日録 2002年1月〜5月

これはフェルデンクライスBBSとして始まりましたが、途中で安井武の日録になってしまいました。
フォームを変えてここに再録することにしました。
      ?2002年5月30日?      

<日録2001年

5月31日(金)二人のニーナ
ジャンカルロ・ナンニの『かもめ』を観る。法政大学のキャンパス、学生会館内のホール。このキャンパスを訪れるのは30年ぶりだ。すでに若いとは言えない歳だったあの頃だが、一応は闘争スタイルだった。すごく背の高い高層ビルになっている校舎に隔世の感を覚える。学生会館の辺りは、まだかつての雰囲気の名残りのようなものはあったが、学生たちの表情には余り活気は感じられなかった。

ナンニの『かもめ』はいわゆるリアリズムの呪縛から解放された奔放なものであった。シンボリックなセノグラフと身体表現(L'expression Corporelle)、そしてセリフの朗誦を総合した詩的イマージュによる構成と言ったらいいか。随所に新鮮で衝撃的な場面はあった。チェーホフの『かもめ』を借りて一つの世界を表現したとは言えようか。役者たちのセリフ表現がもっとゆたかで、身体表現にももう一段練られたものがあれば、さらに見応えがあったのにと思う。アルカージナとマーシャ以外は、もっといい役者でやってほしかった。特に二人のニーナとトレープレフはいただけない。舞台脇に電光掲示板で日本語のセリフを出すのだが、舞台の進行と合ってない場合が多すぎた。あれでは観客は混乱する。ない方がましだ。日本側スタッフの怠慢である。金をとっているのだから、もっとシビアにやってもらいたい。


5月29日(水)研究生発表会の準備
新・研究生1年のカリキュラムが始まって2カ月が過ぎた。8月の前期発表会の準備にかかる時期になってしまった。早いものだ。当事者たちは果たしてどう感じているか。僕の時間は週1日だから、今のところはフェルデンクライスの体のレッスンと即興が中心だ。声とことばのレッスンでは詩の表現を取り上げているが、限られた時間では余り間口を拡げすぎると虻蜂取らずになってしまう。

発表会の台本の選択は、過去に何度か試みた「場面集」ということで、まずは各自がやりたい場面を見つけてくることから始めている。現在かなりの数が集まってきているが、何人かの作家に片寄りすぎている。それに若ものに似合わず古い作家のものが多いのはどうしたことか。これを機にできるだけ多くの戯曲を読むことが主要な課題だから、それはそれでいいのだけれど、淋しい想いがしないでもない。

本番は8月の9-10-11日だから、まだ時間があるとはいえ、10本前後の場面を稽古することになるのだから、それほど悠長には構えていられない。


5月28日(火)ピナ・バウシュの「緑の大地」
3週連続火曜日のピナ詣でとなった。先の「炎のマズルカ」に失望したが、こちらはかなり満足した。幕開き、苔とシダに覆われた緑の絶壁が正面にそそり立ち、あちこちから水が滴っている。そのリアルな感触が明るい照明に映える。この一瞬に何かぞくっとするような興奮を覚えた。その後繰り広げられるシーンは、それなりに魅力あふれるものだった。ユーモアもあればシニックな微笑もあり、孤独と混迷の果ての夢を語る。その限りではひじょうに美しく完結した舞台であった。どうも、ピナ伝説に囚われすぎているのかもしれないが、初めて出会うピナ・バウシュの舞台に高望みしていたのかもしれない。


5月24日(金) オウム真理教 【2002/05/25 00:44:06】
最近、時間の経つのが早い。そう感じるのは怠惰の証拠かも。

このところ、さかんにオウム真理教のことを考えている。村上春樹「アンダーグラウンド」島田裕巳「オウム―なぜ宗教はテロリズムを生んだのか」林郁夫「オウムと私」など、何冊か資料を集めて読んだり、サリン事件以降の当時の雑誌・録画ビデオなどを取り出して積み上げたりしている。

オウムのことを考えると、どうしても戦後日本の高度成長に象徴される表相に隠された裏側の負の遺産のことを考えざるを得ない。それは一枚の硬貨の裏表のようなもので、実利優先の経済原則に基づいて突進するなかで邪魔ものとして振り捨てられた多くのものが、ゴミ捨て場で異常発酵したのがサリン事件となって爆発したとも言える。表の方はバブルとして崩壊してしまった。いま我々は出口の見えない迷路の中を彷徨っている。かつて、オウム真理教は戦後日本の「夢の島」だったと書いたことがあるが、改めてこの問題を噛みしめている。


5月21日(火) 「炎のマズルカ」 【2002/05/22 01:46:36】
新宿文化会館でピナ・バウシュの「炎のマズルカ」を観る。何となく不吉な予感がしていたが、不幸にもそれが的中するとは・・・。「七つの大罪」には我々の意識を根底から揺り動かす衝撃性があった。が、これは・・・、カーテンコールに拍手もできなかった。客席は盛大な拍手で、中にはスタンディングオーべーションもちらほら。しかしこれは、テーマパークのアトラクションのような舞台としか言いようがない。作品としての構造が見えない。お得意の反復と変形はパターン化して、同じ動き・振付が何度も現れるが、「七つの大罪」のように、それが隠れた深層を暴き立てるということもなく、単なる退屈な機械的繰り返しに終始する。それに、ビデオの映像が度々舞台全面に映し出されるが、映像を見せるために照明を落とさねばならないから、ダンサーたちのプレザンスは限りなく弱められる。暗がりで踊っているのが全然引き立たない。終始退屈感を味わった。駄作である。次の「緑の大地」はどうだろうか。


5月19日(日) Somatic Exercises 【2002/05/20 10:42:19】
前夜夜更かしをして眠い目をこすりながら出かける。雨は上がったようだ。今日のレッスンは Thomas Hanna の"Somatic Exercises" を取り上げる。先週京都WSで好評だったレッスン。Thomas Hanna はアメリカにおけるモーシェの第1世代の教え子の一人だが、北米ギルドとは一線を画し独自のメソッドと組織でフェルデンクライス・メソッドを実践・普及した人物である。数年前に亡くなったが、彼のメソッドはその後も受け継がれている。彼は Somatics のレッスンを8種の基本レッスンにまとめている。モーシェ・フェルデンクライスのレッスンの中から基本的な要素を取りだし、それを分かりやすくロジカルに展開するので、初心者は勿論、フェルデンクライスのレッスンを教えようとする人にも大いに役立つであろうと思う。


5月18日(土) 安井 【2002/05/19 00:43:15】
一ヶ月以上戻ったような気候。出かける前に着るものに迷う。朝日カルチャーセンタのレッスンは、連休休みが入ったので3週間ぶりになる。レッスンは、A:足の裏で床に線を描く B:目の動きが全身の動きを調整する(atm-10)の2種を取り上げる。
Amazon.com に何冊か本とCDを注文する。手軽に注文できるのはいいが、後が怖い。


5月15日(水) 安井 【2002/05/17 01:07:24】
研究生1年のレッスン。週1回のレッスンではテーマが発酵するに至らない。間もなく発表会の稽古にかかるから、それまでに個々の課題だけでもはっきりと把握しておかねばならない。毎回必ず最初に取り上げるフェルデンクライスのレッスンも、だいぶ回を重ねてきたが、身体感覚の深まりは未だ遠しである。ま、焦らずに行こう。各自が持ち寄った場面をいくつか、時間いっぱいまで読んだ。これからまた、8月中旬まで一緒に苦労することになる。


5月14日(火) 安井 【2002/05/17 00:59:05】
彩の國さいたま芸術劇場でピナ・バウシュのタンツテアター「小市民七つの大罪」を観る。ピナ上昇期の意欲作、ふやけたミュージカルは余り好きでないが、これは別格だ。むろんこれはミュージカルではない。ダンスと歌が融合した鮮烈なドラマ。1970年代の前衛精神の鼓動が聞こえてくるようだった。それに比べてわが国の演劇状況は・・・。現状に妥協するのは敗北だと自戒する。


5月12日(日)【2002/05/13 10:26:26】
京都ワークショップが終わってほっと一息。京都の街は観光客でにぎわっていた。会場は仁和寺の御室会館の百畳以上あろうかという大広間。畳の上というのは固すぎず、柔らかすぎでもなく、フェルデンクライスのレッスンにはとてももよい。土曜の昼から日曜の夕方までの長丁場はリラックスしながら、それなりの集中力を絶やさないようにしなければならない。今回は基本中の基本レッスンを取り上げた。Thomas Hanna の Somatics Lesson を参考に組み立ててみた。基本的なことを丁寧にやったのがよかったのか、終わった時、自分自身疲労感ではなくさわやかな気分を感じることができた。まずはよいレッスンができたのではないかと自賛する。参加者たちのレッスン後の表情もみなよかった。次回は10月12-13日に決まる。


5月10日(金)【2002/05/11 00:53:07】
寒い雨のなか新国立劇場まで「ワーニャおじさん」を観に行く。3時間の長丁場。ちょっとテンポがなさ過ぎでは? それが狙いのようだけれど。導入部の第1幕、これは一体どうなるのかと心配したが、途中で少し持ち直したかな。ワーニャとアーストロフの配役に違和感があった。チェーホフは[4幕のドラマ]とは書いているが、メロドラマとは書いていない。こんなことにこだわっていると、古いとか言われるのかも。

明日・明後日は、京都ワークショップだ。毎年2回やってきて、今回で23回目になる。


5月9日(木)【2002/05/10 01:47:09】
このところ暇がある限り部屋の片づけをやっている。が、全然変わり映えしない。書類や本、新聞雑誌、パソコン関係の周辺機器にAV機器とそれらの背後の配線のスパゲッティ状態、手をつけだしたらキリがない。よくぞこれだけモノが氾濫しているなと痛感するが、元はと言えば、ちりも積もれば・・・の喩え、小さな欲望がいつの間にか積もってしまったわけだ。つねに散らかさない、要らないモノは捨てる、を実行していればこうはならないのだが、つねにスローガン倒れ、まるで小泉内閣みたいだ。整理しても1週間も経つともう元の木阿弥。おまけに整理したものの、かえって肝心のものがどこへ行ったか分からなくなってりするから、下手な整理はしない方がいいと改心してしまいたくなる。整理術なんて本を買っていくつか読んだこともあるが、参考になるどころか、整理することが目的になってしまい、何のために整理するのかを忘れそうな気がして応用したことはない。結局はときどき思いついた時に、思いつくままに整理するのが一番性に合っている。で、今回のテーマは「要らないモノは捨てろ、迷うなら捨てろ!」である。多分これが整理の極意ではないかと思う。


