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6月30日(水) 蒸し暑い日が続く。寝室のエアコンがいかれたらしい。もう20年以上経つから寿命といえば言えるが、間が悪いたらない。汗びっしょりで夜中に目がさめてしまう。 稽古は月・火の二日で一通り立つ。今日から第2クールに入る。 6月25日(金) 10時から研1の稽古。各場面を一通り。来週から立ち稽古にかかる。 夜はLABO公演「蒼ざめた馬」を観る。初演とはだいぶ印象が違う。とりあえずは緊張感のある舞台に仕上がってはいた。だが、初演のみずみずしさはない。演技・演出ともに。 この舞台を観ながら、考えることは多かった。ディスクールが命の作品にとって、飛び交う言葉の構造が明瞭に構築されないかぎり、作品世界は立ち上がってこない。役者の生理的エネルギーと心情的真実感だけでは演劇的リアリティが成立しないことを改めて確認した。 6月22日(火) 研究生発表会の場面集は何とかラインナップが決まる。全部で10場面となる。明日は休みだが、明後日から各場の稽古に取りかかる。今年はどんな色に仕上がるか。 稽古後、六本木へ出る。劇団へ寄ってから沙絵羅で小里清氏と会う。壮大なテーマと構想をもった新作「リヴァイアサン」初稿について意見を交換する。 6月20日(日)『タルチュフ』千秋楽 連日札止めのうちに千秋楽を迎える。モリエールが今の日本でどう受け取られるか、かなり不安を抱えたまま初日を迎えたが、回を重ねるごとに客席の温度はどんどん上がっていった。それに煽られて舞台の方も日ごと弾みがついた。短い上演期間はあっという間だった。終演後、和歌山の有馬さんと仙台の熊谷さんらと土風炉でしばし歓談。モリエールの今日性について、話題が盛り上がる。 6時半から10時まで劇場1階のHUBで打ち上げ。若者たちと二次会で再び土風炉へ。一足先に終演ぎりぎりで引き上げる。 6月18(金) 昨日と同じく、7時起き8時に家を出て、朝10時からTMAで研究生の稽古。睡眠時間4時間弱ではかなりこたえる。やや早めに稽古を上げ、六本木へ出て「タルチュフ」を観る。舞台は昨日よりもまた一段と躍動していた。終演後、斎藤憐・佐藤信両氏と来年度の企画について打ち合わせる。二人とも、「タルチュフ」は俳優座でしかやれない舞台だ、という評価。終電ぎりぎりまで話し込む。 6月17日(木) 朝10時から夕方まで研究生の稽古。7時起きでかなり疲労感があったが、4日ぶりに「タルチュフ」の舞台を観る。新鮮だった。初日を開けてから本番を重ねるにつれ、観客から教わるものがかなり沢山あったようだ。舞台が大いにはずむようになっている。回を重ねるごとによくなっている。この種の喜劇は、観客の呼吸をいかにつかむかが勝負だ。初日からしばらくは手探り状態なのはやむを得ない。初日の良さは勿論あるが、リピーターとして次第に熟成してゆくプロセスを楽しむのも芝居見物の醍醐味ではないだろうか。 終演後、山田太一さんと歓談。あとから中野誠也も加わって話が盛り上がる。 6月14日(月) 研究生1年中間発表の稽古にかかる。今日は初日でみなが準備してきたシーンを読む。時間切れでいくつか次回にまわすことになる。戯曲をできるだけたくさん読むことを第1の課題にしたわけだが、努力の跡の見えるものもいれば、あまり見えないものもいる。集まったものを選別してどう構成するか、大いに悩むところだ。 6月13日(日) 初日が開いてやっと舞台も落ち着いてきたので、今日は劇場へは出かけずに、明日からの研究生公演の稽古準備に忙殺される。また例年の場面集をやる。研究生たちが自分でやりたいものを探してきた場面がどっさり。