことはたっぷりある。いくつかの基本課題は何としてもやっておかねばならない。
午後6時から演出部会なので六本木へ。集まりはよくない。議題も少なかったので小一時間で終わり、しばらくラボの稽古を観る。照明も入って初めての通し稽古らしい。まだ全体の流れは滞るところが多かったが、誠実な作りで好感を持った。これから初日にかけてテンションが上がり、喜劇的リズムが生まれてくればいい舞台になるだろう。演技が一人芝居にならないように気をつけてほしい。

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6月16日(月)
「しまいこんでいた歌」東京公演が終わりほっと一息。観ていただいた方々には心から御礼を。概ね予想以上の好評だった。何事もそうだが、物事の評価というものは人様ざまで、苦言を呈する向きもあった。賞賛はそれなりに嬉しいとはいえ、批判的な言葉の中には考えさせるものも多く、これもありがたく受け取るよう心がけ、次へのステップにしたい。
研究生1年のレッスンは第2週に入る。新しい場面がいくつか出てきた。明日提出したいというのが2名ばかり。それを待って全体の構成を考え絞り込む。
稽古後、久しぶりに西木一夫氏と1階のSegafredoで話し込む。稽古の終わった研2-3年の連中がしばらく同席したが、アルバイトに出かけていった。そういえば、稽古後事務所に顔を出すと、11期生の白川裕二郎と梅崎温則が立ち寄っていた。TMAは研究生の連絡所(ドミートリ)のごとくになっている。白川君が随分逞しい顔つきになっているのに驚いた。

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6月15日(日)東京公演千秋楽
今回は毎回劇場へつめられなかった。そのせいか、あっという間に千秋楽がやってきた気がする。楽の舞台は初日からすると、余裕が出てきたぶん緊張感が若干薄れていた。お客の反応が分かってくると安心してしまうのだろうか。真剣勝負の鋭さを維持するのは至難の業かもしれないが・・・。
終演後、山田さんを囲んで年配の出演者たちとタカシマヤの13階の店で乾杯。かなり長時間にわたって話がはずんだ。若手たちはスタッフとともに道具の搬出作業にかかっていた。このあと、大月と横浜で3ステージ。
「三人姉妹」の台本は昨夜完成し、今日製作担当に手渡す。

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6月14日(土)『三人姉妹』
サザンシアターには出かけずに、朝から『三人姉妹』の直しにかかりきり。甲子園が雨で中止のお陰で午前零時前に打ち込みが終わる。殆どものも食わずに、雑念を捨てて、ずっとパソコンに向かっていた。とりあえず、全テキストを忠実に訳したのを印刷に回すことにする。上演台本は8月に2回ほど読み合わせをして、その結果を待って作成するつもり。当面の次の段階は、演出の方向を見定めながら演出ノートを作成すること。『三人姉妹』の主題は一言で言えば“希望”であろう。各人物の胸の内に燃える希望の色合いが微妙に混じり合い、衝突し、すれ違い、変色する。実に実に苦い芝居だ。希望は限りなく裏切られ、深く深く傷つきながら、それでもなお、切実に生きようとする、限りなく人間的な三人の姉妹たち。そして、彼女たちを取り巻くひとびと。この人物たちをどこまで愛し、造形することができるか・・・。さて、これから、11月の初日までの長い道のりが始まる。

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6月13日(金)
8時すぎに家を出る。研究生1年のレッスンで朝10時から午後4時まで泉岳寺。今週末に発表会の場面を決める予定だったが、昨日、いま集まってるものをまとめて読んでみた結果、も少し違う色合いのものが欲しいと思った。全体に軽めのものに片寄っている。締め切りを1週間ほど延ばして内容を充実させることにした。
4時半には泉岳寺を出て帰宅。「三人姉妹」の直しにすぐ取りかかるはずが、テレビを点けたのがいかなかった。虎に先制されたらテレビを消して仕事にかかろうと思っていたが、まるっきり逆の展開になって消すに消されず、結局最後まで観てしまった。朝が早かったので眠気と戦いながら、予定の仕事はある程度進んだ。残りは明日だ。週明けには印刷にまわすつもりなのだが・・・。

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6月12日(木)サザンシアター
今日は研究生レッスンはなく、昼の部からサザンシアターへ。小里清君とマチネを観たあと2時間近く歓談。山田作品の作劇術や新作「ハルビンの朗読者」改稿について話し合う。マチネだけ観る予定だったが、夜の部も最後まで観た。客席は昼・夜ともにほぼ満員。夜は補助椅子も出た。よく受けていた。僕自身、家族というものに対する帰属意識が薄いほうだから、家族的日常の些事に対して、しょっちゅうどっと沸く客席の反応にはとまどうことが多い。それだけ喜んでもらえるのは、嬉しいかぎりだが。いよいよあと3ステージになった。なんかあっという間に終わってしまう感じがする。

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6月10日(火)
久しぶりの研究生1年のレッスン。8月の前期発表会にとりかかる。昨年と同じく場面集をやる。短い場面を集めてオムニバス形式で。みんなが用意してきた場面を一通り読む。今週中にある程度まとめて来週からは稽古にかかる予定。本番は8月上旬だからのんびりはしてられない。
「三人姉妹」の直しに取りかかる。こちらも今週中に上げたいものだ。