5月1日(水)【2002/05/03 04:13:05】
第15期研究生1年のレッスンが始まって、はや1カ月が過ぎた。そろそろ前期の発表会の中身を考えなくてはならない時期になった。最近だと13期の研1中間発表にやったように、それぞれがやりたいものを探してきて、2〜3人の10分余りの場面をいくつかつなげるオムニバス形式にしようと思う。過去同じスタイルで何度かやって結構好評だった。場面を探すために戯曲を読むことも、俳優修業の大事な要素であるには違いない。最終的には10場面ほどのものになるだろうが、その3〜4倍の場面を候補に絞り込んでいくのが過去の例であった。今回はどんな中身になるか、今から大いに楽しみだ。


4月25日(木)【2002/04/26 15:00:00】
芸術座で「放浪記」を観る。初演以来41年、上演回数1500回を超える舞台、それだけでも驚きだが、その全ての上演に一人の女優がヒロインを演じ続けた。これはちょっと言葉にならないすごいことだ。いわゆる商業劇場へは滅多に行くことはない。芸術座も栗原小巻出演の「かもめ」以来ではないかと思う。たまにはこういう舞台もいいというべきか、楽しませてもらった。


4月22日(月)【2002/04/24 01:02:33】
11時半に日比谷の東京會舘へ。我が座の大塚道子さんが受賞した菊田一夫賞の授賞式に出席。慣れないスーツなど着込んで窮屈な思いをしながら、1時半まで。大塚さんのスピーチは受賞者の中でも一番明晰でよどみがなかった。終わってから早くスーツを脱ぎたくなったので一旦家へ帰る。夜はステージ円の舞台を観ることになっていた。少し家でくつろいでから再び出かける。

ステージ円オープニング第3弾「栗原課長の秘密基地」を観る。浅草・田原町の赤札堂の5階。辺りは仏壇の問屋街。円の舞台もそれこそ何年ぶりか。かつての円のイメージとこの場所はちょっと合わないような気がするが、そんなことはまあどうでもいいか。初めて観る土屋理敬氏の台本は、面白おかしくできてるけど、途中で計算がみえみえでちょっと白けるところがあった。でも、達者な人だ。ずいぶん笑わせてもらった。


4月21日(日)【2002/04/21 23:39:31】
今月の日曜講習会の日。昨夜一応準備はしたが、早く目が覚めてしまう。何通りかのレッスンプランのメモに目を通す。今日も初めての方が2〜3名参加だ。連絡無しで参加する人もあるから、当日会場で開始時間を迎えるまで、顔ぶれははっきりしない。そこで、いろんな場合を考えて何通りかのプランを考えてみるというわけだ。これも考え出すとキリがないので、適当なところで切り上げる。

外は急に季節が逆転したかのような寒い雨模様。レッスン時間は4時間だから、かなりの長丁場だ。まず、昨日の朝日CCでやったテーマを、アプローチを変えて行う。仰臥だけでなく、座位も使った。上半身の緊張が自然な動きを妨げていることに気づくことが大切だ。そこから展開して計4種のレッスンを行う。終わって2階の「笑笑」で小一時間談笑。


4月20日(土)【2002/04/21 00:38:28】
昨日からデスク周りの整理整頓に手をつけ始めた。これからの一ヶ月、外へ出るよりは内にいるほうが多くなりそうなので、仕事の能率が上がるようにと思い立ったのだ。しかし、頭で考えるほど実際は容易ではない。パソコンとその周辺機器の移動・配置換えだけで丸一日が消えてしまう。おまけにルーターにつなぐ電話・ファクス回線の結線を間違えてしまいとんだ迷惑をかけてしまうことになった。電話回線のほうにファクス信号が随分入っていた。ゴメンサナイです。

夜は朝日CCのレッスン。4月からの第2期の二日目。初めての方が多いので導入を丁寧にやる。モーシェの一番著名なレッスン「時計の文字盤による骨盤の回転」を取り上げる。2時間でやっと序の口まで。これは確かに奥の深いレッスンだと改めて痛感する。帰宅して明日の日曜コースの準備をする。


4月18日(木)【2002/04/19 17:34:01】
紀伊国屋サザンシアターで「その人を知らず」を観る。民藝の芝居は久しぶりだった。三好十郎は以前確か「廃墟」を文化座で観たような。1960年代末だったか。息詰まるような濃密さに圧倒された記憶がある。戦後感覚がまだ息づいていたからかもしれない。

今回の民藝の舞台は、今の時代にこれを上演することの難しさを露呈していたとも言える。台本からは確かにアップツーデートなメッセージを読みとることはできるが、そこに焦点を当てては作品の質を貶めてしまうことになる。対して、人間の良心をめぐる内面のドラマに焦点を当てるのが正当だと思うが、それには個々の俳優の体現性・相互関係の密度が不可欠だ。それがどこまで実現されたかとなると不満が残る。友吉を演じた新人・香原俊彦がフレッシュだった。それにしても、この舞台、丁寧な演出ではあったが、上演時間3時間は長すぎるのではないか。


4月17日(水)【2002/04/19 17:32:35】
研究生1年のレッスン、午前10時から午後3時半まで。一応レッスンの内容は用意して行くのだが、みんなの顔を見て全然違うことを始めたりする。今日は予定していた動きのレッスンから始める。「エロール・フリン」という名が付いたいる。どうしてそんな名が付いたのか、いくら考えても分からない。仰臥して両腕を横に伸ばして軽く握り拳をつくり、それをボールに見立てて床上を上下に転がす動きだ。握り拳の動きが、体の他の部分、つまり、頭部、肩帯、胸部、骨盤、脚などにどう伝わるか、部分と体全身との有機的なつながりを発見するレッスンである。後半の即興のテーマは"Leading the Blind" 目の見えない人を言葉だけで案内するゲームのようなもの。終わってからの話し合いで盛んに質問を受ける。


4月15日(月)【2002/04/17 01:38:55】
俳優座劇場で「高き彼物」を観る。鈴木裕美さんの演出作品は3本目だ。面白かったのだが、鈴木さんはまだ若いのに、独特のスタイルを身に付けている。

帰宅して深夜までOS-Xのお勉強。やはり新しいシステムに無手勝流はいけないと悟る。折角インストールしたけれど、当分メインはOS9になるだろう。


4月13日(土)【2002/04/13 07:59:51】
少し時間ができたのでマックのシステムを入れかえた。OS-Xにしたのである。インターフェイスはガラッと様変わりして、見た目はなかなかセンスがいい。ウィンドーズの悪趣味は到底見られたものではないが、長年付き合ってきたマックのファインダーも最近は見飽きていたので、これは新鮮でなかなか良い。
しかし、簡単に考えていたシステムの乗り換えは、予想以上に大仕事となった。とりあえずはすぐ使えるようにはなったが、月曜に手をつけたのが、今日現在まだ完全には終わらない。OS-Xに対応したアプリがだいぶ増えてきたとはいえ、まだOS-9を捨てるわけにはいかないし、なによりも困るのは、プリンター・ドライバーがXに対応してないことだ。その他の周辺機器の整合性を考えると、まだXに切り換えるのは早まったかなと半ば後悔しなくもないが、ここは乗りかかった船だと開き直り、何とか乗り切ろうとして悪戦苦闘して1週間が過ぎた。とりあえず使うには支障ないが、かえって面倒になっただけのような気がしないでもない。完全にXへ移行できる日はいつ来るか?


4月10日(水)【2002/04/13 07:45:28】
昨日と今日は研1のレッスン第2週目。だいぶ仲間意識が出てきたようだ。からだのレッスン、ゲームと即興、声の土台作り、適宜に体験を共有するための話し合いの時間を設けている。一方的な教える・教えられる関係は創造的ではない。夜は劇団で臨時幹事会が開かれる。


4月7日(日)【2002/04/08 13:29:11】
今日は京都で亡母の一周忌法要の日だが、仕事が立て込んでいるので欠席せざるを得なかった。去年の今頃は『阿修羅の妻』の稽古で大わらわで、結局告別式にも出席できなかった。思い返せば、芝居をやり始めて京都から上京して以来、家族との付き合いはとても充分なものではなかった。弟たちや妹の結婚式にも出ることができなかったし、最近は年に一度か2度、仕事で京都方面に出かけたときにちょっと立ち寄る程度になっている。


4月6日(土)【2002/04/08 13:15:27】
朝日カルチャーセンターの4月からのコース(全6回)の初日。22名の参加。次回にはもっと増えているかもしれない。初めての方がかなり多い。今回のテーマは「腰痛肩こりからの解放」とした。


4月5日(金)【2002/04/06 01:20:36】
二兎社の『僕の東京日記』のビデオを観る。2月上旬に松山で3月例会『黄金色の夕暮』の宣伝をかねた市民劇場の企画で「今、家族とは・・・」と題した講演会に講師として呼ばれたのだが、その時、事務局長の鈴木さんと話していたとき話題が『僕の東京日記』のことになり、昨年の稽古場公演のビデオをお送りする約束をした。そのお返しに以前教育テレビで放映されたものの録画を送っていただいた、という次第。

永井愛さんの舞台は「萩家の三姉妹」が初めてで、それ以前の舞台は全然知らなかったが、ビデオであれ、「僕の東京日記」を観ることができてよかった。俳優座の舞台に比べると、かなりドライだと感じた。表層的。面白く観た。


4月4日(木)【2002/04/05 01:25:34】
新国で岩松了作・演出そして出演の「三人姉妹を追放されしトゥーゼンバフの物語」を観てきた。この作品のアイデアは、2年ほど前、早稲田演博主催のチェーホフ・公開セミナーみたいなもののパネラーに呼ばれたときに、同席していた岩松氏から聞かされて、なかなか面白いアイデアだなと思った。舞台はそれなりに楽しめた。しかし、「三人姉妹」を全く知らない人が観たらどう感じたであろうか。