一通り目を通すだけで丸一日かかってしまった。 「タルチュフ」はおおむね好評のようだ。この舞台に拒絶反応を示す人がもっといるかと予想していたが、意外にそういうのは少ないようだ。 6月9日(水)初日 過去の名舞台を再演するとなると、受けるプレッシャーたるや並大抵ではない。主役の中野誠也はその最たるものだろうが、他の出演者たちだってそれに劣るものではない。演出者としても、今に生きる新機軸を打ち出さねばやるだけの意味も資格もないわけだ。しかし、いいスタッフ・キャストに恵まれて、何とか責任の一端は果たせたと思う。 6月8日(火)初日前日 1時半から舞台で初めての通し稽古。2-3カ所、直しで止まったが、ほぼ問題なく最後まで通る。各パートのダメだし若干。夜は6時からGP。特に問題なし。 今回は何といっても島さんの舞台装置が出色。演出意図を十二分に汲んで余りある出来映えだと思う。非常にシンプルで透明な様式性をそなえた舞台空間だ。役者は一人一人がくっきり見られるので、気が抜けない。怖い舞台だ。明日の昼間に最後のGP、そして夜、初日の幕を開ける。 6月6日(日) 1時から稽古場での最後の通し稽古。ダメだしをして4時過ぎには終わる。あと1週間あればという気がするが、これもいつものことだ。劇場へ入ってからも、できるだけのことをするしかない。 HUBでビール一杯で喉をうるおしてから、小雨のなか久しぶりに早めの帰路につく。今日から梅雨入りだという。道理で昼間から蒸し暑かった。 6月5日(土) 衣裳をつけて通し稽古。早いもので、稽古場での稽古はあと明日のみ。中盤を過ぎてからは、いつものことだがあっという間にゴールがやってくる。 夜は朝日カルチャーセンターのレッスン。 6月2日(水) 稽古前に衣裳パレード。90%は決まり。若干の直し。抜き稽古のあと通す。 いくつか重い場面がある。早まわし気味の稽古が必要だ。 6月1日(火) 昨日と同じく抜きのあと通し稽古。まだ全体の流れはぎこちない。 夜は6時から劇団総会。昨日よりは早く、9時過ぎに終わる。 5月31日(月) 稽古場での稽古は今週で終わる。いくつかの場を抜き稽古してから全体を通す。 夜は6時半から幹事会。延々10時過ぎまで。疲れ果てHUBで小一時間、ビールなどを飲んでから帰路につく。 5月27日(木) 若手たちの要望で、稽古前に、フェルデンクライスのレッスンを行う。 音楽プランは何とか固まってきた。わずか数曲を選ぶだけだが、これが結構時間と労力を要した。単なるブリッジではなく、芝居の流れに効果的なアクセントを付けるものであるべき。 5月25日(火) メイン・スタッフを迎えて初めての通し稽古。出来は思ったよりもよいように感じた。あと2週間か。未解決の問題点もいくつかあるからのんびりはしてられない。 5月23日(日) 今月の日曜コース講習会を1時から5時半まで、泉岳寺のTMAで。今回は初めての人の参加が多く、基本的なレッスンをかなり丁寧に展開する。帰宅して昨日の選曲作業の続き。 5月22日(土) 今日は稽古休みで、自宅で朝からCDを聴きまくる。バッハ、テレマン、クープランなど。使えそうな曲を片っ端からMDに落とす。30枚ほどのCDから50曲余りを選んだ。最終的には8曲に絞り込むことになるが、まだ決定打に当たらない感じがする。もう少し探さねばならない。 5月21日(金) 1時から6時まで稽古。1幕から終幕まで。4幕の終わりから終幕にかけてはまだ修正しなくてはならない点が多い。今のままでは当初の意図が実現されていない。オルゴンはもっと変化すべきだし、エルミールとオルゴンの関係は今のままではよくない。タルチュフの表現も一段と深める必要がある。オルゴン家の人びとの内部矛盾も掘り下げる必要がある。 