lesson 1


Awareness Through Movement

心をひらく体のレッスン No.3

動きによる全身の調整
― テキスト通りにカセットテープ等に録音してご利用下さい ―

●01:全身の自己観察
仰向けになってください。床に体をあずけて楽にして、両足、両手は適当に開いてください。手足の位置はそれでいいですか。体の中のどこかに緊張はありませんか。ゆったりした気分になるようにしてください。床との接触感を味わってください。呼吸は自然に続いていますか。・・・動く場合にも、そういう自然な呼吸が続くように気をつけてください。決して動くことばかりに一所懸命にならないで、その動きをどういうやり方で行っているかに注意して、無駄な力を使わないように心がけてください。そうすれば、結果としていい動きができます。楽に、快く動けること、これを目指してください。
●02:脚と頭の上下
ではまず、両膝を立てます。左膝の上に右足首を乗せてください。右膝は外へ開きます。両手を組んで頭の下に入れます。 両脚を上げたり下ろしたりしてください。腰椎はどうなりますか。床から浮き上がらないように、・・・上手くお腹の筋肉を使って、腰椎が床に近づくような動きをしてください。体の中心からの力で動くわけですね。・・・では、その動きに合わせて、両手で頭を上げたり下ろしたりしてください。上げる時には、両肘を前に出すように・・・。下ろす時には、両肘を開きます。呼吸を止めないで、楽に動いてください。(間) では、手足を伸ばして休んでください。(間)床との接触感はどうですか。右と左の違いはありますか? (間) では、両膝を立ててください。右膝の上に左足首を乗せてください。左膝は外へ開きます。そして、両手は組んで頭の下に入れます。 両脚を上下してください。腰椎は床に近づくように・・・。脚と同時に頭を上下してください。頭を上げる時には、両肘が前にくるようにしてください。下ろす時には開いてください。呼吸は楽に・・・。(間) では、休んでください。手足を伸ばして・・・。(間)
●03:座って右脚の上下−A
上体を起こして座ってください。右足を前にして浅くアグラをかいてください。右手の掌を上にして五本の指をそろえて、その手を手前から右踵の下に入れてください。右の踵を支えた形になります。左手は、左側のやや後ろ寄りの床に置いてください。その場合、指先を前向きにしてください。そうやって、軽く上体の支えにするわけです。 右手で右足を支えて、天井のほうへ持ち上げます。それと同時に、頭を前へ落とし、上体を丸めます。それから、右足を下ろし、頭を上げて上体を伸ばします。決して足の動きだけにならないように、上半身を丸めたり、伸ばしたりする動きを忘れないようにしてください。 右足を持ち上げた時に、左足にかかる体重はどうなるでしょうか。左足に体重がかからないように、体の使い方を工夫してください。前に体重がかかるとすれば、重心を後ろへ移動すればいいわけです。しかし、頭は前に落として上体を丸めるわけですから、重心を後ろへ持ってゆくには、他の部分を後ろへ動かさなくてはなりません。それはどこでしょうか。・・・それを自分で見つけてください。(間) 右足を持ち上げる時に、肘はあんまり曲げないでください。右足が、体から少し遠ざかり、丸く円弧を描きながら、持ち上がって行くようにしてください。その時、右膝を少し伸ばすようにすれば、足は自然に上がります。また、無理やり上げようとしないで、抵抗が生まれたらそこで止めて下ろしてください。右足を下ろす時には、上体を伸ばします。丸めたままにはしないように・・・。 右足が上まで上がったら、下ろす前に、少しだけ頭のほうへ近づけるように、右手で右足をそっと頭のてっぺんのほうへ引っ張ってください。それから、右肘を弛めて下ろしてください。頭のてっぺんと右足の間の距離はどのぐらいあるでしょうか。(間) では、動きをやめて、仰向けになって、手足を伸ばして休んでください。(間)体の右側と左側を比較してください。何か違いがありますか。
●04:座って右足の上下−B