テネシー・ウィリアムズが登場してチェーホフについていろいろしゃべるが、演じるのが岩松氏本人だからおかしかった。ただ、面白いアイデアで随所に気の利いたセリフもあり、意表をつく展開もあったのだが、肝心の芝居の構造が曖昧模糊としていてつかみ所がなかった。チェーホフと「三人姉妹」をめぐる混沌としたイメージの交錯とでも言えばいいか・・・。やけに気取った駄作に見えなくもない。島次郎さんの舞台装置はよかった。しかし、贅沢な空間ではあるなぁ。


4月3日(水)【2002/04/04 02:21:59】
午前10時から研究生1年のレッスンで午後3時半まで。小一時間稽古場のことで打ち合わせ。夜は劇団総会。終わって近所で終電ぎりぎりまで飲みながら数名で歓談。

研1のレッスンは午前の部はフェルデンクライスで目一杯。転がって坐る動き。午後は毎年恒例の「他者紹介」。2人ずつ組になって、パートナーのことを紹介するというアイデア。昨日組み合わせを決めてほぼ取材は済ませていた。今までは、当日の昼休みに慌ただしく取材して午後の時間に実行するという段取りだった。今年は余裕がありすぎて整理されすぎた感もある。それにしても、これからの1年を共に学ぶ仲間のことを知るにはいい方法だ。


4月2日(火)【2002/04/03 00:36:16】
午後、研究生1年の最初のレッスン。演出コース1名を入れて総勢17名。まずはフェルデンクライスの体のレッスンから。「フェルデンクライス身体訓練法」に出ているレッスン3番を取り上げる。1時間以上かかって右側だけ。体験のシェア(共有):車座になって感じたことを互いに述べ合う。素直で自然な言葉が出てくる。それについて評価を下すことはしない。この点が大切なのだ。評価は各自が自由にすればいい。

このあと、演劇ゲームのようなものを3種取り上げる。こちらは結構楽しく盛り上がる。歩き方についてのヒントを与えて宿題にする。2時間半があっという間に過ぎてしまった。明日は午前10時から午後4時までのレッスンだ。早起きしなくてはならない。


4月1日(月)【2002/04/02 01:19:10】
新学期というか、研究生の新年度が始まった。午後、研2/3年のミーティング。大まかなスケジュールを説明し、これからの心構えを説く。慢心する事なかれ! 初心を持ち続けることの難しさ。しかし、それができなければ平凡で終わる。新研1のレッスンを少し見学する。2/3年に比べてすごくフレッシュ。今年度は1年生ともじっくり付き合えそうなので楽しみである。

夜は文学座のアトリエ公演「退屈な時間」と「ベンゲット道路」を観る。朝日の劇評で「ベンゲット道路」をやたら褒めていたけど、それほどいいとは思わなかった。森本薫の駄作ではないのか。演出が力んでいるが、どうにも白けてしまった。「退屈な時間」は前半題名通り退屈だったが、後半になって盛り上がった。こちらの方が好感が持てた。


3月31日(日)【2002/04/01 00:23:25】
1カ月ぶりに日曜日が休みになった。特別いいことはないが、心おきなく朝寝坊ができることがありがたい。昼過ぎに起き出してみれば、散らかり放題のデスク周りが気になり、少し整理に手をだす。が、あまり変わり映えしない。外へ出てみたが、桜は殆ど散っていた。まだ今日は3月なのに・・・。夜はテレビでプロ野球を観る。今年のタイガースはひょっとするとひょっとするのか。それとも、春の珍事で終わるのか。


3月30日(土)【2002/03/31 13:14:04】
午後1時から入学式とオリエンテーション。今までになく多い17名が勢揃いすると、稽古場が狭く感じる。合格詔書を手渡し、加藤剛氏などから歓迎の挨拶、そして各講師から励ましのスピーチなど・・・。みんな今日のような気持ちをこれからの1年間を持ち続けてほしい。

いつもより早めに新宿へ出る。東口の方を少しぶらついてから西口へ。HAITIで軽い食事をとり、HAITIコーヒーを飲みながら時間をつぶす。6時半から朝日カルチャーセンターでフェルデンクライスのレッスン。目のレッスンと足を持って転がって起きあがるレッスンを取り上げる。来週からは新しいコースになる。


3月29日(金)【2002/03/31 13:12:44】
12時を過ぎないと原稿書きに手をつける気にならないという癖はいまだに直らない。やはり朝刊を読んでから寝ることになった。そろそろ朝型に切り換えるべきかと思うが、学生時代からの慣習で身体がなじんでしまっている。無理をせず自然体で行くとしよう。

夕方からの企画関係の会議で劇団へ。『黄金色の夕暮』組が一時帰京。来月早々にまた出発する。時間ができたら旅先へ顔を出そうと思うが、いつになるか。新学期の用意はほぼできた。明日は入学式。総勢17名が勢揃いだ。


3月28日(木)【2002/03/28 19:55:32】
昨日今日と二日続けて休むなんて何日ぶりか。しかし、のんびりできるかと言うとそうはいかない。溜まった雑事に追い立てられる。研究生の新学期の準備など、いろいろあってまだ気を抜くわけにはいかない。

昨夜はテレビで日本vsポーランド戦を最後まで。ポーランドは練習試合みたいで、迫力不足。久々に存在感のある中田英寿を観た。


3月26日(火)【2002/03/27 18:36:14】
研究生の審査は全員昇格との結論となり、この日の面接は気が楽だった。・・・のだが、安江亘留の番になり、彼が突然芝居をやめなくてはならないと切り出した。家庭の事情ということで本人も苦渋の選択であった様子。打上の日は大いに盛り上がっていたので、前夜に事態が逆転したらしい。

それにしても、クラス全員が昇級というのは前例がない。教えた方としては、つねにできるだけ多く残ってほしいと思っているのだが、なかなか希望通りにはならない。今回はみんな期待をかけられているのだから、どうかがんばってほしい。

夜は、恒例の研究生歓迎「お花見飲み会」で10時過ぎまで。生憎の雨天で会場は三河台公園から稽古場に移ったが、盛況であった。


3月25日(月)【2002/03/25 23:03:16】
久しぶりに朝寝坊ができる日だ。それでも、いつもの時間に目が覚めてしまう。朝刊を読んでコーヒーを飲んで、突然眠気がおそってきた。再び布団に入り、午後1時過ぎまでぐっすり。爽快な気分で2度の目覚めを迎える。今日は夕方からの研2/3年の審査会議。それを考え昨夜からちょっぴり神経質になっている自分に気づく。結果の発表は明日の面接になる。


3月24日(日)【2002/03/25 14:49:48】
『かもめ』の千秋楽。苦労はしたけど楽しい稽古だった。3期生の修了公演から数えて5度目の『かもめ』になるが、回を重ねるたびにいろいろと発見がある。今回は今までになく密度の高い舞台になったと思う。終演後のバラシ、打ち上げで10時半まで。その後、みなはどうしたか、多分多くが六本木で朝を迎えることになっただろう。


3月23日(土)【2002/03/24 10:03:38】
『かもめ』2日目。昼の部だけ観る。初日は開演時間にほぼ満席になったが、今日は開場早々に札止めとなった。A組はもう楽だ。夜は朝日カルチャーセンターのレッスンで観られなかった。夜の部も早くに満席となったそうだ。わざわざ六本木まで出てきていただいたのに入場できなかった方には大変申し訳ないと思う。公演日数と座席数に限りがあり、様々な制約の中でやっているので了解いただくしかない。


3月22日(金)【2002/03/23 02:20:20】
何とか無事初日をあける。小さなトチリが一杯あったけど、若ものらしい舞台だったと思う。みんなかなり上がっていて、表現に潤いを欠くところがあったとはいえ、それは仕方がない。暖かい拍手だった。


3月21日(木)【2002/03/23 02:12:00】
今日もA/B両組の稽古。だいぶ調子が上がってきたのは確かだが、あちらがよくなればこちらがずっこけたりする。それをいちいち指摘していたのでは堂々巡りになる。ま、芝居作りには、これで完全ということはあり得ないのだから、最後まで最善を尽くすことしかない。ただ、自分で言うのも何だが、今まで僕が何回かやった『かもめ』と比べて、かなりいい線行っているように感じる。今回始めるときには、今までとは違った『かもめ』にしたいと思っていたが、結果として基本的には今までの演出プランからは抜け出せなかった。ただ、今までの舞台で欠落していた部分を補うことはできたと思う。明日の昼、B組の稽古をして、夜はA組で初日をあける。


3月20日(水) 安井 【2002/03/21 10:16:53】
午後1時からA組、6時からB組の稽古。昨年12月10日過ぎからスタートした稽古もあと1日を残して本番を迎える。途中『黄金色の夕暮』の再演や新人募集で中断したが、いよいよ3カ月余りの作業の成果が試される日が来る。


3月19日(火) 安井 【2002/03/19 23:15:30】
今日はB組で『かもめ』の稽古。衣裳、照明、音響関係もほぼ仕上がる。あとは演技がどこまで盛り上がるか、につきる。ベストをつくそう。

今、一番気持ちの悪い政治家は、小泉純一郎である。全ての事態の責任は自らにあるのに、まるで評論家のような気取った発言に終始している。鈴木宗男にしても、加藤紘一にしても、発言でボロを出しまくっているのに、彼だけは無責任な発言で誤魔化して、やるべきことを何一つやっていない。要するに総理大臣に「成りたかった男」であるにすぎない。


3月18日(月) 安井 【2002/03/19 00:51:46】
今日は午前9時から照明の仕込み。12時過ぎに劇団に着いたらもう吊り込みは終わっていた。午後シューティングにかかり、4時から幕ごとに合わせながら稽古。8時過ぎに終幕までたどり着く。ダメだしを終えると9時を過ぎていた。進行はまずは順調だ。明かりが入って芝居のテンションもだいぶ上がってきた。まだバランスの悪いところもある。あと3日間の勝負である。