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6月9日(月)三島由紀夫作・鐘下辰男演出「サド公爵夫人」新国立劇場
NLTの初演は観ているのだが、40年近く前になる。フランス古典劇のような格調高いセリフの記憶がかすかに残っている程度。観る前に戯曲を一通り読んで出かけた。これの舞台化には情念と理性が微妙なバランスを保って劇的なダイナミズムを生み出さねばならない。心理と形象が過不足なく絡み合わねばならない。俳優にとって実に厳しい課題である。演出はやや情念に流れすぎた感がある。ミザンセーヌはもう少し何とかしてほしかった。サンフォン夫人を除き、三島の文体を持て余していた。後半のルネは少しよかったが前半はつらい。ただ、ルネにしては体格が堂々として逞しすぎる。どこか繊細可憐なイメージがないと。モントルイユ夫人は達者だとは思うが、ヒステリックなおばさん風演技で作品の品格を損なっている。照明は全体に暗すぎる。音響は意図が分からない。戯曲の完成度が高いので、上演に対しては、つい高望みをしてしまう。ただ、こういう作品の上演が好評だとすれば悪いことではない。

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6月7日(土)
サザン・シアターのマチネを観る。前日の2回公演の疲労感が残っているかと心配したがさほどではない。舞台はやや安定してきている感。安定しすぎないことを望む。終演後、和歌山の有馬さんや岐阜の今西さんなどと6時まで歓談。

夜は恒例の朝日でのレッスン。やや大きめの動きを取り上げる。今のコースはあと1回で、次回コースは「声」を取り上げることになっている。

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6月6日(金)永井愛作「パートタイマー・秋子」紀伊国屋ホール
サザンシアターでマチネがあったが、家で仕事を片づけなくてはならず三日目はパス。溜まった事務処理と間もなく締め切りの原稿書き。原稿はまだ上がらない。時間になったので新宿へ。東口の紀伊国屋。

ロビーで福田善之氏、和歌山の有馬さんたちに会う。舞台は、落ち目のスーパーの従業員控え室での人間模様を描く。夫がリストラされパートで働くことになった秋子を中心に据え、苦い現実をふまえて展開される必死の生き残り作戦の悲喜劇が狂騒的に描かれる。食品流通業界の裏事情がさもありなんと思われる表現。かなり戯画化された演技・演出でそれはそれで面白かったが、笑いを強制されている感があった。途中ちょっと登場する森塚敏さんが秀逸。

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6月5日(木)二日目
二日目は得てして調子が落ちるものだが、かえってよくなった部分も多々あった。客席は初日ほどの賑わいはなかったとはいえ、反応は敏感で、舞台を存分に楽しんでいる雰囲気があった。えんぺに、中味がないというような1行レビューが出ていたが、そもそも芝居の中味って何だろう? 舞台に何か栄養になる食べ物でも盛り上げて、それを観客に手渡すのが芝居なのか? 芝居はそもそも虚構なのだから、実体としての中味はなにもないとも言える。その虚構の世界から何かを作り出すのは、舞台と客席の共同作業なのだ。観客の想像力と舞台を立ち上げた側の想像力が絡み合ったところに、演劇が成立する。ま、それほどムキになるほどのことではないが・・・。

このところ、毎日欠かさず日録を書いてきたが、かなりエネルギーを消耗する。次は研究生1年の発表会だ。来週からスタートする。毎日書くというわけにはいかないかもしれない。

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6月4日(水)初日
初日というと、いつもどきどきと緊張感に襲われナーバスになるものだが、今回はやけに普通の感覚でこの日を迎えることができた。昨日、不安より期待のほうが大きいと書いたが、今まで積み重ねてきた作業の結果がどういう風に観客に迎えられるか、その一点に期待というより興味をもって開幕を待った。自信があったとかそういうのでもない、きわめて平静な気持ちで客席に座った。
補助椅子も出て超満員。開幕早々から笑いが出て予想以上に受けた。舞台の出来は稽古の時よりも格段によかった。やはり舞台は観客と一緒につくるものだと改めて痛感する。かなり高揚した気分で終演を迎え、ロビーでささやかな初日パーティ。帰りに代々木駅近くの居酒屋で10時過ぎまで可知、香野、後援会の武田さんなどと歓談。

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6月3日(火)初日前日
今になってみると、あっという間に初日が来てしまった、という感じ。1時から1回目の通し。第1幕の出来がイマイチで少し不安になったが、第2幕に入り割合いい流れになった。導入部にかなり高い緊張感がないとその後の展開に影響する。6時からの2回目の通しはいい出来だった。稽古でいくらよくても、本番でよくなければダメなわけだが、不安より期待の方がやや大きいか。

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6月2日(月)初日2日前
サザンシアターでは朝9時から舞台仕込み。時間に追われながら夕方からの稽古に間に合うように、スタッフは大わらわ。予定通りというか、予定より少し早めに稽古をスタート。大過なく終了。ダメ出しをして9時には終わる。稽古場から劇場へと空間感覚が異なるので、多少のとまどいはあるとはいえ、おおむね計算に狂いはなかった。あとは明日の2回の稽古で芝居の中味が発酵してくれることを願う。
殆ど出ずっぱりの主役を演じて膨大な量のセリフと格闘する中野誠也。彼の頑張りが周りのエネルギーとうまく交感すれば言うことないのだが・・・、さあ、あと一息。

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6月1日(日)初日3日前
稽古場での最後の通し稽古。緊張感からか、いつになく噛み合いがよくない。力みも目立つ。ゴール前の焦りか。仕方ないかも。劇場へ入れば違ってくるだろう。

4時過ぎに終わって道具を搬出。夜9時からサザンへの搬入。いよいよ最終局面へ。



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