もう一度、前と同じ姿勢で座ってください。右手は、同じく右踵の下に入れます。そして、左手は頭の後ろに当てます。左肘は外へ開きます。頭を前に落として上半身を丸めながら、右手で右足を持ち上げます。下ろす時には、上半身を伸ばして頭を起こします。頭を前に落とす時には、左肘を閉じてください。頭を起こす時に、その肘を開きます。この動きを繰り返します。 左足にかかる体重が増えないように、重心を後ろへ移動するのを忘れないでください。上半身を丸めながら、右足を持ち上げるわけですから、どこかを後ろへ動かさなくてはなりませんね。それはどこでしょうか。(間)判りましたか。(間)そう、骨盤を後ろへ転がすようにすればいいですね。この動きがポイントだったのです。(間) では、仰向けになって休んでください。(間)どうですか、右側と左側の違いはどうなったでしょうか。だいぶ大きくなってきたと思います。じっくり味わってください。
●05:仰臥して頭と右足の上下−A
 両膝を立てます。右手を両膝の間から両足の方向へ伸ばしてください。左手は、頭の下に入れてください。 では、まず左手で助けて、頭を上げたり下ろしたりしてください。頭を上げる時には、左肘を閉じます。下ろす時には、肘を開きます。腰椎は床に近づきますか。呼吸は楽に続いていますか。(間) この動きを続けながら、頭を上げる時に、右足を持ち上げてください。右足を持ち上げる時に、右膝を外へ開くようにして、右足の裏を見るような感じで動いてください。頭を下ろす時に、右足も下ろしてください。(間) 両足の間に伸ばしている右手の上に、右踵を乗せてください。右手で右踵を持ったまま頭を下ろします。そして、今度は、頭を上げる時に、右足を天井のほうへ伸ばしてください。右手で右足の踵を支えたままの動きです。上げたり下ろしたりする動きを繰り返してください。(間)右足がある程度上がって、抵抗が生まれたら、そこで少し右足を頭のてっぺんのほうへ引っ張ってください。それを弛めて下ろします。(間) では、手足を伸ばして休んでください。(間)左右の違いはどうなったでしょうか。
●06:仰臥して頭と右足の上下−B
 もう一度、今と同じように右踵を右手で支えてください。今度は、左脚は伸ばしたままにします。左手を頭の下に入れてください。そして、今と同じ動きです。頭と右足を上下するわけです。最後のところで、頭のてっぺんと右足を近づけるようにします。(間)頑張らないように・・・、呼吸は自然に・・・。(間) 右足を上げる方向を少し左右に変えてください。斜め右や、斜め左よりに上げるわけです。柔らかく動いてください。(間)では、手足を伸ばして休んでください。(間)床との接触はどうでしょうか。(間)右と左の違いはどうでしょうか。(間) では、立ち上がってみてください。どんな感じですか。(間)歩いてみてください。右回りや左回りをして、比較してください。(間)
●07:座って02の逆(イメージ練習)
では、座ってください。今度は左足を前にしてアグラをかきます。左手の指をそろえて掌を上にして、手前から左踵の下に入れます。左手で左踵を支えるわけです。右手はやや後ろよりの右側の床に置いてください。 その姿勢で、まず、先程右側で行った動きを想像してみてください。頭を前に落として上半身を丸めながら、左足を持ち上げますね。そして、いちばん上に行った時に、左足を少し頭のテッペンへ引き寄せます。そして、弛めながら、左足を下ろし、同時に上半身を伸ばします。この動きをイメージで練習してください。丁寧にやってください。右足に体重がかからないようにするには、どうするか。動きが外へ現れない程度に、筋肉を働かせるのはいいですね。(間) では、今イメージで行ったことを確認するつもりで、そっと二三回だけ実際に動いてください。(間)イメージした通りでしょうか。ゆっくり、柔らかく動きます。はっきりイメージできなかったところは、どこでしょうか。(間)〔休まずに次へ〕
●08:座って03の逆(イメージ練習)
では、動きをやめて、左手を頭の後ろへ当ててください。その姿勢のまま、イメージ練習です。今と同じく、頭を前に落としながら上半身を丸め、それと同時に左足を上げる動きを、丁寧に想像してください。(間)どこが判りにくいですか。はっきりイメージできないところがあると思います。そういうところがあれば、少しだけ筋肉を使うといいですね。見ている人がいても、どういう動きをしているのか判らない程度に筋肉を使うわけです。(間) では、実際に動いてみて、イメージとどう違うかを確かめてください。(間)二三回で結構です。(間) では、仰向けになって、手足を伸ばして休みましょう。(間)右側と左側の違いはどうなりましたか。(間)先程までは、左右の違いは相当大きかったと思います。今はそれがどうなったでしょうか。(間)