3月17日(日) 安井 【2002/03/17 21:44:44】
今日はFCJの日曜コース講習会を泉岳寺の会場で。テーマは肩甲骨の動き。4種のレッスンを行う。終わってから常連の天野さんと2階の「笑笑」で小一時間おしゃべりをする。先日、新国の「くしゃみ」で偶然一緒になったので、その話でも盛り上がった。と言っても、いい話ではなく、どうも面白くなかったね、ということで盛り上がってしまったのだった。


勝負年です。 山本 哲也 【2002/03/17 10:39:02】
久しぶりにパソコンに触れる機会がありまして、思わず書き込んでおります。昨年は本当に大変お世話になりました。一生懸命頑張ったつもりでしたけれど、プロ意識ではなく養成所気分だったとはいまでは思っておりますけど。私は一年しか在団することが出来なかったんですけど、本当に充実した一年でした。芝居が好きになって東京に来た訳ですけど、ただ完全に燃焼できたか?となると遺憾ながらそうではなかったので、もう一年頑張ってみようと思い、また東京で芝居を続けていくつもりです。査定の時に、「リラックスが出来ていず、生き生きしてない」とのダメ出しを戴き、またその通りだなと思っちゃったので、今年一年はそれを克服できるよう頑張っていきたいと思っております。一から出直し。今年はお芝居に限らず色んな事にチャレンジします!!また西岡くんと東さんと同期生で、なかなか複雑な気持ちです…。


   Re:勝負年です。 安井 【2002/03/17 20:56:57】
山本君、どうか悔いのない一年を過ごしてください。役者の仕事はいつもゼロからの出発です。
後の二人にも宜しくね。

3月16日(土) 安井 【2002/03/17 00:18:06】
午後、『かもめ』の通し稽古A組。多少調子は上がってきたが、まだ安全運転が何人かいる。制限時間が5時までだったので、細かい仕上げは来週にまわすしかない。いよいよゴール前直線コースだ。

夜は新宿・朝日CCでフェルデンクライスのレッスン。腰痛に効くレッスンとして、骨盤の可動性を高める動きを取り上げる。時計の文字盤のイメージを使った著名なレッスン。来週は腰椎周辺と股関節の緊張を解くレッスンを取り上げようと思う。


3月15日(金) 安井 【2002/03/16 10:31:11】
研究生の新学期のスタートが近づいてきた。前期のカリキュラムはほぼ決まったので、あとは4月の時間割を作り、3月30日の入学式を迎える。

14期生の西岡、柳沼、東の3名も行き先が決まったようだ。新天地でがんばってほしい。

『かもめ』B組の通し稽古。かなり時間をかけてダメ出しをする。まだ足元を気にして、用心深く歩いている感じだ。少々道を踏み外しても気にしない、大胆な歩き方・走り方を期待する。


3月14日(木) 安井 【2002/03/15 00:38:29】
今日は東京照明の桜井真澄さんが稽古場へ来ることになっていた。1時からB組で通し稽古。少しテンションが上がってきたけれど、まだバラツキがある。すごく良い部分があるかと思うと、すぐ後にガタッと外れたりする。今の時期、仕方ないと言えばそれまでだが、安心は禁物だ。安全地帯に逃げ込んで身を守ろうとすると、胸郭や首・肩が緊張する。すると、体内エネルギーの流れが妨げられ、深い情動が生まれなくなり、力みが生ずる。そして単調な絶叫調のパターン演技となってしまう。研究生時期の最大の課題は、どこまで自己解放ができるかにある。通し稽古の時間を計った。中身だけで2時間20分を超える。狭い稽古場の空間でこの時間は長すぎる。もう少しテンポを上げるか、セリフをカットするかだ。

今日は文学座研究所の合格発表の日。14期生の山本哲也が受かったという情報が入った。他の連中はどうしているのだろう、気にかかる。

夜は新国立劇場で「くしゃみ」を観る。悪い評判しか耳に入っていなかったが、それほど悪くはなかった。出来の悪い場がいくつかあり、退屈して眠ってしまったが、「熊」や「プロポーズ」はかなり楽しめた。出演者では、いっこく堂はあまり好きではない。神経症的で、チマチマした演技。表層的でテレビなどでは受けるかもしれないが、人間を表現するまでには至ってない。麻美れいは初めて観るが、うまくはないのに意外に存在感がある。すまけいはちょっと痛々しかったが、最後のプロポーズではさすがであった。しかし、「白鳥の歌」はちと苦しかった。


「かもめ」観に行きますよ 今年受けた人 【2002/03/14 01:30:51】
安井先生こんばんは。
相当熱が入っているようですね。ものすごく楽しみです。


    Re:「かもめ」観に行きますよ 安井 【2002/03/15 21:50:21】
今年受けた人、で、受かった人ではないのですか?
期待に応えられるかどうか、まだこれから、最後の追い込みです。


3月13日(水) 安井 【2002/03/14 00:45:03】
今日も早回しと通常の稽古の二通りをB組で。かなり疲れた。この段階になると、少々理性のたがが外れるぐらい、一度くたくたになるまでやったほうがいいのだ。そうやって見えない鎧をはぎ取る必要がある。本番が近づいてくるにつれ、不安も増してくるから、安全地帯に逃げ込みたくなる。しかし、それを許すと芝居はありきたりのもので終わるのだ。危険地帯にどこまで踏み込めるか、それが勝負の分かれ目になる。

明日は新国の「くしゃみ」を稽古後に観に行く。評判悪いからやめようかと思ったが、我慢して行ってくる。


3月12日(火) 安井 【2002/03/12 22:53:08】
異様に暖かい一日。桜の開花が早いそうだ。
今朝は10時前に市役所まで確定申告の書類を提出に行く。締切近くで会場は超満員、提出コーナーにも長い列が出来ていた。いつも早めに出そうと思いながら、原稿と同じで結局はギリギリになってしまう。例年は14日か15日だから、今年はまだいい方だ。

いったん自宅に戻ってから11時過ぎの電車で六本木へ向かう。『かもめ』B組の稽古。1時から6時半までかけて一通りやる。全体の流れをみながら、問題点を修正した。ドラマとしてのダイナミズムがまだ立ち上がってこない。


3月11日(月) 安井 【2002/03/12 00:30:59】
昨夜遅くにようやく確定申告の書類を完成。寝不足のせいで今日の稽古はかなり眠気におそわれる。各幕早まわし稽古と通常の稽古を繰り返し、8時過ぎまでかかって終幕へたどり着く。やっとたどり着いたという感じだ。衣裳は大体決まった。芝居の方はまだ問題ありだ。


3月10日(日) 安井 【2002/03/10 20:42:37】
今日は演出研究生の試験日。応募は4名。午後1時から筆記試験と面接。事前に小論文を提出することになっている。いろいろと多彩な顔ぶれだったが、慎重に審査した結果、合格者は1名のみ。はずれた3名が駄目というわけではない。もしかしたらもしかするかもという可能性は誰にでもある。こういう時の判断というのは一種の賭けでもある。

今夜は確定申告の書類作りだ。うまく行けば今夜中に終わるかも。


3月9日(土) 安井 【2002/03/10 03:40:09】
やけに暖かい日であった。昨夜は確定申告の書類作りで寝るのが遅くなった。まだ2-3日はかかりそうだ。

少し眠い目をこすりながら1時からの『かもめ』の稽古。A組で一通りやる。試験前にデッサンだけは何とかサマになるように仕上げたから、それなりに筋は通っているが、劇のダイナミズム、生命力をつけるのは、まだこれからだ。ダイナミックレンジをどこまで拡げられるか。


3月8日(金) 安井 【2002/03/08 22:42:14】
少し暖かくなったかと思ったが、今日はまたやや冷え冷えした。風邪が治りきらないのか、あるいは花粉症なのか、気分がすっきりしない。

久しぶりに『かもめ』の稽古。午後1時から幕順にやる。客席も組み、本番通りの演技空間を確保しての初めての稽古。過去、研究生の『かもめ』を稽古場で3回やったが、今回は空間の取り方を少し変え、奥行きがやや深くしたので、劇中劇の仮設舞台の配置に余裕ができた。

今年の新人応募総数は380名だったが、他の劇団も軒並み大幅に減っているときく。俳優座はまだいい方なのだそうだ。それだけ、若ものたちの期待が集まっているのだろうか、その想いに出来る限り応えなくてはならない。


3月7日(木) 安井 【2002/03/07 22:29:37】
俳優座の新人募集も無事終わる。この5日間は都内に泊まり込みだった。同じ事を15年間続けてきたことになる。最終審査の結果を今日発表し、当面の手続きなどについての説明会を行う。これからの1年間を付き合う新しいメンバーが決まり、気持ちも新鮮になる。4月1日から新年度が始まる。どんな1年になるか?

明日からまた『かもめ』の稽古に戻る。午後、稽古場の仕込みに付き合い、しばし頭から薄れていた『かもめ』の世界が立ち返ってきた。気がついたらすでに第4コーナーに差しかかっている。いよいよラストスパートだ。疲れたなんて言ってられない。


3月4日(月)続き 安井 【2002/03/04 20:06:54】
しかし、試験というものは残酷なものでもある。2chを覗くと、落ちた人たちの嘆きの声が聞こえてくる。なぐさめてあげることもできず、こればかりはどうしようもない。ただ、夢は持ち続けてほしいと思う。別にそれが芝居でなくてもいい。生きるとは、夢を実現しようとすることだ、とも言えるであろう。


   ありがとうございます 旅の者 【2002/03/05 09:45:09】
私は落ちた者です。
安井先生を含めた俳優座は私達のことをきっとそのように捉えてくれているのだろうと思っていました。そして、今ここに思ったようなお言葉が書かれていました。

失礼とは思いながら、感謝を込めて書き込ませて頂いております。
私は全力が出せたと思っております。帰り道は、最高級の満足感でいっぱいでした。その結果、合格には至りませんでした。

今も、落ち込んでいますが、その反面清々しく、希望に溢れてもいます。最初で最後の受験と決めていたので、そのせいもあるでしょう。受験までの数日間、経験したことのない緊張感と集中力に包まれることが出来ました。これは、今後の人生に確実に役に立つことです。私の場合、そもそも30代中盤という遅すぎる受験ということもあったので、自分の全細胞のすべてをかけることができたのです。あの演技終了時の爽快感といったら…!これを人生の役に立てなければ、何になるというのでしょう!