5月18日(火) 第3幕から終幕まで行ってから第1幕へ戻る。最後になった第1幕は集中力の欠けた稽古になってしまった。モリエール劇は、気分任せでも何とかなるリアリズム芝居とはちがって、研ぎ澄まされた感性と集中力が要求される。 5月17日(月) 第1幕から何とか第4幕まで。稽古後、演出部会。10時過ぎまで亜州菜館で歓談。この亜州菜館が今月末で閉店だとか。寝耳に水で、実に残念。気楽に集える場がなくなる。 5月15日(土) この1週間の稽古で、だいぶ土台は固まってきた。各幕の問題点もはっきりしてきたので、来週はそれらの解決が課題となる。喜劇は力点の置き方、バランスとメリハリが命となる。演技には微妙なセルフ・コントロールが求められる。若さの勢いに任せた熱演では全体をぶちこわしてしまう。内面の燃焼度と外面の造形美との張りつめた均衡を作り出さねばならない。 稽古後、新宿へ。朝日カルチャーセンターのレッスン。 5月9日(日) 7時半の朝食で眠い目をこすりながら食堂へ。休みなしの強行軍で疲れが溜まっているのか、頭の中がほやけている。食後30分余り部屋の畳の上でウォーミングアップをかねて、レッスンで取り上げる動きのさわりの部分を自分でやってみる。多少は血の巡りがよくなったようだ。午前・午後とも3時間余のレッスン。今回はできるだけソフトなレッスンを中心に丁寧に展開する。いつになく好評だった気がする。 4時半に終わり、タクシーで北大路まで出て地下鉄で京都駅へ。5時半過ぎののぞみに乗る。自販機のボタンの押し間違えか、喫煙車の切符だった。がら空きだったので、さほど被害はなし。車中は殆ど眠りっぱなし。 5月8日(土) 6時半起きで9時の「のぞみ」で京都へ。仁和寺の御室会館で毎年春秋恒例のフェルデンクライス・ワークショップ。一泊二日のレッスンで、今日は午後1時から。今回は40名を超す盛況。夕方5時で今日のレッスンは終わり、宿泊者は食後一部屋に集まって懇談会。飲み物持ち寄って10侍まで。参加者たちの率直な意見や感想を聞くと、面白いし刺激を受ける。明日のプランを練っているうちに1時近くになる。 5月7日(金) 立ち稽古は第5幕と第1幕。やっと最後まで立って全体のデッサンが浮かび上がった。曖昧な部分や見当違いの場面もあるが、とりあえず全体を見渡せる地点にはきた。むろん、まだ出発点には違いないが、課題がはっきりしてきた。 5月6日(木) 昨日、第3幕と第4幕。今日は第2幕から第4幕まで。密度の高い場面の連続。とりあえずラフスケッチ程度のデザインの段階だが、それでも面白い。実によく書けている。上手いなと思う。第5幕は明日だ。大団円のプランがうまくはまるかどうか。 5月4日(火) 昨日はキャストが揃わないので急遽稽古休みにして、今日が立ち稽古初日となる。第2幕までのラフスケッチ。少しぎこちない立ち上がりだが、まずは予定通りの進行。島さんの装置によって、思った以上に想像力が刺激される。稽古が楽しい。シンプルな舞台なので、少し様式化した動きでないとリアリティが出ない。まるで能舞台のように。 5月2日(日) 今日と明日は稽古を休む。それでのんびりできるかというと、そうもいかない。いろいろと雑事も多く、予定していたパンフレット原稿に手をつけるのは夜になってしまった。とりあえず仕上げたが、気に入らない箇所がまだいくつかある。遅れているDMの挨拶状も書く。 5月1日(土) 稽古は読み合わせの最終日。来週から立ち稽古に移行する。ずいぶん長い読み稽古だった。稽古後は恒例の朝日カルチャーセンター。「ねじる動き」を取り上げる。 4月30日(金) 稽古後、島さんとの打合せ。構造も色も固まる。これで行けると確信できる。