●09:仰臥して04の逆(イメージ練習)
両膝を立ててください。左手を両膝の間から伸ばして、掌を上にして、指を揃えてください。左足を持ち上げ、踵を左手の上に乗せてください。右手は頭の下に入れます。 その姿勢で、イメージで練習します。頭と左足を同時に上下する動きです。先程、右側で行った動きをよく思い出してください。腰椎の動き、右肘の動きなどにも注意をしてください。(間)丁寧に、時間をかけてください。(間) では、実際の動きをしてください。(間)イメージしたことを確かめるつもりで、注意深く動いてください。二三回で結構です。(間)
●10:仰臥して05の逆(イメージ練習)
では、動きをやめて、右脚を伸ばしてください。その姿勢で、やはり同じ動きをイメージで練習してください。(間) では、実際に動いてみてください。(間)二三回だけで結構です。(間) では、動きをやめて、手足を伸ばして、休んでください。(間)左右の違いはどうなりましたか。(間) では、上体を起こしてアグラをかいて座ってください。左手を頭の後ろへ当てて、右手で右踵を支えてください。そして、上体を丸めて右足を持ち上げる動きを試してください。(間)では、右手を頭の後ろに当てて、左手で左踵を支えて、こちら側でも同じ動きを試してみてください。(間)どちらの足がより頭の近くまで動きますか。(間) 右側では、たっぷり時間をかけて練習しましたが、左側には、右側の5分の1程度の時間しかかけませんでした。しかし、どちらかというと、左側の変化のほうが大きいことに気がつくと思います。不思議なことですが、これは、動きのプロセスに充分注意をはらうことが如何に大切かということを教えてくれます。そういうやり方をせず、機械的に動くだけでは、大した効果を期待できないのです。
●11:仰臥で転がる(右側)
では、仰向けになってください。両膝を立てて、右手で右踵を支えます。左手は頭の下に入れます。右手で右足を、左手で頭を上げながら、体を右へ転がします。頭のテッペンを右膝のほうへ近づけます。左の肘を右足のほうへ出します。それから、左へ転がりながら、頭と右脚を戻して、仰向けに戻ります。この動きを繰り返してください。(間) 転がる動きと、頭と右足の動きを上手く一致させて、柔らかく楽に動けるように工夫してください。頑張らないで自然に動いていると、だんだん動きが大きくなってきます。そうすると、右へ転がる動きの延長として、体は自然に座った姿勢になるかも知れません。でも、無理に座ろうとはしないでください。そういうやり方をしても、体は決して利口にはなりません。(間)また、勢いをつけて転がるのではなく、ゆっくりと、ここででも止まれるような動き方をしてください。体重をうまく移動させてください。左脚を上手に使えば、体重をコントロールすることができます。(間) では、動きをやめて、手足を伸ばして、休んでください。(間)床との接触、左右の違いを味わってください。(間)
●12:座位から転がる(右側)
それでは、座ってください。両膝を立てて、その両方の膝を右側へ倒してください。そうして、右膝の外側と左膝の内側を床につけてください。両足を左へ流して座った形になります。そうして、右膝の右側の床に右手を、右膝の内側の床に左手を置いて、上半身を右膝のほうへ倒してください。つまり、両手で体を支えた感じになります。そうして、頭を前に落とし、上半身を丸めて、頭ののてっぺんを右膝の近くの床に近づけてください。当然両肘は少し曲げることになります。楽にしてください。 その姿勢で、頭のてっぺんで床の上に左右へ短い線を描くつもりで、体を動かします。首の筋肉を使って頭だけを動かすのではなくて、腰から上を使って、上半身全体を動かしてください。両手で軽く体を支えながら、柔らかく、そっと動いてください。首筋の筋肉を弛めるようにしてください。右脚の付け根のところをほぐすような気持ちで動いてください。(間) では、動きをやめて上半身を起こし、右手を右踵の下に入れてください。左手は頭の後ろに置きます。そうして、頭のてっぺんを今とおなじように、右膝の近くの床に近づけます。そして、頭のてっぺんで左右に線を描く動きをしてください。