未来の芸術家たちにエールを送ります。緊張できることのすばらしさ、幸せさを是非余すところなく味わい尽くしてください。努力できること、悩めることがどれほど恵まれているか!目指すことを目指せるということが、どれほど恵まれているか!

私の夢は、破れました。しかしそれは、新しい夢の始まりでもあるのです。私は自分を敗北者だとは思っていません。あなた達との勝負は、これからです。あなたたちは、私より勝れる自信がありますか?私を置いてけぼりにする自信がありますか?

もちろん、人の一生は勝ち負けではありません。ですが、あえて勝負しようではありませんか。一生の間に、どちらがより己に打ち勝てたかを!

安井先生、私達に一切の慰めは勿論不要です。そのありがたいお気持ちをそのまま研究生の方々に分けてあげてください。


   旅の方へ 安井 【2002/03/07 21:56:13】
破れてもまた新しい夢を求める勇気を持つ人こそ、よりよく生きる人だと思います。この日録を読んで下さりありがとうございます。


3月4日(月) 安井 【2002/03/04 16:49:00】
昨日、怒濤の第1次試験は無事終わった。第1期生の時、300人ぐらいしか予定していなかったところへ、ふたを開けると900人近い応募があって、急遽会場探しに走り回ったのが懐かしく思い出される。

第2次試験は、会場を六本木へ移して朝から2日間行う。第1次をクリアした63名との初めての対面になる。将来の俳優座の宝を探すのだ。神経を研ぎすませてかかるのだ。


3月2日(土) 安井 【2002/03/02 14:07:17】
劇団俳優座の年間最大行事の一つ「新人募集」の1週間が始まる。今日はこれからパワーブックを抱えて泉岳寺の会場へ向かう。夕方から、新研2の連中を動員して会場の設営やらもろもろの準備作業に入る。ぼくは朝日の講座があるので、中座してまた戻ってくることになる。

これで15回、毎年同じようなことを繰り返しているが、中身は決して同じではない。形が同じようだから、なおさら年ごとの違いがはっきりして、時の流れを痛感する。今年は応募が少ない。少子化に加えて、ますます厳しい経済状況を反映しているのだろう。年齢層もいつもより若干高いような気がする。

しかし、この状況で400人近い応募者というのは、決して少ない数ではない。それだけ切実な夢を求めている若ものがいるということは、仇やおろそかには出来ないことだ。劇団としても、審査から教育までの過程で心して事にかからねばならない。果たして彼らの期待に応えるだけのことをしているか、つねに反省しながら進まねばならない。


3月1日(木) 安井 【2002/03/02 03:13:37】
風邪でダウンしていたマーシャAが久しぶりに出てきた。まだ完治はしてないようだが、B組に加わって1から4までやる。明日から来週木曜まで、新人募集の仕事にかかり切りになる。その間は自主稽古に任せる。再会を楽しみにしていよう。


2月28日(木) 安井 【2002/03/01 00:27:05】
今日の稽古前に、10分ばかり演説をする。チェーホフ劇の人物のよりよく生きようとする情熱について。それを体現するには、もっと危険を冒す勇気が必要だ。やる前から安全地帯に逃げ込んでいたのでは、一人前の役者にはなれない。というようなことをしゃべってから稽古を始める。

多少の効果はあったようだが、もっと大胆に自由にやってくれないかな、と思う。もう余り細かいダメ出しは止めて、やりたいことを存分にできる雰囲気にしていかねば・・・。


2月27日(水) 安井 【2002/02/28 01:48:26】
『かもめ』は1幕から4幕まで、ほぼ通してやってみた。まもなく1週間近く稽古を抜けるので、この辺でやっておかねば。案の定がたがただった。明日明後日も通してみる。いま一番足りないのはパッションだ。行き所がなくて、うろうろと迷っている人間たちのドラマだが、彼らには有り余るパッションがあるのだ。それが出ないなら『かもめ』にはならない! 

夜は幹事会などあり、その後の付き合いで結局おそくなってしまう。こんなことしてると風邪は治らないな。


2月26日(火) 安井 【2002/02/27 00:54:05】
稽古後、芝居を観に行くつもりだったけど、やめにする。風邪をこじらせてしまったのと、稽古の方がまだもたついているから仕方ない。二日休んだだけで、調子はかなり落ちてしまう。落ちたり上がったりするのは仕方がないが、同じところを行ったり来たりするのはよくない。


2月25日(月) 安井 【2002/02/26 00:37:50】
今日は、午後の企画委員会と夜の「増見利清さんを偲ぶ会」の日だ。朝起きたときは到底出かける気力はなかったが、無理をして出る。午後だけで帰るつもりだったが、結局夜の部も出席、おまけにその後の居酒屋も付き合ってしまった。これで風邪は1週間長引くことになりそうだ。喉も痛いし頭も痛い。咳も出る。気分は最悪だけど、身から出たサビ、明日からまた稽古だ。


2月24日(日) 安井 【2002/02/25 11:26:02】
とうとう風邪で寝込んでしまった。前夜から何となくけだるい感じにおそわれたが、高をくくっていた。朝起きると、熱はそれほどでもないが、頭ががんがんして咳が止まらない。予防接種を怠るものではないと痛感する。忙しいだろうけど、予防は大事だと、かかりつけのお医者に説諭された。


2月23日(土) 安井 【2002/02/24 16:37:55】
今日の稽古は第4幕のみ。少しは深まってきたかな、という感じ。間もなく始まる新人募集試験の約1週間は自主稽古になるので、それまでにある程度のメドを立てておきたいので、つい焦ってしまう。しかし、それはよくないことだ。やるべきことをやって、後は研究生といえども、演じるものたちを信じることしかない。A組を細かくやって、B組で通す。

夜は朝日CCで基本レッスンの最終日。導入にかかってから予定を変えて、先ず初めに呼吸レッスンを行う。イメージ呼吸のレッスン。『フェルデンクライス身体訓練法』にも出ているが、やり方は少し修正した。後半は俯臥してねじる動き。これも『身体訓練法』の#7を応用した。


2月22日(金) 安井 【2002/02/23 01:30:50】
『かもめ』の稽古は1-2幕をB組で。一人風邪で倒れたので、部分的に問題点を修正しながらやった。1幕で結構時間がかかり、2幕は余り手を入れられなかった。6時過ぎに終わって、試験の応募状況や試験態勢の進行具合などを確認して引き上げる。裏の一風堂でラーメンを食べてから電車に乗る。

今テレビをつけたら、BSで「ベルリン・天使の詩」をやっている。なつかしくて少し観ていたが、最後まで観ると明日に差し支えるので諦めよう。明日の朝日CCの準備もある。入門講座の最終日。テーマは決めているが、レッスンの構成を工夫せねば。背面の伸筋の調整とねじる動きを取り上げる予定。

先ほど2ちゃんねるを散策していたら、民藝スレッドにこの日録の一節がコピー引用されていた。公表したものだから仕方ないが、調子に乗って書いたものを、改めて人目にさらされるとなにやら気持ちが悪いものだ。


    配役 つばめ 【2002/02/23 13:27:55】
いつもお世話になっております
民藝の件、私が民藝の掲示板で設定=同年代の配役を、と書いたのがきっかけで2chでも話題になったりこちらのコピーが貼られたりとお騒がせして申し訳ありません

しかし同年代でなくても良い、という意見が出てきたのには正直驚きました。古くから見てる人には奇異に映らないのだろうか、と 安井さんが黄金色でああいう配役をするだけでも、もしかして相当の困難があったのかなぁ、と思ったりもしたものです

新劇のこういうイメージってとっても損だと思うんですけど…
(取りとめのない文章で申し訳ありません)


  Re:2月22日(金) 安井 【2002/02/24 16:54:41】
つばめさん、民藝掲示板の書き込み拝見しましたよ。その後の議論の成り行きは、民藝らしくて面白く読みました。2chも結構面白く、書き込む時間はありませんが、できる限りあちこち読んでいます。

『黄金色の夕暮』の配役については、特に苦労したということはありませんね。というよりも、私は最初の演出の時からずっと、かなり思い切った配役をしてきましたし、特に、鉄は熱い内に打てというように、出来る限りどんどん若手に挑戦のチャンスを与えることを原則としています。それは演出者にとっても挑戦ですが、冒険のないところに創造はないのではないでしょうか。

それとともに、俳優座のような歴史の長い劇団は、ベテランから若手まで、およそ3世代以上の幅広い演技陣を持っています。これは若い劇団にはない長所です。この財産を有効に活用しない手はありませんよね。


2月21日(木) 安井 【2002/02/21 23:08:40】
『かもめ』稽古と衣裳合わせ。A・B両組で稽古は第3幕のみ。試験の準備にも本格的に取りかからねばならない。1月から2-3月と、一年でいちばん仕事が立て込む時期だ。無事乗り越えねば。


2月20日(水) 安井 【2002/02/21 00:25:22】
『かもめ』第1-2幕。一組だけ。取り組み方に今一つ食い足りないものを感じる。最近の若ものの特質だろうか。危険をおかす勇気がないというか、冒険心が不足しているというか、どこか安全なところに居座ろうとする。それではホンモノを創ることはできない。仕方がないから、これからはどんどん鞭をあてていこう。

夜は、世田谷パブリックシアターで東演の「三文オペラ」を観てきた。我が座の鶉野樹理と井上薫が客演している。二人とも大活躍。ジェニーの樹理さんはなかなかの存在感、ポリーの井上薫もがんばっていた。ベリャコービッチの演出を観るのは初めて。何となく前衛的なというイメージがあったが、ずいぶん大衆的な、エンターテインメント派でスペクタクル風演出家なのであった。楽しめる要素はいろいろあったが、こういうブレヒトは全くいただけない。ソングを全部朗誦風に処理していたが、パンフにはクルト・ワイル音楽となっている。幕開きを見損なったが、ワイルは使われていなかったのでは?