かなり刺激的。この空間を最大限活かせるようにしたい。 4月28日(水) 「足摺岬」をシアターΧで観る。稽古場での本番を観れなかったは残念な気がする。 4月26日(月) 稽古は「きょうの雨・・・」の旅組4名が加わり、ようやく全員がそろった。 稽古後、池上本門寺境内の「黒テント版・三文オペラ」を観る。歌と演技は全くいただけなかったが、歌詞を含む台本と演出、それに音楽監督になかなか見るべきところがあった。 4月25日(日) 昨日までの1週間、「タルチュフ」の稽古と水曜日の研究生のレッスンで休みなし。今日は4月の日曜コース。第1部では参加者の半数がフェルデンクライス初体験。ルーシー・アーロンの基本レッスンを土台に展開する。第2部はサンラファエル・プロフェッショナル・コースのノートから肩甲骨への気づきをテーマにしたレッスンを取り上げる。 4月20日(火) 稽古後、島さんと美術の打合せ。ミニアチュアのセットを見た途端、スタッフ一同「おおっ!」と思わず固唾をのんだ。見慣れた俳優座劇場の中に突如異次元空間が現れたような感嘆の声が上がった。未完の段階ではあるが、極めて刺激的な舞台空間になること間違いない。 最近つくづく思うこと: イラク人質事件をめぐる政府の対応、その言動は公僕の何たるかを全くわきまえていない傲慢不遜なものである。公僕とはCivil Servant、つまり市民の召使いなのである。今の日本政府の感覚は、江戸時代のお上の感覚とさして変わらない。さらに、その尻馬に乗って、自己責任なる言葉をまるで錦の御旗のように振りかざして、弱いものいじめ(バッシング)の嗜虐に酔っているものたちの醜態を見ると、人間とはここまで下劣になれるものかとあきれるほかはない。自己責任を放棄している大物たちは、その辺にごろごろいるではないか。本当に怒りを向けるべきは彼らのほうへではないのか。 4月18日(日) 「タルチュフ」の演出メモを旅先の出演者たち宛てにファクスで送る。覚え書きを箇条書きにしたものにすぎないが、アウトラインは理解できると思う。旅組は来週から全員参加する。 4月17日(土) 朝日カルチャーセンターのレッスン。足と骨盤の動きをテーマにレッスン2種。 4月15日(木) 稽古後、RSCの「オセロ」を観る。オセロとデズデモーナに魅力が感じられなかった。イヤゴーにも存在感がない。これがロンドンではそれほど評判の舞台なのだろうか? 分からない。 4月14日(水) 新研究生1年のレッスン日。午前10時から午後4時まで。5時から「三文オペラ」の歌稽古初日。ルーシーのオーディションも。終了後、後藤さんを囲んで打合せ兼歓談。 4月9日(金) 「タルチュフ」稽古を始める。全員はソそろわないので抜き稽古になる。 4月7日(水) 新研究生のレッスンが今秋からスタート。水曜の演技実習を担当するので、久しぶりに7時起きで8時過ぎの京成に乗る。10時20分前には泉岳寺に着くはずが、曳舟のあたりで火事騒ぎがあったらしく、青砥を出たとたんに電車が停まってしまった。30分ほどして動き出したが、1駅毎に何分かずつ停車するので、泉岳寺の稽古場には1時間以上おくれて入ることになった。 まだ一人一人の特徴を把握するまでにはいたらないが、午後に恒例の「他者紹介」をやって多少は見えてきたものがある。これから1年でどう変わるか、楽しみだ。 4月4日(日) 中谷一郎氏のお通夜。6時から碑文谷会館。長い看病のすえ最後を看取った喪主美苗さんのやつれ果てた姿が痛々しかった。夜になってひときわ強く降りしきる雨が冷たかった。 4月3日(土) 今月から朝日カルチャーセンターの本年度第2期が始まる。今日はその初日。夕方早めに出かけて新宿へ向かう。