短い線で結構です。体全体に無駄な緊張がないようにしてください。その動きを続けながら、少しずつ動きを増やしていきます。そして、右側へ描く線をさらに延ばして、その動きの延長として、体を右側へ転がしてください。すると、ゴロンと転がって仰向けになりますね。(間)この姿勢は、一つ前の先程の動きの出発点と同じです。 今度は、仰向けになった状態から、先程やった動きで、右側へ転がってください。頭を右膝のほうへ近づけながら、体を丸めて転がると、両足を左へ流して座った姿勢になりますね。でも、まだ頭を起こそうとしないで、左膝の傍の床に近づけておいてください。そこから、また右へ転がって仰向けになり、再び戻って座るで・・・という具合に、この動きを繰り返してください。(間) 決して弾みをつけないこと、できるだけゆっくり動くこと・・・、楽に自然に転がっているうちに、いつの間にか座ったり、仰向けになったりしているという感じで動いてください。(間) はい、その辺で結構でしょう。手足を伸ばして仰向けになって休んでください。(間)床との接触と、左右の違いを味わってください。どうでしょうか。(間)
●13:仰臥で10の逆(イメージ練習)
では、両膝を立てて、左手で左の踵を支え、右手は頭の下に入れてください。そして、すぐ動こうとしないで、まず、先程右側で行った動きを思い出してください。(間)その動きをこちら側でやる場合にはどんな感じになるか、どこをどう動かすことになるかを、詳しく想像してみてください。頭と左足を持ち上げながら、体を左へ転がす動きです。これをイメージで練習してください。できるだけ詳しく丁寧にやってください。(間)どうしても判らないところがあれば、そこだけを小さくやってみてください。イメージ練習に時間をかければかけるだけ、実際の動きの上達は早くなります。(間) はい、では、今イメージで練習した動きを実際にやってみてください。イメージしたことを確かめるつもりで動いてください。二三回で結構です。(間) では、手足を伸ばして休んでください。(間)床との接触、左右の違いはどうでしょうか。(間)
●14:座位で、11の逆(イメージ練習)
体を起こして座ってください。両足を右へ流して座ります。左膝の外側と右膝の内側を床につけます。左手を左の踵の下に入れてください。右手を頭の後ろに置きます。頭のてっぺんを、左膝の近くの床に近づけてください。上半身を丸めてください。そうすれば、頭を左膝に近づけることができます。 この姿勢で、先程右側で行った動きを思い出してイメージしてください。頭のてっぺんで左右に短い線を描く動きですね。(間)そうして、その動きを延長して、左側へ延ばすと、体は左へ転がります。そして仰向けになります。(間)そこから、動きを逆にすれば、また座った姿勢に戻ります。ゆっくり丁寧にイメージをたどってください。(間) では、実際の動きを行って、今イメージで練習したことを確かめてください。イメージは正確だったでしょうか。二三回で結構です。(間) では、仰向けになって、手足を伸ばして休んでください。(間)床との接触感はどうでしょうか。最初の時と比べて、どう変わったでしょうか。背骨はどうですか。特に、腰椎のあたりはどうですか。(間)右側と左側の感じも比較してください。(間)体全体の感じ、呼吸の動きはどうでしょう。(間)
●15:自己点検
では、座ってください。右足を前にして胡座をかき、右手で右踵を支え、左手は頭の後ろに置いてください。そして、最初にやった動きを試してみてください。頭と右足を近づける動きですね。右足はどの程度頭に近づくようになりましたか。(間) では、左足でも同じ動きをやってみてください。そして、頭と左足はどのぐらい近づくようになりましたか。(間) では、立ち上がってみてください。まず、立った姿勢で足の裏の感触を味わってください。(間)足の裏がはっきり感じられますか。それから、脚で体を支えている感じを味わってください。(間)では、周りを歩いてみてください。脚の運びはどんな感じでしょうか。軽くなったでしょうか。すごく楽に歩けるような感じがしませんか。しばらく動き回って、体の感触を楽しんでください。(間) それでは、これで、レッスンを終わります。

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