そういえば、2ちゃんねるに私の幽霊が2-3人徘徊しているようである。読んではいるが、まだ書き込んだことないのにな。


2月19日(火) 安井 【2002/02/20 00:48:24】
午前10時半から14期生一人一人と面接。昨夜の幹事会の審査結果を伝え今後のことでアドバイスをする。男性3名、女性4名が残ることになった。
13時から『かもめ』稽古、第4幕A/B。夜は文芸演出部会。六本木を離れたのは10時すぎだった。疲れたがへばってられない。もう一つの大仕事、新人募集試験が待ち構えている。


2月18日(月) 安井 【2002/02/19 01:16:19】
今日から六本木の劇団稽古場で『かもめ』の稽古。空間が変わって気分は新鮮。肝心の中身だが、それはこれからのお楽しみというわけだ。一応、1幕から3幕までをやってみる。良い部分と悪い部分と、かなりバラツキがある。明日から気合いを入れ直してやらねば。

夜は幹事会で研究生1年の審査会議。研究所の責任者としては、一年で一番つらい会議だ。若い命を、とにもかくにもこの1年間に賭けてがんばってきた若ものたちに、審判を下さねばならない。その結果の責任は、当然ながら指導したこちら側にもかかってくる。何とか通ったものはいいとして、運悪く落ちたものたちに、明日の面接で結果を個々に伝えねばならない。割り切れない気持ちを抱いて明日を迎えることになる。


2月17日(日) 安井 【2002/02/18 11:02:20】
午後1時からのフェルデンクライス講習会、5時に終えて六本木へ。研究生1年修了公演の打ち上げに参加。


2月16日(土) 安井 【2002/02/17 00:13:41】
『かもめ』の稽古は休み。10時過ぎに目覚めて散らかり放題のデスク周りを少し片づける。でも、変わり映えしないな。

3時半頃に出かけて朝日カルチャーに向かう。2月はフェルデンクライス・メソッド入門講座。今日は2回目で「ねじる動き」を取り上げる。動きには大きく分けて3種ある。丸まる反る動き、横へ曲げる動き、そしてねじる動き。ねじる動きは生命力のバロメーターである。これが衰えるのは老化のしるしだ。今回の講座には初めて参加する人が多いが、みな熱心だ。

帰宅してホームページのメンテと明日の日曜コースの準備に追われる。


2月15日(金) 安井 【2002/02/16 01:37:02】
泉岳寺での稽古は今日が最後。昨日B組の第2幕、今日は第3幕をA組で。今の研2/3には期待をかけているから、それだけ要求するところも高くなる。できるはずなのに、低いところでウジウジしているのを見ると、苛ついてくるのだ。むろん役者というのはエネルギーだけでやれるような単純な仕事ではない。しかし、人間を、そしてなによりも自分という人間を、とことん探求するエネルギーがなければ、役者なんてやれないはずだ。いい加減なところで自分と妥協するものは脱落する。

夜は研究生1年の修了公演「海抜3200メートル」の初日を観る。今年の1年生とは、4月と9月の基礎レッスンの時間に付き合っただけだから、みなの成長ぶりを観るのは楽しかった。おやっというほどの変貌ぶりを見せるのがいるかと思うと、ちょっと期待外れだったりするのも目につきました。しかし、役者の道のりはまだ始まったばかり。役との出会いで役者は変わるもの。今日の結果が全てではない! 褒められれば嬉しいし、けなされれば不機嫌になるのは仕方ないけど、褒められるより貶されるほうが、将来のためには栄養になるのだ。「失敗は成功のもと」と言うではないか。失敗をいかに受け止め、次につなげることができるかが才能の本質なのだ。

昨日観た「OUT」だが、今日もときどき舞台を思い出して考えていた。現在の日本では「ロミオとジュリエット」のような純粋な愛を描くことは不可能だと思っていたが、この舞台はそれが可能であるというヒントを与えてくれた。


2月13日(水) 安井 【2002/02/14 00:53:27】
『かもめ』稽古は結局第2幕A組のみ。まだかなり難航している。
夜は渋谷パルコでOUTを観る。最近の舞台としてはかなり骨太の作品であったが、脚色演出ともに、やや通俗に堕するところがあった。どうせなら、もっとハードなタッチであったほうが・・・、とも感じた。だが、結構楽しんで観ていた。増沢君もよかった。


2月12日(火) 安井 【2002/02/13 01:58:34】
稽古はB組で第1幕のみ。明日は第2幕、A/B両組できるかどうか。来週から六本木へ戻る。それまでは細部にこだわった方がいいだろう。空間が違うので、いまいち全体のイメージがつかみづらいのではないか。

稽古後は決起集会という名の飲み会を「笑笑」で。初日まであと5週間。長いといえば長いが、時間は決して充分とは言えない。


2月11日(月) 安井 【2002/02/12 01:50:01】
昨日は久しぶりにお休み。テレビからソルトレークの興奮ぶりがいやでも耳に入ってくる。オリンピックのためにテレビがあるのではなく、テレビのためにオリンピックがあるのかと言いたいぐらいだ。

今日は久しぶりの『かもめ』の稽古。もう少し進むかと思っていたが、結局A組第1幕だけで時間切れ。明日はB組だ。やっと『黄金色の夕暮』から解放されたが、夕方以降にいろいろ予定が入っている。明日は『かもめ』組の飲み会を稽古後にやる。TMAの2・3階に新たにできた店「笑笑」で盛り上がる(はずだ)予定。しかし、『かもめ』だけに集中できる条件がととのった。新人募集の試験などあるが、じっくり腰を落ち着けてやることにしよう。


2月9日(土) 安井 【2002/02/10 01:42:53】
8時に起きて朝食、帰京の便は12時40分発。時間をもてあます。2時前に羽田に着く。その足で紀伊国屋へ。壮太郎の歌が始まるところだった。しばらくロビーでモニタを観てから最後の場を観る。この芝居、幕切れがむずかしい。やや狂っているところがある。修正しなくては。

夜は朝日カルチャーセンターでフェルデンクライスの入門講座。思いの外大勢の参加者。自然に気合いが入る。それまでかなり眠気を感じていたが、レッスンを始めるとすっかり元気になった。ソルトレークの競技が始まっている。夜更かしには気を付けねば・・・。


2月8日(金) 安井 【2002/02/10 01:19:47】
7時前に起きて羽田空港へ向かう。そういえば羽田から飛ぶのは久しぶり。少し時間の余裕をみて出かけたというわけ。以前の羽田とは全く様変わりしているのでまごついてしまった。
松山も二十数年ぶりだ。「オセロ」の舞台監督で訪れて以来のような気がする。12時過ぎについてすぐ市民劇場の事務所へ。事務局長の鈴木さんと講演の打ち合わせ。山田太一さんの家族観を中心にしまりのない話になってしまった。3時すぎに終わり、ホテルで少し休み、夕方から市民劇場の事務所でアルコール付の懇談会。いろいろと話が弾んで11時近くまで。


2月7日(木) 安井 【2002/02/07 22:50:52】
『かもめ』は今日もまた第4幕のみで終わる。A組でニーナの登場以下に2時間半ほどかかる。残りの1時間余りでB組で4幕を通してみる。やっと基本的なデッサンができたか、という段階。気がついたら準劇のさとうさゆりが稽古を観にきていた。終わってから下の「笑笑」で何人かで少し飲む。

明日は松山市民劇場主宰の講演会で「家族について」1時間半ほどしゃべらなくてはならない。『黄金色の夕暮』の例会に向けての催しなのだが、何を語るか、この2・3日頭が痛い。

戻ってくるのは明後日の午後になるので、明日明後日の『かもめ』は自主稽古になる。


2月6日(水) 安井 【2002/02/07 02:25:43】
今日も『かもめ』は第4幕のみ。結局最後まで行かなかった。確かにむずかしい戯曲かもしれないが、やるからには中途半端にはやりたくない。研究生だからって妥協はできない。むしろ、これからの若ものなんだから、より厳しく接するつもりである。
それにつけても、自分を甘やかしているものが多すぎる。さらに、そのことを自覚していないからいらいらする。ものを創るということは、自分の魂を投げ出さなければできない仕事なのだ。それが出来ないものは、この世界に来るべきではない。かなりいらいらが高じてきている。

夜は紀伊国屋ホールへ駆けつける。『黄金色の夕暮』はこれでしばらく見納めになる。次は早くても4月のどこか旅先に駆けつけるしかない。八木柊一郎さんがみえた。お会いするのは「阿修羅の妻」の打ち上げ以来になる。終演後は新進劇作家・小里清さんと歓談。


2月5日(火) 安井 【2002/02/06 01:48:30】
今日も『かもめ』第4幕のみ。昨日の続きでB組をやったあと、時間がなくなりA組で通してみる。ニーナとトレープレフの再会の場には、チェホフの他の戯曲にはない、作者の痛切な想いがこもっていると思えてならない。
第1幕から第3幕までは、初期の一幕物や「プラトーノフ」や「イワーノフ」の作風に近く、どちらかというとメロドラマチックに展開するが、この第4幕では、言葉の真の意味での「静劇」というに相応しく、戸外で風が激しく吹きすさぶ中、ぞっとするような残酷な人生の深淵をかいま見せるドラマが進行する。「フォルテではじまりピアニシモで終わる」はチェーホフ自身の言葉であるが、幕切れの静寂を如何に透明にすることができるか・・・。


2月4日(月) 安井 【2002/02/05 00:58:06】
泉岳寺の稽古場で午後1時から『かもめ』第4幕。昨日山田太一さんと話していて、たまたま『かもめ』のことになった。山田さんは“トレープレフがなぜ自殺するのかよく分からない。いろんな『かもめ』の舞台も観たけれど、どうしても腑に落ちない”とおっしゃる。確かに、私が今までやった上演でも、そこが一番苦心したところだが、充分成功したとは言えないと感じている。今まで観た多くの『かもめ』でも、その点で腑に落ちたものはないと言える。今回は、トレープレフの自殺を如何にリアリティあるものにできるか、そのことに賭けてみたい。
トレープレフにとって、ニーナへの愛と芸術への情熱は、同じコインの裏と表のようなもので、一体となって彼の唯一の生き甲斐となっていたのだ。ニーナが去って行った2年間、不在のニーナに対する報われぬ愛が自己増殖して肥大化し、彼の創作を支配するうわごとじみたリリシズムの源になった。そこへ現れた現実のニーナと、彼の中に育まれた幻想のニーナとの余りにも大きい落差! その事実に打ちのめされるトレープレフ。そう、ここに『かもめ』の謎を解く鍵がある。さて、どのように解くか、それが問題だ。