住友ビルの1階のコーヒーショップで小一時間、レッスンプランを練る。これから3ヶ月のテーマは「しなやかな体・美しい動き」となる。 4月2日(金) ようやく研究所新学期のスタート、そして「タルチュフ」の稽古と「三文オペラ」の音楽稽古の態勢も整って気がゆるんだのか、今日は昼過ぎまで12時間以上爆睡。 4月1日(木) 今日は午前11時から新研究生1年の入学式。一同稽古場に会し、劇団代表以下講師陣出席のうえ、合格証書の授与に始まり、新入生の自己紹介と各自の決意表明、講師陣からの祝辞と訓話、そして集合写真を撮って終わる。ここまで約1時間。 夕方6時から劇団総会で新入生だけでなく、各期の新昇格メンバーの紹介がある。それまで時間ができたので、まだ見たことのない、そしていま話題の六本木ヒルズへ時間つぶしにでかける。ハリウッドプラザの前で、同じく夕方までの時間をつぶしている新入生たちに出会い、しばし雑談をする。 夜の総会は、10時までかかった。議論がないよりはあるほうがいいが、こちらは疲れ果てていたから、いい加減にしろよといいたいぐらいの気分になった。しかし、今回の幹事会選挙で何人か若手が入り、多少ではあるが若返ったこともあり、少しは活性化するのではないかと期待はする。帰る前に下のHUBでビールとワインで気分を直してから終電に乗る。雨が振り出した。 午前中に中谷一郎氏の訃報が入る。かなり悪いとは聞いていたが、また一人劇団の先輩が去ってしまい、寂しさがつのる。劇団事務所では一日中対応に大わらわ。謹んでご冥福を祈る。 3月31日(水) 久しぶりにゆったりした朝を迎える。音楽監督の後藤さんを中心に午後4時から三文オペラの打合せ。メインキャストの音合わせのあと、音楽稽古の段取りをあらまし決める。少し目処がたってきた。 3月30日(火) 稽古初日。台本直しに3時間余かかる。全幕を読む時間はなかった。大まかな演出プランだけ話して2幕目まで読む。以後しばらく全員集まることができないので抜き稽古を続けることになる。終わって中野誠也、安藤みどり、助手の山田準などと土風炉でしばし歓談。夜になるにつれ雨は勢いを増した。帰宅して明日の「三文オペラ」打合せの準備をする。気ぜわしい。 3月29日(月) 明日は「タルチュフ」稽古初日。オープン戦も終わって、いよいよ公式戦開幕という気分。先発投手のローテーションも打順も決め、秘かに必勝作戦も練り上げたといえばいいか。気分は徐々に盛り上がってきた。 それにしても、昨日今日のジャイアンツは実にだらしがない。一方、虎の勢いはすごいではないか。週末に開幕だが、こちらのほうは、考えると気分が重くなる。 3月26日(金) 「タルチュフ」漬けの毎日。基本線は固まってきたが、稽古に入る前にもう少し詰めておく必要がある。こういう芝居は稽古場でのひらめきに多くを期待すると、とんでもないことになりかねない。隅々まで計算しつくすことはないが、大まかなルートだけは見当をつけておかねば、途中で道に迷うことになる。 古典の現代化というようなことではないが、現代的視点からこの作品を見て、今の人たちの心をゆさぶるものにしたい。台本では、耳で聞いて分かることとに重点をおいた。元は韻文で書かれたものだけに、レトリックが多く、そのまま日本語にしたのではやたら回りくどくて仕方がない。全面的に口語的表現にして、テンポ・リズムとメリハリを重視し、鈴木力衛先生の訳に思い切って手を入れさせていただいた。 今日は新国で「透明人間の蒸気」を観る。野田秀樹氏の舞台は実に久しぶりだ。しかし、彼の芝居を面白いと思ったことがない。失礼だが、今回も例外ではなかった。 3月22日(月) 午後3時から新研究生2-3年のためのオリエンテーション。