『黄金色の夕暮』は二日目。やはり二日目のジンクスは生きていた。でも、後半になって、持ち直したから何とか救われた。カーテンコールには“ブラボー”のかけ声も出た。かなり熱い拍手であった。


2月3日(日) 安井 【2002/02/03 22:57:18】
『黄金色の夕暮』の初日。稽古で抑えすぎかなというぐらい抑制したので、初日の反応が気がかりだったが、杞憂に終わった。冒頭の八重と雅之の場ですでに確かな手応えを感じる。自然な笑いがさざ波のように広がり、舞台と客席はしっかりと結ばれたと実感する。特に、若手たちが稽古場では見せなかった自然でナイーブな輝きを見せてくれた。客席にいて思わず胸が熱くなった。舞台は生き物だと改めて痛感する。終演後のロビーでの歓談の中で、初演よりも確実に階段を上がったことを確信した。ベテランと若手が四つに組み、ほぼ理想的な形でアンサンブルを生み出すことができたと思う。俳優座には確かに伝統がある。しかし、伝統とは、守るためにあるのではなく、リフレッシュするためにあるのだ。30年来のわたしの夢が、やっと手の届くところに近づいた気がする。もちろん、前途は多難ではあるが・・・・。


2月2日(土) 安井 【2002/02/03 09:31:00】
舞台稽古も終わり、明日の初日を迎えるのみ。この3週間の稽古で、かなりリフレッシュできたと思う。やや真面目すぎると感じる人がいるかもしれないが、このドラマの骨格を再確認した稽古だった。結果としては、かなりシリアスな舞台になったかもしれない。客席の笑いは少なくなるかもしれないが、でも、軽い笑いで誤魔化すようなことはしたくない。


2月1日(金) 安井 【2002/02/01 23:11:04】
紀伊国屋ホールで7時から第1幕だけの舞台稽古。4時半頃に劇場へ入り、舞台装置の上がりをチェック、照明合わせに少し立ち会ってロビーに降りると、ちょうどそこへ山田太一さんが現れる。何でも6月地人会公演の打ち合わせがあって新宿まで出てきたとのこと。しばらくロビーでおしゃべり。こちらの稽古の様子や地人会の台本のことなど、話がはずむ。来年度6月俳優座で上演予定の企画についても少し話す。第3作目になるが、どんな内容になるかはまだこれからだ。

稽古の方はまず順調。山本貴永が相当に緊張していた。ま、当然だ。あとは自分を信じてやってくれればいい。明日は第2幕を午後に、夜は通し稽古。

1月31日(木) 安井 【2002/02/01 09:49:34】
今日は1時から『かもめ』の稽古。5時までかかって第3幕をやる。前半に時間をかけたので、後半、特にアルカージナとトリゴーリンの場は通り過ぎてしまった。
『黄金色の夕暮』の初日が開くまで『かもめ』とはお別れだ。自主稽古でどこまで自発性が生まれるか、期待しているのだが・・・。まだ、全体に恐る恐る足元を探っている感じが付きまとう。顔が下を向いている。行動の目的をしっかりつかんで、顔を上げて進まないと、演技は萎縮するばかりである。


1月30日(水) 安井 【2002/01/30 22:36:13】
小泉純一郎 お前もか! 元々総理大臣になること以外に大してポリシーのない人物だったから、これからも期待はできないだろう。『黄金色の夕暮』のセリフではないが、“日本も亡びるよ”の心境だ。

六本木での最後の稽古。今回は細部のリアリティを補強するための作業が主だった。表層に流れていた部分を深め、イメージをふくらませることができたと思う。あとは舞台稽古で、ドラマとしての流れを見る。

久しぶりに有楽町のビックPKanに寄り道して帰ってきた。新iMacが展示してあると聞いてたが、見れなかった。


1月29日(火) 安井 【2002/01/30 21:35:01】
W稽古は今日が最後。『かもめ』は全幕やるつもりだったが、結局2幕までしかできなかった。それもかなり中途半端なやり方で時間切れ。まだとことん細部にこだわりデッサンを消したり描いたりする段階なのだ。急がないことだ。それはそれとして、来週には一度通してやってみるのもいい。この段階で、とにもかくにも全体の流れを体験しておくのは、以後の作業に役立つ。

『黄金色の夕暮』の稽古場での稽古は明日一日を残すのみ。中野誠也と川口敦子のこだわりの精神は貴重だと思う。芝居の質はだいぶ引き締まってきた。

来週からは『かもめ』に集中できる。


1月25日(金) 安井 【2002/01/25 23:37:17】
『かもめ』は10時から第3幕の残りだけで時間切れになった。「黄金色・・」はひととおり通して6時半には終わる。
明日は『かもめ』第4幕の稽古だけだ。


1月24日(木) 安井 【2002/01/25 00:07:19】
『かもめ』は第3幕を一通りやるつもりだったが、やり出すと欲が出て細かくやり始めてしまった。そのため、この幕の見せ場、アルカージナとトリゴーリンの濡れ場は明日にまわすことになった。遅々として進んでいるが、デッサンは可能なかぎり緻密であるに越したことはない。我ながら大半のエネルギーをこちらに注いでいるなと思う。

そのため「黄金色・・・」の稽古場へたどり着くと、ぐったりしている自分に気づく。これはいけないと思って気を取り直し、稽古に集中する。こちらも妥協のない稽古が続いているので、初演から4年目で、舞台は格段にレベルアップしていると感じる。


1月23日(水) 安井 【2002/01/23 20:55:06】
出かける前に用件を一つ片づけなくてはならなかったので、
『かもめ』の稽古は11時からにして、昼休みなしで3時まで。
もう一組で第2幕を一通りやる。
そろそろWキャストの組み合わせを決める段階になってきた。

『黄金色の夕暮』の方は一回通して終わる。
少し引っかかる部分もあるが、まだ時間があるから大丈夫。
要所要所がいい感じになってきた。


1月22日(火) 安井 【2002/01/23 00:14:03】
今日の『かもめ』は10時から第2幕を。
3時までかかって半分ちょっと、
トレープレフの場までしかできなかった。
Wキャストのうえ、稽古期間が充分だとは言えないので、
今から細部にこだわって稽古しておく必要がある。

どこの世界でもそうだが、
やる気がある奴とそうでない奴がいる。
やる気がある奴ばかりが揃うのは理想だが、
現実はそんなものではない。
せめて、劇団となると、
ほんとにやる気がある奴ばかりでやりたいものだ。

では、やる気がある、とはどういうことか?
常に何かを発見しようとする精神のことだ。

4時からは劇団に戻って『黄金色の夕暮』の稽古を8時近くまで。
その後、下のHUBで、演出部の若手の企画について相談に乗る。

休み無しの3週目、やや疲れが溜まってきた。


   Re:1月22日(火) リリー 【2002/01/23 03:35:28】
安井先生、こんばんは。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。
年初からお忙しく活動なさっているご様子、ずっと拝読していました。

>どこの世界でもそうだが、
>やる気がある奴とそうでない奴がいる。

>では、やる気がある、とはどういうことか?
>常に何かを発見しようとする精神のことだ。

先ほどこちらを読んで、ぎくっとして、喝を入れられたような気になり
お蔭で小仕事がはかどりました。ありがとうございます(^−^)。

最近、俳優座研究生BBSが活発なのを、気持ちよく拝読しています。
今の若い方は伸びやかでいいなあと、ごく自然な気持ちとして思います。
「若者の特権」って、あとになってからでないとなかなか気づけないものですね。

すみません。今日の日録にあまり関係ないレスになってしまいました。
「若さ」ということについて、何か感じたことがあったような気がするのですが
よくわからなくなってしまい…(苦笑)。もうこれで失礼します。

二つの公演のご成功、遠くからお祈り致しております。
お体どうかくれぐれもお気をつけ下さい。


   Re:1月22日(火) 安井 【2002/01/23 20:44:27】
リリーさん、書き込みありがとうございます。
勝手な思いつきを書き留めているだけですが、
興味をもっていただいて嬉しいです。

気が向いたらどんどん気軽に書いて下さい。

1月21日(月) 安井 【2002/01/21 21:41:57】
『かもめ』の稽古は久しぶりのような気がする。第1幕だけしか出来なかったが、だいぶよくなってる部分もあって、少し安心する。明日は第2幕をやる。

『黄金色の夕暮』はあと2週間を切った。全体の仕上がりはまず予定通り。今まで気がつかなかった部分があったりしてなかなか有意義な稽古ができている。


1月20日(日) 安井 【2002/01/21 00:42:21】
昨日は『黄金色の夕暮』の稽古のみ。通してみる。あと2週間だ。終わってから6階の事務所でうろうろしてたら、先輩の袋さんにつかまって隣のイタリアン・スナックでワインを飲むことになってしまった。ほんの小一時間のつもりが、メンバーがぞくぞく増えて最後は7名になった。最初は真面目にチェーホフの話などで盛り上がっていたが、そのうちぐちゃぐちゃになってしまった。帰宅は終電近かった。

今日は、今年最初の日曜コース。モーシェが初めてアメリカを訪れ、カリフォルニアのビッグサー・エサレンで行ったワークショップの記録がある。その中のレッスンをいくつか選んでやる。骨盤につながる主要なエネルギーを如何にコントロールするか、その所在に気づくことの大切さに気づくレッスンということで行う。

明日からまた連日のW稽古だ。ここを乗り切れば多少は楽になる。やや消耗しているのは事実だ。とりあえず、今夜の仕事は終わった。


1月18日(金) 安井 【2002/01/18 23:12:07】
『かもめ』は今日も第4幕のみ。もう一組の配役で稽古。この幕のニーナの登場の仕方について、二つのプランがある。しばらく決めないで両方を試そうと思う。

4時には六本木へ戻って『黄金色の夕暮』の稽古を8時まで。初日まであと2週間か。進み具合は、まず順調。新たに加わった山本貴永も、最初は周りの熱気に押されてやや萎縮していたが、徐々に感染していい調子になってきた。日に日に変化が見える。喜ばしい。


1月17日(木) 安井 【2002/01/18 02:25:22】
『かもめ』は、ようやく最終幕へたどり着いた。10時から4時までかかって、一組だけだが一通りやった。いやあ、つかれた。

考えてみると、プロの役者でもこの場をやれるのは殆どいない。研究生には荷が重いのは先刻ご承知だ。今やってる新国の『かもめ』なんか、一体なにをやってるのか、ワケが分からないまま終わってしまう。ほんとにバカバカしい。それよりははるかに俳優座研究生の舞台がよかったと、必ず言わせてみせる!