新年度の心構えを説き、1年間の予定を確認する。夜は演出部会。 3月21日(日) 演出研究生の試験日。午前中は筆記試験だけなので午後の面接の時間に間に合うよう出かける。5名受験で3名が合格。3人3様でそれぞれに個性があって面白いと思う。これからどう成長していくか、楽しみだ。 2004年3月18日(木) 台本が上がったので少し気が弛み、朝の8時頃までうだうだと起きていた。ワインを飲みながらテレビを観たり、積み重なった何日分かの新聞を読んだりしているうちにそんな時間になった。昼過ぎに目覚めて、オープン戦の実況を観ながらレッスンテープの補充にかかる。一頃に比べると、注文が結構多い。バックオーダーがかなり溜まっているので、ずっと気にしていた。 夜はサッカーU23の試合をテレビ観戦。あまりハラハラしない試合だった。さて、アテネではどこまで行けるか。寝る前に、ロベール・イルシュのタルチュフをビデオで観る。実にオーソドックスな舞台である。 2004年3月17日(水) 昨日今日と二日間自宅にほぼ監禁状態、途中食料の買い出しにスーパーへ出かけただけで「タルチュフ」の台本直しに没頭する。深夜27時過ぎに取りあえず完了し、メールに添付して三交社に送信する。19日午前中に仕上がるという。ほっと一息つく。 2004年3月15日(月) 研究生2-3年生の修了公演が終わり、昨夜は終演後すぐの幹事会で昇格審査。例年は終演後は打ち上げで盛り上がり、翌日の夜に審査会議なのだが、今年は劇団の都合で異例の事態となった。今日はそれを受けての面接。 2年生は全員昇格となったが、3年生は研究生期間を終わり準劇団員への昇級となるので6名が半数の3名になった。面接では一人一人に結果を伝達する。つい昨日まで、よりより結果を目指して励ましてきた仲だから、昇級できなかったものに何をどう伝えればいいか、実に辛いものがある。 書面で、あるいは電話での伝達で済ませている劇団もあるそうだが、それでは余りにもドライすぎると思い、俳優座では1期生以来同じ方法を採用している。辛いけれど、面談の場を設けて、審査結果だけでなく、共に学んだプロセスを振り返って、研究生期間の成果や、長所と欠点、今後の課題などを指摘することにしている。 2004年3月13日(土)修了公演「ザ・ダイニングルーム」 昨日初日を明けてはや明日の楽を迎える。昨年12月にスタートして三ヶ月余の長丁場。何とか初日に漕ぎ着けた。割合好評のようだ。目標はもう少し高いところに置いていたのだが、最初の二ヶ月ほどは、盛り上がりに欠ける稽古だった。2月に入ってからだいぶ気合いが入ってきた。しかし、発酵するには時間がかかるから仕方ないか。 上演記録をみると、この「ザ・ダイニングルーム」を研究生公演で取り上げるのは今回が7回目になる。2-3年生では2回、あとの5回は1年生。稽古をしていると、今までこの作品を上演したいろんな顔ぶれが浮かんできたものだ。俳優座に残っているのは一部で、他で活躍するもの、芝居を離れて生きているもの、消息が分からないもの・・・等々。久しぶりに懐かしい顔を客席に発見したりすると嬉しいものだ。16年も経つと、研究所にも固有の歴史が刻まれていることを実感する。それとともに、一つの曲がり角を迎えているとも感じる。 2004年3月10日(水) 今日は朝から照明の仕込み。夕方6時から通し稽古。何とか土台は出来た。あとはどこまで燃焼度を上げるかだ。ただし、力まないように。リラックスして集中すること。一人で芝居をしないこと。サッカーのパスまわしのように、全員がボールの行方に敏感であること。 2004年3月8日(月) 通し稽古1回。照明打合せ。衣裳はほぼ固まる。芝居の調子はやや上向きと言うべきか。 |