2chを探検していたら、誰かが僕の初日1月11日の日録の一部を「新国」スレに引用していた。より多くの目に触れるのは喜ばしい。我々は税金払ってるんだから、お上のやることは厳しくチェックすべきである。ダメなものはダメときっぱり言うことにしようではないか。

5時からの『黄金色の夕暮』の稽古は、ようやく少し明かりが見えてきた。時々居眠りしながらだけど、しっかり要所はチェックできた、と思う。

今週のノルマ、何とか達成ぇ〜だ。


1月16日(水) 安井 【2002/01/16 23:21:08】
『かもめ』は、昨日やっと3幕まで立ち、今日は午後企画委員会があったので自主稽古にする。
『黄金色の夕暮』は昨日と今日でアウトラインはなんとか。すでに3年間も上演して、ある意味では出来上がっている作品に、新たに入ってくるのはかなりのプレッシャーだと思う。山本貴永が苦労しているのに同情する、が、時間がたっぷりあるわけではないから仕方ない。シビアに行く。


1月14日(月) 安井 【2002/01/14 22:48:27】
昨日は幹事会が遅くなり、寄り道したので帰宅は終電になった。
今日は1時から『黄金色の夕暮』の立ち稽古。とりあえず一通り最後までやる。智子の絡む場面を返しながら6時に終わる。空腹をおぼえたので正直屋に寄ってから帰りの電車に乗る。明日からW稽古になる。


1月12日(土) 安井 【2002/01/14 22:28:47】
『黄金色の夕暮』の稽古は中止。午後から『かもめ』の稽古だけ。第2幕を一通り。

帰宅して少し原稿を書く。ノリが悪い。
仕上げは明日にまわし、ワインでも一口飲んで寝るとしよう。


1月11日(金) 安井 【2002/01/14 22:27:36】
午後黄金色の稽古。読み。夜は新国立劇場で『かもめ』を観る。

同業者の仕事をあからさまに貶すのはエチケットに反すると分かってはいるが、今夜ばかりはお許しを願いたい。幕が開いた途端に違和感を感じ、第1場(つまり第1幕)の途中で席を立って帰りたくなった。でも、我慢して最後まで観た。そして怒りを通り越し、あきれ果て、鬱憤をぶちまけずにはいられず、オペラシティのアンミラで終電ぎりぎりまで、演劇評論家の先生方とともにビール、ワイン、さらにお湯割りまで飲んで盛り上がってしまった。

以下、その理由を述べる。

1.まきののぞみの演出意図が不明。最初、これはドタバタ喜劇・スラップスティックを狙っているのかと思ったが、それにしては配役がめちゃくちゃ。技術がなければコメディはできない。
2.めりはりのない盛り上げ方で、意味なく騒いでばかりいるので、肝心のセリフが聞こず、結果、各人物の心の動きが全く見えなくなってしまった。ドールンに多少そのけが見えたけど、彼にしてもくそ真面目で暗すぎ、肝心のユーモアが全然ないので落第。
3.4幕のニーナは2年間苦労したはずなのに、全く第1幕と同じで全然変化していないし、トレープレフは最初から最後まで、悩みのナの字も見えない、単純な若造でしかない。最後の最後まで何の悩みもないのに、何で自殺するんだい? ニーナに惚れてるとは全く見えないのに、何を今さらって感じ。ほんとに死んだんだとすれば、狂言自殺のつもりが間違って脳天ぶち抜いてしまったのかな、という程度。ニーナにしたって、トリゴーリンのどこに惚れたのかも分からない。
4.なにより驚いたのは、トリゴーリンだ。1幕で、ソーリンが寡黙な男で、つかみ所がないと評しているのに、登場した途端、パンツの中まで透けて見えてくるような、薄っぺらなおしゃべりでしかない。相手の目を見もしないで、両手をむやみに振り回して、頭を振り振り物欲しげなセリフをまき散らすだけ。あんな男に惚れる女がいるか?
5.三田和代のアルカージナは、藝は達者な人だけど、なぜあんなにキンキンわめき散らさねばならないのだ? 自己顕示欲だけが強くて嫌われ者のベテラン女優にしか見えない。
6.一人一人取り上げだしたらキリがない。みんな勝手に自分のセリフをわめきちらし、相手と関係なく舞い上がり、どの人物も最初から最後まで何一つ変化しない。ドールンとソーリンが、かろうじて人物としての存在感を多少感じさせたが、それだけじゃあ、やった意味ないでしょ。税金の無駄遣いでしかない。だから怒っているのだ。

まだまだあるけど、もういいや。疲れるだけ。

今まで、『かもめ』の舞台は、20種類以上は観てきたが、これほどひどいのは初めてだ。岩松了の『かもめ』もひどかったが、あれがよく思えるほど。迷うことなく、私の中の『かもめ』ワーストワンに登録する。

まきののぞみは、チェーホフのカギを開け損なった。


1月10日(木) 安井 【2002/01/11 09:39:56】
『かもめ』立ち稽古初日。10時から5時までかかって第1幕をやる。今までのプランは基本的に変わらないだろうが、それには囚われないようにしようと思う。夜は演出部会。

昨年暮れに買ってぱらぱらとしか見ていなかった『2ちゃんねる宣言』(文芸春秋)を往復の電車の中で読む。


1月9日(水) 安井 【2002/01/10 01:27:12】
『黄金色の夕暮』の稽古初日。智子役が新しく山本貴永になる。3週間は決して充分ではないが、今日の様子では大丈夫そうだ。
夜は「肝っ玉おっ母とその子供たち」の初日を観る。初演よりはよっくなっていた。しかし、カトリンが太鼓を叩くシーンで肝心のカトリンの姿が見えないという演出! それはないだろう!! 初演時の事故を思ってのことだろうが、技術的にはいくらでも解決のつく問題ではないか。カトリンの落下シーンを見せるのは必要ないし、むしろ邪道であろう。この芝居の魂を抜き取ったようなものだ。


1月8日(火) 安井 【2002/01/08 22:15:53】
六本木での『かもめ』の稽古は今日で終わり、明日からは泉岳寺の稽古場へ。ただし『黄金色の夕暮』の稽古も明日から始まる。午前10時から『かもめ』午後4時から『黄金色の夕暮』というダブルヘッダーが3週間ほど続く。明日は『黄金色の夕暮』だけで『かもめ』は自主稽古ということになる。

話題はがらっと変わるが、昨深夜、Macworld Conference & Expo/SanFransisco 2002でiMacとiBookの発表があった。すでに日本の一般紙の夕刊にも、写真入りの記事が出ている。新iMacは宇宙船みたいでなかなかいい。勿論スペックも半端じゃない。金さえあれば、すぐ買うだろうな

1月7日 安井 【2002/01/07 23:28:00】
『かもめ稽古初日。正月休みの間に夜更かしの癖がついてしまい、朝起きるのが少々つらい。往復の電車内では大抵スポーツ紙か夕刊紙を読むことが多かったが、今年からはそれをやめて別のものを読むことにしようと誓った。そして、今年最初の車内では芝居の雑誌を読んだ。なにせ、片道1時間以上だから、その気になれば随分読める。帰路は久し振りに「パソコン批評」なんて雑誌を見つけて読みながら帰ってきた。業界広告を一切入れないユニークな雑誌だが、果たしてシビアな客観性を保っているのかどうか。

『かもめ』の稽古は、休み明けというのに、殆ど変わり映えしないのにいささかがっかりした。自分をばらばらにするぐらいの挑戦がなくては・・・。若ものの特権はそれしかないはず。自分を守ろうと小さい部屋に閉じこもるのでは、表現者として失格だ。無限の宇宙の中へ自らを投げ込むだけの勇気を!


1月5日(土) 安井 【2002/01/06 03:22:33】
この年末年始は約2週間の休みだった。休みとはいえ、慌ただしく過ぎてしまった。仕事で出かければ、やることはほぼ決まっているからそれに集中すればいい。しかし、家にいると、あれもこれもと、思いつくままに手を出してしまい、慌ただしいだけで今日一日いったい何をやっていたのかと、あとで反省することになる。

来週から二つの稽古が始まる。『かもめ』と『黄金色の夕暮』
どちらかというと怠け者なので、こんなスケジュールは歓迎できないが仕方ない。あと休みは一日。内圧は徐々に高まってきた。


日録 1月1日(火) 安井 【2002/01/02 01:13:43】
2002年になった。21世紀の幕開けは波乱に満ちた一年だった。今年はどんな年になるだろうか。
20世紀は革命と動乱の時代だったが、21世紀はどうか?
ビンラディンはまだアフガンの洞窟に潜んでいるのかもしれないし、すでに死亡しているのかもしれない。
ビンラディンを生み出したのは世界であり、彼を洞窟の奥に追いやったのも世界である。
その世界を牛耳るアメリカの聖戦の大義は果たして勝利をおさめたのだろうか?
21世紀の洞窟の暗闇から無数のビンラディンを生み出すことにならないよう祈るしかない。

年頭にはふさわしくない日録になってしまったが、時代の見通しは暗いのだから仕方ない。
むしろ、覚悟を定めてこの困難な時に立ち向かうべきだろう。





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